再生可能エネルギー施設の開発運営を手掛ける会社。
2020年3月末時点の運営施設は12カ所。太陽光が11カ所、バイオマスが1カ所となっている。
現在は太陽光の比率が高いが、今後数年で大型のバイオマス発電施設が4か所稼働する。同時に風力発電にも注力しており、将来的には風力を伸ばしていくようだ。
過去5年と今期(予想)の業績。
直近4年は利益が大きく伸びていたが、今期予想は前年比で売上高+5%の増収、経常利益-25%の減益といまひとつの数字だった。
セグメント別の売上高。
今期は再生可能エネルギー開発・運営事業が大幅減収になる見込み。
※2017年までプラスチックリサイクル事業があったが省略した。
セグメント利益(EBITDA)。
再生可能エネルギー事業は右肩上がりだが、開発・運営事業が赤字の予想となっている。
今期の開発・運営事業が減収減益になっているのは事業開発業報酬の大幅減が大きいようだ。
事業開発報酬は、2018年10億円、2019年22億円、2020年45億円、2021年26億円(予想)となっている。
その他に人件費等の先行投資費用も赤字の要因となる模様。
なお、会社によると中期的には売電収入がEBITDAの大宗を占める収益構造になるとのこと。
過去5年の発電所の数と出力の推移。
前期に3つの太陽光発電所が稼働したことで発電所出力が大きく増えている。
今後の新規発電所だが、2021年はゼロ、22年は苅田バイオマス、クアンチ風力、軽込存亡ソーラーの3つ、23年は徳田津田バイオマス、24年は御前崎港バイオマス、石巻ひばり野バイオマスとなっている。
今後数年の業績をけん引するだろうバイオマスの進捗状況は下のとおり。
4か所のバイオマス発電所はいずれも出力75MW級と大きい。1か所あたりの想定売上高は年間130億円、EBITDA50億円とのこと。2020年の売上高が200億円以下なのを考えると相当にインパクトが大きい。
なお、現時点で稼働している発電所の売上高と設備容量は以下の通り。
※那須鳥山、軽米西、軽米東はまだ通期で稼働していない。
大型のバイオマス発電所が稼働することで売電量は大幅に増える見込み。会社によると5年以内に5倍超に成長するそうだ。
EBITDAは連結化が想定される発電所が寄与する2023年以降に大幅に伸びるとのこと。
22年に稼働予定の苅田バイオマス事業とクアンチ風力事業は持ち分法適用のためEBITDAへの影響は限定的となる。
今後数年はバイオマスが業績をけん引しそうだが、さらに長期では風力に注力していくようだ。
現在発表されている計画は、クアンチのほかに苓北(陸上風力、50WM、24年稼働目標)、阿武隈(陸上風力、150WM)、由利本荘(洋上風力、700WM)がある。特に由利本荘は巨大な発電施設となりそう。
BSを見ると現預金が約250億円に対して有利子負債は1,000億円超となっている。前期のEBITDA112億円と比較しても有利子負債は大きい。ただ、電力会社なので有利子負債がある程度大きいのは仕方ないかもしれない。
再生可能エネルギーへの短期的な資金流入によってレノバの株価は急騰した。現在の時価総額は1,350億円。
2021年はすべての発電所が通期寄与するなかで経常利益は35億円の予想となっている。
会社の発電所の持ち分は容量333MWのうち241MWなので、単純に計算すると純利益は20億円程度になるのではないかと思う。
開発・運営事業を無視しているが、足元の業績だけ見ると割高だと思う。
今後数年で業績に貢献するバイオマスだが、発電所1か所の想定EBITDAは50億円とのこと。
秋田バイオマスを参考に純利益をEBITDAの4割とすると純利益20億円、レノバの持ち分が半分程度なので10億円くらいの貢献になりそう。発電所は4か所なので合計40億円。
バイオマスと足元の純利益と足すと60億円でPERは20倍弱と妥当な数字になる。現在の時価総額はバイオマス発電所の業績寄与がかなり織り込まれている水準なのかなと思う。さらなる株価上昇は風力発電がどれくらい伸びるかによりそう。
なお、会社の資料に経常利益とEBITDAの収益推移イメージがあった。
経常利益は稼働年数によって変わってくるので、稼働の短いソーラー発電所が4か所ある今期の経常利益(予想)はやや過小評価かもしれない。
個別の発電所の業績を見ると、稼働4年以上のソーラー発電所の経常利益はEBITDAの3~5割くらい(九重ソーラーのみかなり低い)、3年稼働の秋田バイオマスは6割近くとなっている。