ALB アルベマール 2020年4Q決算

リチウム、臭素、触媒などを生産する化学メーカー。

リチウムは最大手の一角。チリのアタカマ湖とオーストラリアのグリーンブッシュ鉱山(持分49%)からリチウム化合物を生産している。アタカマ湖とグリーンブッシュ鉱山は資源量とグレードの点でかん水と鉱石でベストの資産とされる。その他にもオーストラリアのウォジナ鉱山を持つ(持分60%、休鉱中)。

臭素は難燃剤が主な用途。他にもエレクトロニクス、自動車、建設、アプライアンスなど幅広い産業に使用される。GDP比例のビジネス。

触媒はガソリンなどの精製やディーゼルや石油原料の汚染物質を取り除くのに使われる。足元では輸送燃料の消費が落ち込んでいるのが逆風になっている。

 

4Qの業績は減収減益だった。

売上高 879Mドル(前年比-11%)

営業利益 125Mドル(前年比-10%)

調整EBITDA 221Mドル(前年比-25%)

EPS 0.79ドル

 

セグメント別の売上高を見ると、前年比でリチウムが-13%(数量+7%、価格-20%)、臭素が+8%、触媒が-31%となっている。

リチウムは数量が増えたものの価格が大きく下落した。数量の増加は顧客が2020年の契約を順守したため。価格の下落は2019年末に合意した譲歩のため。

今年は数量がやや増えるものの価格はやや下がるという見通し。数量の増加は北アメリカの施設の再稼働など。価格は炭酸リチウムとテクニカルグレードの下落が大きいそうだ。会社は昨年の価格譲歩が一年限りと言っていたが、今年も元の契約価格に戻るわけではなさそう。カンファレンスコールでもあいまいな回答。ある程度は市場価格に連動する部分が出てくるみたい。

なお、昨年の4Qに中国のスポット価格は底を打ち上昇が始まっている。しかし、アルベマールは中国でのスポット価格ベースでの販売がないので影響を受けないとのこと。ただ、価格交渉でのプレッシャーは少なくなっていると言っている。現状でアルベマールの契約価格はスポット価格を上回っているそうだ。

臭素は経済のリバウンドを背景に増収となった。今年も緩やかな回復が続くという想定。

触媒は新型コロナの影響で厳しい。今年も横ばいの見通し。

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セグメント調整EBITDAは、前年比でリチウムが-13%、臭素が+10%、触媒が-71%となった。

リチウムは3四半期連続で回復が続く。臭素は3セグメントの中で最も落ち込みが少なく利益水準もコロナ前を回復した。触媒は厳しい状況が続いている。

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年間の売上高と調整EBITDA・営業利益の推移をグラフにした。

2020年は売上高-12%の減収、営業利益-24%の減益、調整EBITDA-21%の減益だった。営業利益率は過去4年ほど20%前後だったが(2018年はビジネス売却の影響で営業利益が大きくなっている)2020年は16%まで低下している。

長期で見るとアルベマールの成長率は高いとは言えないが、リーマンショックの最中でも利益を出しているのは見事だと思う。

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2014年からの主要3セグメント調整EBITDAの推移(セグメントの組み換えを調整するために2014~2016年の触媒は PCS と Refining solution を合計している)。

リチウムは2016~2018年のブームで大幅に業績を伸ばしたが、その後の価格下落により業績が悪化している。

2020年を除くと触媒は微減といった感じ。一方で臭素は安定した成長を見せている。

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2021年のガイダンスは、売上高3.2~3.3Bドル(20年は3.1Bドル)、調整EBITDA810~860Mドル(20年818Mドル)、調整EPS3.25~3.65ドル。

昨年と比べると小幅な増収増益だが、ESPの中央値は2020年より低下する。今年の2月に1.5Bドルの増資を行ったため希薄化が起きている。

 

リチウム市場についてだが、会社は2025年までのリチウム需要の見通しを上方修正した。新しい見通しでは現在の300Kt(LCE)が2025年に1,140Ktに増加する(EVの普及率19%、平均バッテリーサイズ40kWh→55kWhに増加という想定)。年率換算で31%、EV向けのバッテリーグレードに限ると47%の成長率になる。

リチウム化合物の内訳は、現在の炭酸リチウム7 : 水酸化リチウム3が2025年に4:6になると予想している。

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市場見通しの上方修正と同時に会社の拡張計画もアップデートされている。

アルベマールは2015年から2020年にかけてネームプレートキャパシティを3倍の85Ktまで拡大させた。今年の後半には La Negra III&IV と Kemerton I&II が完成することで175Ktになる予定。加えて Wave 3&4 で450~500Ktまで拡大させるという目標を出した。

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かなりアグレッシブな計画だが、当面は La Negra の拡張と Kemerton が問題になりそう。

La Negra はチリ(アタカマ)の拡張。低コストの炭酸リチウムが40Ktプラスされる。2021年の半ばに完成して6か月の試運転と品質検査プロセスを経て本格稼働する。

Kemerton はオーストラリアに建設中の50Ktの水酸化リチウムプラント。アルベマールの持ち分は60%。スポジュメン精鉱はグリーンブッシュから供給される。2021年の終わりに完成し6か月の試運転と品質検査プロセスを経て本格稼働する。

両者の業績への寄与が始まるのは2022年になりそう。初年度はキャパシティの50%程度の稼働と考えるのが妥当とのこと。

 

リチウム価格の底打ちを背景にアルベマールの株価は底から3倍以上に値上がりしたが、1月初めをピークにジリジリ下げていた。今回の決算を受けてさらに-10%ほど下げた。決算の数字は問題なかったが期待が高すぎたのだと思う。

アルベマールのリチウム販売は長期・固定価格がメインなので業績のブレが比較的小さい。リチウム価格が下落してもそれなりの利益が出ていた代わりに、価格の上昇が起きてもすぐに大幅増益に転じるわけではない。

La Negra の拡張と Kemerton が本格的に業績寄与する2023~2024年に向けて数量と価格の両方から業績を上げていくイメージになると思う。

 

PERは今期予想が39~43倍、実績が40倍となる。

業績が落ち込む前の2019年の調整・希薄化EPSで計算すると23倍。La Negra と Kemerton によりキャパシティが2倍近く増えることから2019年のリチウムセグメントの利益を2倍にすると純利益は64%の増加になる。かなりざっくりした計算だが、2023~2024年にEPS10ドル程度というのがひとつの目安になるのかなと思う。現在の株価に対して14倍程度となる。

 

アルベマールのリスクとして考えられるのはキャパシティの増加がうまくいかないことだろう。かん水からのリチウム増産は計画が遅れるのが日常茶飯事だし、オーストラリアの水酸化リチウムプラントは新規設備なので想定通りのコストで順調に稼働するかは未知数。

他にはリチウムのコモディティ化もリスク要因だと思う。リチウム資源は数多くあるが、現状でリチウム化合物を大手メーカーに供給できる会社は数が少ない。顧客の求める種類・品質のリチウム化合物を安定して供給できる信頼性が求められるため。このためリチウム化合物の生産会社はコモディティ銘柄ではなく特殊化学の銘柄として評価されている(PERが高い)。

しかし、昨年末にはテスラが中国 Yahua と水酸化リチウムの供給契約を結んでいる。中国のコンバーターが大手メーカーにリチウム化合物を供給できるようになるとアルベマールなどのリチウム大手のバリュエーションは低下するかもしれない。

 

3663 アートスパークホールディングス 2020年4Q決算

イラストマンガ制作ソフトのクリップスタジオや車載向けのUI開発ソリューションを提供している会社。

クリップスタジオはアマチュアからプロのクリエイターまで幅広く利用されているソフトとのこと。累計出荷本数は1,000万本を突破しており、全体の60%以上が海外シェアとなっている。昨年は従来より利用可能だったiOS版に加えて windows・mac、andoroid でもサブスクリプション課金モデルの提供を開始した。

 

4Q累計の業績は前年比で売上高+18%の増収、経常利益+225%の増益だった。経常利益は期首の予想を大幅に上振れて着地した。

4Q単体だと売上高+28%の増収、経常利益-0.36億円→1.41億円の黒字転換となる。

 

セグメント別の業績。

クリエイターサポート事業は好調が続く。4Qは前年比で売上高+41%の増収、セグメント利益+207%の増益となった。

年間の累計だと売上高は前年比+33%の48億円、セグメント利益(営業利益)は前年比+111%の14.6億円。

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クリエイターサポート事業が好調な一方でUI/UX事業は赤字が続く。4Qは前年比で売上高-2%の減収、セグメント利益-1.75億円の赤字だった。3Qにカンデラ社ののれんを全額減損して償却費が減ったにもかかわらず赤字額は3Qより増えている。

年間の累計は売上高-11%減収の15.8億円、セグメント利益は赤字拡大の8.1億円の損失。

中期経営計画によるとこの事業の赤字はしばらく続く見込み。赤字額は21年に3億円、22年に2.4億円となっている。なお、のれん等の償却費も24年まで残る。21年~23年は1.2億円、24年に0.3億円の償却費。

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バランスシートには現金が29億円ある一方で有利子負債はゼロ、総負債は16億円。

 

今期の予想は売上高+5.7%増の67.3億円、営業利益+19.2%増の9.2億円、経常利益+17.3%増の8.7億円。

増収増益だが去年11月に発表した中期経営計画の売上高69.8億円、営業利益10.7億円より下振れしている。

決算と同時に発表した孫会社の売却により売上高6.7億円、経常利益0.31億円が消えるので売上高の下振れは説明がつきそうだが営業利益の下振れはよく分からない。

 

中期経営計画とのズレといった細かい点より気になるのが、クリエイターサポート事業の今期計画の弱さだと思う。

中期経営計画に記載されていた今期予想は売上高54.9億円・営業利益13.7億円だが、実績で売上高48億円・営業利益14.6億円も出ている。単純に比較すると今期は売上高+14%、営業利益は減益になってしまう。ここ2~3年の業績の伸びからするとかなり弱い。単に保守的な予想なのか、実績が巣ごもり特需でかさ上げされていたのか、UI/UX事業が予想以上に悪化しているのか、もう少し説明が欲しいところ。

 

現在の時価総額は165億円。今期PERは17倍だが孫会社売却による特別利益がある。経常利益×0.7で計算するとPERは27倍となる。

クリエイターサポート事業の実績のみで考えると、セグメントの営業利益14.6億円から税金30%を差し引いて10.2億円となりPERは16.5倍となる(この会社の営業利益と経常利益の違いは少ない。また、セグメントの調整額は1.22億円の利益だった)。

クリップスタジオの将来性やUI/UX事業の赤字をどう考えるかによって評価は変わるのだろうが、少なくとも割高感はないのかなと思う。

 

中国ADR(ATHM、KC、MOMO、WB) 2020年3Q決算

オートホーム、キングソフトクラウド、モモ、ウェイボーの3Q決算。

記事中のPER、PSRはすべてYahooFinanceのアナリスト予想の数字をもとに計算した。

 

・ATHM オートホーム

中国最大の自動車情報サイトを運営する会社。

3Qは前年比で売上高+7%、営業利益+16%だった。

セグメント別の売上高前年比は、メディアサービス0%、リード・ジェネレーション・サービス+1%、オンライン・マーケットプレイス&その他+31%。

 

各セグメントの事業内容は(合っているか分からないが)こんな感じのようだ。

・Media Services・・・自動車情報サイトのデータを利用した広告サービス・ソリューションを企業向けに提供。顧客は100社前後でトップ5が25%程度を占める。

・Leads generation services・・・ディーラーへのサブスクリプションサービスや広告サービスなど。

・Online marketplace and others・・・新車取引プラットフォーム(在庫を持たないフィーモデル)。中古車取引プラットフォーム(C2B2Cモデル)。自動車ローンや保険。データプロダクト(内容がいまいち分からなかったが最も伸びている)。

年次のセグメント売上高と営業利益をグラフにするとこんな感じになる。

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※2017年にオンラインマーケットプレイス・その他が大きく減っているのは直接販売から撤退したため。

 

株価は3年ほど横ばいのレンジで推移していたが、ここ数か月は堅調に上げている。

今期PERは21倍という適度な水準。

中国の自動車市場の回復によって恩恵を受けそうと注目したのだが、事業内容がいまいち分かりにくかった。

 

・KC キングソフトクラウド

中国でクラウドサービスを提供する会社。キングソフトからスピンオフ上場した。

マーケットシェアはアリババ、テンセント、ファーウェイ、バイドゥらに後れを取るものの独立系では最大とのこと。

3Qの売上高は前年比で+73%だった。営業利益は赤字が続く。

キングソフトクラウドのプラス材料は、強みを持つ動画セクターの成長率が高いこと、独立系のためマルチクラウドで恩恵があるかもしれないといったところ。

一方でマイナス材料は上位顧客への依存率が高いこと。最大の顧客とみなされているバイトダンスが自社クラウドを開始するというニュースがあった。

決算後の株価は好調。今期PSRは6.1倍。急成長のクラウド銘柄としては割安に思えるが、業界中堅で顧客リスクもあるのを不安視されているのかもしれない。

 

・MOMO モモ

ライブストリーミングとマッチングアプリの大手。

3Qは前年比で売上高-15%の減収、営業利益-47%の減益と厳しい決算だった。特に2Q比でも減収減益なのがきついと思う。

会社別に見るとモモが売上高-27%の減収、営業利益-46%の減益と業績悪化が加速している。

一方でタンタンは売上高+135%と大幅増収になった。ライブストリーミングの開始が貢献した。営業赤字は-229M人民元が-121M人民元に縮小している。

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有料ユーザー数(トータル)は前年比-2%の減少、うちタンタンは前年比-9%の減少。有料ユーザー数は前年比ではマイナスだが2Q比では増加している。とはいえ全体として横ばいといった感じ。

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4Qのガイダンスは売上高の中央値で前年比-21%の減収になる。

株価はここ1年で1/3近くまで暴落した。今期PERは7.1倍と非常に低いものの業績の悪化が続きそうなのが怖い。タンタンの急成長が頼みの綱だが、全体に占める比率はまだ2割程度にすぎない。

 

・WB ウェイボー

中国版ツイッター。全世界のSNSのユーザー数ランキングで10位に入る規模を持つ。

3Qは前年比で売上高0%、営業利益-7%だった。

売上高は新型コロナウィルスの影響から回復したものの、時系列で見ると2019年ごろから頭打ちになっている。

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営業利益もじり貧。営業利益率は30%超と高収益。

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月間アクティブユーザー数は2020年1Qをピークに減少に転じた。新型コロナ特需が剝げることで2Qが落ちるのは仕方ないが、3Qも連続して落ちたのは厳しい。この会社は業績が停滞する中でもユーザー数を伸ばしていたのが慰めだったのだが、ユーザー数も減少に転じるとなると期待できる点がなくなってしまう。

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株価は業績に合わせて低迷している。今期PERは19倍弱と割高感はない。中国屈指のSNSとしては評価が低いように思えるが、いまのところ低評価を覆せる要素がなさそう。

 

3186 ネクステージ 2020年11月期4Q決算

中古車販売の大手。輸入車ディーラーも運営している。

 

4Q単体は前年比で売上高+7%、経常利益+169%だった。

四半期の経常利益の推移を見ると3Qと4Qは過去に比べても異常な水準の利益が出ている。粗利益率は20%を超え、営業利益率も5%前後と以前(2%~3.5%程度)に比べて一段高くなった。

会社が挙げているのは、初期プライスの自動設定システムを構築、人件費を除く販管費の見直し、過剰な安売りを軽減といった要因。

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4Q累計の決算は前年比で売上高+10%、経常利益+11%だった。

期首の予想から1割ほど下振れしたもののコロナ下でも増収増益を維持している。

 

今期は売上高+16%、経常利益+64%という予想。

売上高の推移を見ると成長率は落ちている。前期停滞した分を合わせてもう少し伸びるかと思ったが控えめな成長率だった。

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一方で経常利益は大きく伸びる予想。利益率は3.8%と過去最高を更新する。

会社は2030年に粗利益率23%、営業利益率7%を目指すとしている。

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実績の出店は総合店+8、新車ディーラー+3、買取専門店+3だった。

今期は中型店+1、総合店+9、新車ディーラー+1、買取専門店+18という計画。

店舗数を単純に積み上げたのが下のグラフ。店舗の大型化という方針に従って中型店が減り総合店が増えている。

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バランスシートを見ると、現預金が110億円から274億円に、有利子負債が439億円から522億円へ増えた。結果として現金を控除したネットの有利子負債は328億円から247億に減っている。今期の経常利益107億円、実績の減価償却費33億円と比較すると、出店による投資負担さえなければそこまで大きい金額ではないと思う。

ただ、大型店を出店するのに1店舗あたり8~10億円の資金がかかるそうなので継続的な資金調達は必要になりそう。

他の項目を見ると、棚卸資産が392億円から334億円に減っている。2019年に悪化した棚卸資産回転日数は2~4年前と同水準に改善した。

 

決算を受けて株価は+10%ほど上げた。今期PERは15倍となる。

過去の成長率の高さや利益率の改善具合を見ると手ごろな価格に思えるが、成長率の鈍化や利益率の持続性の不確かさに注目した場合は適正価格かもしれない。

現在はコロナ下で中古車に追い風が吹いている。これが収まっても収益性を維持できるのかに注目だと思う。

 

2020年の感想と2021年のスタンス

今年は相場観がまったくダメで個別株は良かったという一年だった。結果としてリターンはほどほどで終わった。

相場観に関してはまず新型コロナウィルスの影響を軽く見たのがまずかった。コロナがニュースになり始めた当初は2011年の新型インフルエンザ程度の影響ではないかと考えてしまった。さらに底打ちからの上昇では二番底を警戒して強気になることができなかった。

ただ、株価の変動があまりにも急激でポジションを動かす余裕がなかったことや、昨年に子供が生まれてからポートフォリオのバランスを意識していたことで相場観が外れた影響はそれほど大きくなかった。

個別株は、主力として持っていた国内小型株、EV関連株、中国ネット株のどれも良かったが、とりわけEV関連株はバブル的に高騰した。ただ、こちらもキャッシュポジションと分散投資のために一部銘柄の急騰によって全体の成績が大幅に上がるということもなかった。バランスに気を配ったポートフォリオの狙い通りの結果で仕方ないのだが、個別株の調子が良くても影響が限定的というのは残念でもある。

 

来年の相場についてはさっぱり見当もつかない。

足元の株価と実体経済の乖離は大きいと思うしバリュエーションも高いと思う。

株価は長期の将来を反映するので短期的な落ち込みの影響は限定的、ワクチンによってしばらくすれば経済は正常化する、金利が低いからバリュエーションが高くなるのは自然といった話を見ると確かに理屈としてはそうなのだろうと思うが、一部グロース株のバリュエーションの高騰やバリュー株の放置され具合を見ると市場がそんなに理性的なのだろうかと感じてしまう。むしろ現金給付を含めた財政政策を伴った金融緩和によってバブル的な株高になっているという話の方が個人的な納得感は高い。

いずれにせよ今は実体経済とかバリュエーションなどはあまり意味のないものになっているのかなと感じる。現在の持ち株は保有を続けつつ、長期のトレンドラインを割ったらポジションを削減していくスタンスで2021年に臨もうと思う。

 

4666 パーク24

コインパーキング「タイムズ」を含む駐車場の管理運営を行っている会社。国内首位。レンタカーやカーシェアも行っている。

海外は韓国・台湾のほか、買収によりイギリスやオーストラリアなどに進出した。

 

売上高は順調に伸びていたが、新型コロナウイルスの影響により2020年10月期は-15%の減収となった。2021年は5%の回復予想。

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主要3セグメントの売上高。

2020年は前年比で国内駐車場-9%、海外駐車場-32%、モビリティ-14%。海外の落ち込みが最も大きい。

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EBITDA、営業利益、経常利益の推移(EBITDAは2013年以降)。

全体として増益傾向を続けていたが2020年は大幅な赤字に転落した。ただし、減価償却費が大きいためEBITDAベースでは黒字。営業キャッシュフローやフリーキャッシュフロー(営業CF-投資CF)も黒字となっている。

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主要3セグメントの営業利益。

国内駐車場とモビリティは大幅な減益だが黒字を維持している。海外駐車場が赤字の原因。

2021年は国内駐車場がかなり回復し、モビリティが最高益を更新する計画になっている。モビリティの営業利益は100億円と全体に占める割合も高くなってきた。

一方で海外駐車場は依然として赤字が続く見込み。海外はイギリスの比率が高いので来期も厳しいかもしれない。

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モビリティの売上高の内訳。

レンタカーも伸びているが、カーシェアの成長が著しい。2020年はレンタカーが落ち込む中でカーシェアは底堅く推移し、両者の売上高が同水準となった。

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営業利益を見るとレンタカーはほとんど増えていない一方でカーシェアが順調に成長している。カーシェアの営業利益率は20%近い高水準(2020年は18%)。

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会社は今期にレンタカーの車両を大幅に削減した(前期末30,620台→17,808台)。今後はカーシェアに注力していくようだ。

カーシェアリング市場動向によるとタイムズカーシェアのステーション数と車両台数は2位を大きく引き離している。競争優位はありそう。

カーシェアの市場規模だが、この調査によると2019年が482億円の見込みで、2030年には4,555億円にまで拡大すると予想している。この資料によるとレンタカーの市場規模は9,540億円(うち個人向け3,816億円)で、個人向けのカーシェア市場規模はレンタカーの1/12程度だそうだ。これだけ見るとカーシェアにはまだまだ拡大余地が大きそうに思える。

ただ、国際的に見るとカーシェアの先進国のスイスでも会員数は人口の2%程度とのこと。日本の会員数は200万人を超えており、会員数/人口で見た普及率は他国に比べると高い水準のようだ。

 

バランスシートは、現金555億円、短期有利子負債(リース含む)457億円、長期有利子負債(リース含む)1,593億円となっている。有利子負債は大きいもののキャッシュフローが黒字なのですぐに問題は起きにくいと思う。

12月に会社はのれんの減損で大幅に低下した自己資本比率を改善するために500億円の劣後ローンを発行した。これによって自己資本比率は18%まで上がるそうだ。

 

株価はピークから約半分の水準まで落ちている。時価総額は2,666億円。

好調時には140億円近くの純利益を出していたので、これを基準にするとPERは20倍を切る。業績回復を前提にすれば魅力的な水準に落ちてきた。

主力事業の国内駐車場はコロナが落ち着けば回復すると思うし、モビリティ事業ではカーシェアの成長に期待できる。

一方で海外駐車場は厳しい。今期の予想も赤字だし、イギリスの再ロックダウンも逆風になりそう。バランスシート上には依然としてのれんが168億円のっているのも不安な点に思える。

 

PLS.AX ピルバラミネラルズ

リチウム化合物の原料となるスポジュメン鉱石を採掘している会社。オーストラリア上場。

 

会社の保有する資産はオーストラリアの Pilgangoora。生産中の鉱山ではトップクラスの資源量をほこる。資源量・グレードともに高い Greenbushes(ティエンチ/アルベマール)は別格だが、Mt Marion(ガンフォン/ミネラルリソーシズ)、Pilgangoora(アルチュラ)、Mt Cattlin(ギャラクシー)よりもはるかに大きい。現状の生産キャパシティの下で鉱山寿命は40年以上になる。

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2015~2017年頃に起きたリチウムブームの結果、オーストラリアではギャラクシー、ピルバラ、アルチュラ、アリタらがスポジュメンの生産を開始した。しかし、2年以上も続くリチウム市場の低迷によってアルチュラとアリタは破綻に追い込まれている。

新興他社と比較するとピルバラはパートナーが豪華なのが特徴的。オフテイク契約の相手にはガンフォン、CATL、ポスコといった一流の会社が並んでおり、これらの会社はピルバラの株主にもなっている(ガンフォン6.86%、CATL8.24%、ポスコ3.69%)。ポスコとはJVで水酸化リチウムプラントを建設する計画がある。

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Pilgangoora でのスポジュメン精鉱の生産は2018年3Qに始まった。しかし、リチウム市場の悪化を受けて生産は停滞している。

ステージ1のネームプレートキャパシティは年間330Ktのスポジュメン精鉱だが、直近4四半期の合計は132Ktしかない。生産が倍増した3Qを年換算しても250Ktにとどまる。

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供給過剰によりスポジュメン精鉱は価格下落が続いている。

市場の逆風を受けて2020年6月期の決算は100Mドルの赤字となった。営業キャッシュフローも19Mドルの赤字。

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バランスシートのキャッシュは新株発行により86Mドルに増加した。

短期借入金は53Mドル、長期借入金は123Mドルとなっている。

 

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12月1日に会社は破綻したアルチュラマイニングを175Mドルで買収することを明らかにした。アルチュラの資源量は中規模クラスだが、ピルバラの資産に隣接しているため相乗効果が見込めると判断したようだ。買収資金は新株発行によって手当てする計画(240Mオーストラリアドルの増資)。

 

ピルバラの今後はスポジュメン価格の改善が前提になると思う。現在の価格ではキャッシュフローが赤字で存続が不可能。

価格は足元で改善する気配がある。しかし中長期的に見ると競合が多いため価格の予測は難しそう。Pilgangoora はトップクラスの鉱山だが、同レベルだけでもリオティントの Jadar(FSステージ)、アルベマールの Wodina(休鉱)、SQM の Mt Holland(来年1月に投資判断)、LTR の Kathleen(DFSステージ)といった鉱山がある。

現在のリチウム需要は炭酸リチウム換算で年間300Kt程度、これが2025年に800~1,000Ktになると予想されている。一方で Pilgangoora のステージ2が炭酸リチウム換算で100Kt(ステージ1は40Kt程度)という規模なので、同クラスの鉱山が多数開発された場合は需要が伸びても供給過剰になる可能性もある。

なお Mt Marion を参考にすると、鉱山開発は建設開始から出荷開始が1年程度、出荷開始からフル生産が1年未満となっている(川下のスポジュメン精鉱→リチウム化合物は別)。鉱石はかん水に比べると生産までの時間が短い。

 

ピルバラの現在の時価総額は2.19Bオーストラリアドル(≒1.66Bドル)。

先日 IGO が Greenbushes の25%と Kwinana 水酸化リチウムプラントの49%を1.4Bドルで購入すると発表した。水酸化リチウムプラントも入っているので Greenbushes のみの正確な評価は不明だが、この価格を基準にするとピルバラは十分に評価されているのではないかと思う。  

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IGOのプレゼンテーション資料

 

ORE.AX オロコブレ

アルゼンチンのオラロス湖から炭酸リチウムを生産している会社。オーストラリア上場。

 

オラロス湖の開発は2008年に始まった。2012年に豊田通商とのジョイントベンチャーを締結し、2015年に初の売上を計上している。

オロコブレのプロジェクトの持ち分は66.5%。豊田通商はプロジェクトの25%を持つほかオロコブレに15%の直接出資も行っている。

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2016年2Q(4-6月)から2020年3Q(6-9月)の炭酸リチウムの生産量と平均販売価格の推移。

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オロコブレのネームプレートキャパシティは年間17.5ktだが、稼働から数年たっても10~13kt程度の生産量に留まる。

平均販売価格は2018年3Qをピークに大幅に急落している。直近では3,102ドル/トンとキャッシュコストの3,974ドルさえ下回る。オロコブレの平均販売価格はSQMに比べても大幅に低い。全体の2~3割しかバッテリーグレードの炭酸リチウムを生産できていないのが原因と思われる。

 

現在、会社はステージ2の拡張と楢葉の水酸化リチウムプラント建設を進めている。

これらが完成した場合、ネームプレートキャパシティは42.5Ktまで増加し、内訳はバッテリーグレードの炭酸リチウム17.5kt、バッテリーグレードの水酸化リチウム10kt、テクニカルグレードの炭酸リチウム15.5ktとなる(あくまでも名目上。実際にはステージ1でもバッテリーグレードの炭酸リチウムを十分に作れていない)。

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ステージ2の生産はFY2023年(22年7月~23年6月期)に始まる予定。CAPEXは330Mドル。

楢葉のプラントでは年間10ktのバッテリーグレードの水酸化リチウムプラントを生産する。2021年後半から試運転が開始される予定。原材料である炭酸リチウムから水酸化リチウムを製造するコストは1,500ドル/トン程度。オロコブレの持ち分は75%でCAPEXは86.4Mドル。

 

なお、オロコブレはトヨタとパナソニックの合弁であるプライムプラネットエナジー&ソリューションにバッテリーグレードのリチウム化合物を提供する契約を結んでいる。炭酸リチウム換算で2021年の3Ktから2025年に30Ktまで拡大するそうだ。

 

業績を見るとリチウム価格の下落を受けて2020年(2020年6月期)は赤字となった。EBITDAベースでも赤字と厳しい。

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2020年6月時点のバランスシートは、キャッシュが172Mドル、短期借入金62Mドル、長期借入金158Mドルとなっている。

会社は8月に増資を行ったことで足元で100Mドルの余剰キャッシュを確保した。しばらくの間は財務的にも問題なさそうに思える。

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オロコブレの株価は他のリチウム株に遅れて11月に急騰した。YahooFinanceによると現在の時価総額は1.46Bオーストラリアドル(≒1.1Bドル)となっている。

会社の今後は楢葉の水酸化リチウムプラントの成否次第だと思う。これが成功すれば、現在のバッテリーグレード炭酸リチウム年間2~4Kt(残りはテクニカルグレード)の生産量が、バッテリーグレード炭酸リチウム2~4Kt + バッテリーグレード水酸化リチウム10Ktになる。ただ、結果が出るのは2022年以降になる。

 

中国ADR(NIO、XPEV、NIU) 2020年3Q決算

電気自動車のニオ、小鵬、電動バイクの小牛の3Q決算。

記事中のPERやPSRはすべてYahooFinanceのアナリスト予想の数字をもとに計算した。

 

・NIO ニオ

中国の新興EVメーカー。

2018年にプレミアムSUVのES8、2019年にES8より小型で廉価なES6、今年に入ってモデルYの競合となるEC6を発売した。

ニオのEVはバッテリー交換が可能という特徴がある。車体のみを購入しバッテリーをリースで利用するBaasも行っているそうだ。

四半期の納車台数は下のグラフのとおり。3Qは12,206台と2四半期連続で過去最高を記録した。10月は5,055台、11月は5,291台と好調を維持している。

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業績は赤字が続くが、粗利益は2Qから黒字転換している。3Qの粗利益率は12.9%まで改善した。

生産能力は2021年1月に月産7,500台に拡大させる計画。ニオは江淮汽車の工場内に共同工場を持つ。会社によると年間生産能力15万台まで拡大できるそうだ。

EVブームを背景に株価は高騰している。現在の時価総額は約600億ドルでホンダや日産を超えている。今期のPSRは25倍と自動車会社とは思えない水準。

ただし、ニオの2020年の販売台数は4万台程度の予想なので拡大余地はかなり大きい。また、テスラのような(オートパイロットなどの)ソフト販売収入やニオ独自のBaasが利益を生むのではという期待感もある。

 

・XPEV 小鵬

ニオや理想汽車と並ぶ中国の新興EVメーカー。3社の中では最もテスラに似た路線を取っているという評価。R&Dも大きい。

2018年にSUVのG3、2020年にセダンのP7を発売した。P7はカタログスペックではテスラモデル3を上回る一方で値段は安い。

納車台数の推移は下のグラフのとおり。P7の貢献により3Qは8,578台と大幅に伸びた。10月は3,040台、11月は4,224台と好調が続く。

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3Qの売上高はニオの半分以下。赤字も続くが、粗利益は初の黒字となった。

会社は広東省に年間生産能力10万台の工場を持っている。また同レベルの第二工場も建設するそうだ。

時価総額は318億ドル。今期のPSRは40倍近い値となっている。

 

 ・NIU 小牛

リチウムイオン電池を搭載した電動スクーターを製造販売している。高価格帯の製品が主体だったが、Gシリーズで中価格帯に進出した。

3Qは前年比で売上高+37%の増収、営業利益+51%の増益だった。

販売台数は前年比+68%と大幅に増加したが、Gシリーズの販売増加によりスクーター1台当たりの売上高は-19%と低下した。

四半期の業績推移を見ると、新型コロナウィルスの影響で1Qは赤字になったものの、それを除くとここ2年は営業黒字が定着している。

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中国では電動バイクの新たな規制が始まった。数年をかけて(都市により移行期間が違う)基準を満たした電動バイクに置き換える必要があるとのこと。Seeking Alpha に掲載されていた分析記事によると、基準を満たさない電動バイクの75%が4年で置き換えられると年間2,500万台の需要が生まれるそうだ(規制前の中国の年間需要は3,500万台)。

 

業界の追い風や新型コロナによる特需もあり株価も高騰している。今年の初めから約4倍に値上がりした。

今期のPERは77倍、来期は35倍と高い。

電動バイクはEVほど独自性が出せないのではないかという不安がある。

 

3663 アートスパークホールディングス 2021年3Q決算

イラストマンガ制作ソフトのクリップスタジオと主に車載向けのUI開発ソリューションを提供している会社。

 

3Q累計は前年比で売上高+15%の増収、経常利益+132%の増益だった。

3Q単体だと売上高+10%の増収、経常利益+824%の増益となる。

業績好調で通期の予想を大幅に上方修正した。

 

セグメント別の業績の推移を見ると、クリエイターサポート事業の絶好調が続く。前年比で売上高+39%の増収、セグメント利益+117%の増益となった。

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一方でUI/UX事業は自動車業界の落ち込みが向かい風となっている。売上高は前年比で-39%の減収。セグメントの赤字は3Q累計で6億円を超え、のれん償却費を差し引いても赤字。

なお、3Qにカンデラ社ののれんを減損したことでバランスシート上ののれんはゼロとなった。

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セグメントの業績を見てわかるようにこの会社の強さはクリップスタジオに尽きる。

クリップスタジオはエントリーユーザーからプロのクリエイターまで幅広く利用されており、プロのなかではディフェクトスタンダードとのこと。

累計出荷本数は10月に900万本を突破した。会社の資料によると伸び率も加速している。

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日本のソフトウェアにしては珍しく海外利用者が60%を占めているのも大きな特徴。2025年にはこの比率を80%まで高めると言っている。

 

中期経営計画では2021年以降のクリエイターサポート事業の売上の内訳が開示されている。

これまで電子書籍ソリューションやクリップスタジオのサブスクリプションの比率が不明だったので(実績値ではないが)内訳を示してくれたのはありがたい。

ただ、最も期待のかかるクリップスタジオのサブスクリプション比率はまだ低いようだ。

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中期経営計画では2025年に営業利益8倍という夢のある数字も出している。

ただ、クリエイターサポート事業の来期の営業利益は今年に比べて余り伸びていないように見える(今期は3Qまでで営業利益12億円出ている)。巣ごもり特需があったのかもしれない。この計画を前提とするなら来期のグループの業績はのれん償却費の減少による増益になりそう。

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バランスシートは健全。現金の23億円は総負債の15億円を上回っている。

 

アートスパークの株価は8月以降に大きく値上がりした。現在の時価総額は180億円。

今期のクリエイターサポート事業は13億円ほどのセグメント利益が出そうなので、UI/UX事業の赤字を無視したPERは20倍程度になりそう。

クリエイターサポート事業の好業績やSaas関連銘柄として考えると割安に思えるが、株価高騰前と比べると将来成長への期待が大きくなり安全域は少なくなったと思う。