投資の勉強まとめ

株式投資についての勉強のまとめ。

 

株式投資のリスクとリターン

クレディスイスが発行しているグローバル・インベストメント・リターン・イヤーブックによると、過去50年間の株式投資の(インフレ調整後の)年間リターンは4~7%の国が多かった。

今後もこの傾向が続く保証はないものの、投資計画を立てるときはひとまず年間5~6%を株式投資のリターンとして考えておくのが無難だと思う。

 

5~6%の実質リターンに対して株式投資のリスクはかなり大きい。

国や時期にもよるが年間リターンがマイナスになるのは4年に1度くらいで、厳しい下げ相場ではマイナス40~60%もの損失となり、ときに10年以上にわたって株価が低迷することもある。

 

アセットアロケーション

株式投資を始めるにあたってまずアセットアロケーション(資産配分)を決めなければならない。

ファイナンスの世界では、リターンの大部分がアセットアロケーションによって決まるというのが定説となっている。

どの銘柄を買うかという問題よりも、資産の中で株式をどれくらい持つかという問題の方が重要だということだ。

 

アセットアロケーションの中で最も重要なのがリスク資産と安全資産の比率だろう。この問題に正解はないが、自分の満足できるリターンと許容できるリスクを天秤にかけて決めるのが良いと思う。

 

低成長国の投資家としては、成長率の高い国により多く投資すべきか迷うところだ。

理屈的には経済成長率の高い国の方がリターンも高いように思える。ただ、実際には明確に断言できるほどの違いはなさそう。

 

海外資産に投資する場合、為替をヘッジすべきかという問題が出てくる。暴落時に円高に振れることの多い日本の投資家としてはヘッジコストさえなければ為替ヘッジをしたくなる。

 

アクティブ投資かインデックス投資か

いよいよ株を買うという段階になるとアクティブ投資かインデックス投資のどちらかを選ぶことになる。

アクティブ投資は投資する銘柄やタイミングを自分で選ぶという手法、インデックス投資は市場そのものを丸ごと買って持ち続けるという手法だ。

一般的に市場は効率的なのでアクティブ投資によって市場平均を上回るのは難しいというのが定説になっている。

 

インデックス投資が優れた手法なのは間違いないが、問題はリターンが少ない点だろう。

過去を振り返ると株式投資の実質年率リターンは5~6%程度だったが、普通の人がこのリターンで大きな資産を築くことはかなり難しいと思う。


アクティブ投資の手法

アクティブ投資の手法は千差万別だ。どの手法でも成功している人はいるので、偏見を捨てて自分に合った方法を選ぶのが良いと思う。

 

ファクター投資

有効性がある手法として人気が出ているのがファクター投資だ。

ファクター投資とは超過リターンを出した実績を持つ指標に定量的に投資をする方法で、最近はスマートベータという名前でETFが作られている。

 

下の記事は主要なファクターについての簡単なメモ。

 

正確な知識が欲しい人は「ファクター投資入門」を読むのが良いと思う。


データが豊富なアメリカ市場での各ファクターのリターンをグラフにしてみた。

 

世界市場での5ファクターモデルの有効性を調べた論文もある。

 

日本市場でのファクターリターンはこちら。

 

ファクター投資は過去のデータを使った検証では有効だが、最近は主要ファクターの成績が低下している。

仮にこの低迷が一時的なものだとしても、過去を振り返るとそれぞれのファクターは10年単位で成績が悪いことがあった。

現実的には10年間も低迷する戦略を使い続けるのは難しいので、長期でファクター投資が有効だとしても単純に単一ファクターを買っておけば良いというほど簡単な話ではなさそうだ。

 

マーケットタイミング

銘柄選択以外のアクティブ投資といえばマーケットタイミング戦略がある。

一般的にはマーケットタイミングは不可能と言う人が多い。しかし、ITバブル崩壊やリーマンショックといった株価暴落の厳しさを目の当たりにすると、何とかして下落相場を避けたいと思うのは自然なことだろう。

以下に可能性がありそうなマーケットタイミング戦略を紹介する。

 

① テクニカルによるマーケットタイミング

長期トレンドによるマーケットタイミング戦略は有効性がありそう。

トレンドを使う方法は伝統的には商品先物市場で使われてきたが、最近になってアカデミックの世界からも絶対モメンタム、タイムシリーズモメンタムとして研究が出ている。

手法としてはシンプルだがボラティリティを大きく減らす効果が期待できる。

 

② バリュエーションによるマーケットタイミング

バリュエーションが割高なときにその後の株式リターンが悪くなり、割安なときに株式リターンが良くなるという傾向があることはロバート・シラー教授の研究で報告された。

ただし、この傾向はあくまでも長期の話であり、今年来年の株価がどうなるかといった短期の予想にはあまり役に立たない。

また、90年代以降のアメリカ市場ではほとんどの期間で平均以上のバリュエーションをつけており、マーケットタイミングとして機能しているとはいい難い状況となっている。

 

①の長期トレンドと②のバリュエーションを組み合わせた方法もある。


③ マクロ経済によるマーケットタイミング

リセッションの時期の株式リターンは平時よりも悪くなる。また、株価の暴落時にはほとんどの場合リセッションが起きている。よってリセッションを予想することでマーケットタイミングを取るというのはベーシックな方法に思える。

この方法の問題は、リセッションが起きても株価が下がらないこともあること、株価の反発は景気の底打ちよりも早い傾向があること、そもそもリセッションの予想が難しいことだろう。

 

株価は右肩上がりで暴落はめったに起こらないことから基本的にマーケットタイミングは難しい。

上に挙げた長期トレンド、バリュエーション、マクロ経済から予想という方法も単純にそれを使ってリターンを上げれるというレベルの話ではない。

しかし皆が無理だと思っているだけに挑戦しがいのある課題ではあると思う。