MOMO 陌陌 2020年2Q決算

中国のライブストリーミング大手。マッチングアプリとして紹介されていることも多い。

2018年に同じくマッチングアプリ最大手のひとつタンタンを買収した。

 

2Qは前年比で売上高-7%、営業利益-12%、営業利益率+21%だった。

1割前後の減収減益だが、前年にモモ・タンタンアプリが規制を受けたことを考えると数字は悪い。1Qからの回復も鈍い。

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売上高の内訳。

モモは1Q比では増収になったものの前年比では-14%の減収だった。

ライブ動画配信は上位消費者への依存度が高く、彼らの多くは自分のビジネスを持っている。そのビジネスが景気の影響をうけているという話があった。

ライブ動画配信が苦戦する一方でVASは堅調に伸びている。タンタンを除くVASの売上高は前年比+32%増加して8.8億RMBに達したそうだ。モモコアのライブ動画配信の売上高が24億RMBなのでVASはかなり大きな割合を占めるようになっている。

タンタンは前年比で+82%の大幅増収となった。ライブ動画配信を始めたことが原因。ライブ動画配信はいまのところテストモードでユーザー体験の向上が優先事項とのこと。

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営業利益の内訳。

モモは前年比で-30%の減益だった。タンタンは赤字幅が縮小している。来年はタンタンが黒字化する年になるのではないかとの話があった。

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MAUは1Qから回復したもののピークには達していない。

モモ・タンタンアプリの規制があったことも影響しているが、ここ1年以上に渡って低迷している。

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トータルの有料ユーザー数は横ばい。

モモの有料ユーザー数は30万人増加して920万人となったが、タンタンの有料ユーザー数が30万人減少して390万人になった。タンタンの有料ユーザー数は8月には410万人まで戻しているとのこと。

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3Qのガイダンスは売上高37~38億RMB。2Q比で微減となる。

決算と同時に3億ドルの自社株買いを発表した。

 

軟調な決算と3Qの見通しを受けて株価は暴落した。

YahooFinanceの数字を使うと今期PERは7.3倍、来期PERは5.6倍となる。

 

2Qは厳しい決算だった。

業績の回復が鈍いうえ3Qのガイダンスも悪い。成長事業になると思われていたタンタンの有料ユーザー数が2四半期連続で減っているのもつらい。

ただ、新型コロナウイルスがマッチングアプリに悪影響を与えているのは考慮する必要があるのかなとも思う。とりわけタンタンはオンラインマッチング→オフラインデートのピュアプレイヤーなので新型コロナウイルスの影響が大きいとの話もあった。

タンタンは依然として中国トップのマッチングアプリで、こちらのサイトによると世界のデーティングアプリ部門で6位の売上高となっている。有料ユーザー数は3Qに成長軌道に戻っているようだし、ライブ動画配信もスタートして売上高も伸びているし、近い将来の黒字化も視野に入れている。良い話も多い。

仮にタンタンのユーザー数が成長軌道に戻り、モモコアのVASの好調とライブ動画配信の底打ちが重なれば業績は大きく回復する。バリュエーションが非常に低いのでうまくいけば大きな利益を狙えると思う。もちろんこのままじり貧という可能性もあるが。

 

足元のEVの販売状況

2018年1月から今年7月までの世界のEV販売台数をグラフにしてみた。データはEV salesの数字を使わせてもらった。

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販売台数は2018年12月(前年比で見ると2019年6月)にピークをつけ低迷が続いていたが、7月は前年比+67%と久々に大幅プラスになった。

好調をけん引するのがヨーロッパで7月は前年比+217%というすごい数字が出てきた。ヨーロッパは昨年末から急激に伸びており、今年の1月、2月、6月も前年比2倍前後の大幅増加となっている。もう一つの巨大市場である中国が低迷しているため、販売台数は中国を超え、全体に占めるシェアも46%に達している。

ヨーロッパが伸びているのは排ガス規制の期限が迫っているためだろう。ヨーロッパの規制は数値目標や罰則が厳しいため自動車メーカーは本腰を入れてEV開発に取り組んでいる。

EV、欧州で新段階に 規制まで2年 基幹技術の外販や量販型登場

 欧州、自動車再編の震源に 環境規制、罰金4兆円試算も

アングル:欧州自動車メーカー、排ガス規制対応は「待ったなし」

これに加えて新型コロナウイルスで落ち込んだ自動車産業の支援策として各国から大型の補助金政策が発表されている。今後もしばらくヨーロッパの高成長は続きそうだ。

 

ヨーロッパが好調な一方で中国は低迷が続いている。

低迷のきっかけは2019年7月の補助金引き下げだが、そこから1年たっても以前の高成長には戻れていないのが問題だと思う。

中国政府は今年予定されていた補助金の全廃を見送ったり、2025年のEV販売目標を20%から25%に引き上げたりとEVの普及を諦めていないように見える。ただ、残念ながら十分な効果が出ていない。

中国の低迷の原因はよく分からない。補助金頼みで品質の向上が伴っていなかったというのが分かりやすい説明だが、実際のところどうなのかという解説記事は見当たらなかった。

 

今後のEVの販売台数だが、短期的にはヨーロッパ、中国、(世界の販売台数の約2割を占める)テスラの販売台数に左右されると思う。

このうちヨーロッパは補助金効果から伸びるのは間違いなさそう。

テスラもこれまでの実績を見ると問題なさそうに思える。今年発売したモデルYは人気の高いSUVでモデル3よりも売れることが期待されている。

中国に関してはよく分からない。中国が復活するようであればEVの販売台数もすごい伸びが期待できるのだが。

 

中長期的には一般の人々にEVが普及するかが問題になると思う。これを実現するにはEVがガソリン車に対して価格競争力を持つ必要があると思う。

ヨーロッパでは補助金込みではあるが同レベルのガソリン車よりも車両価格の安いEVが出てきた。今後のヨーロッパでの新型EVの売れ行きに注目だと思う。

エンジン車より安くなるEV、VW「ID.3」納車へ

 

HUYA 虎牙、DOYU 闘魚 2020年2Q決算

中国のゲーム動画配信サイトの大手。

 

2Qの業績は、虎牙が売上高+34%増の26.9億RMB、営業利益率7.5%で営業利益2.7億RMB、闘魚が売上高+34%増の25億RMB、営業利益率9%で営業利益2.8億RMBだった。

 

両社の四半期の売上高の推移。

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営業利益の推移。

売上高や黒字化は虎牙が先行しているが、直近の営業利益は闘魚の方が大きい。

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MAUは虎牙1.68億人、闘魚1.65億人。モバイルMAUは虎牙7,560万人、闘魚5,840万人。

モバイルMAUは虎牙が先行している。

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有料アカウントは虎牙620万人、闘魚760万人。マネタイズは闘魚の方が積極的なようだ。

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虎牙と闘魚は事業内容も規模もほぼ同じ、筆頭株主も同じくテンセントとなっている。

8月にはテンセントから合併の打診を受けた。合併が実現した場合、テンセントのもとで大きなシェアを持つゲーム配信企業が誕生する。両社にとってプラスだと思う。

テンセント、ゲーム実況2強「虎牙」と「闘魚」の合併を推進 ライバルとの競争に備える 

 

YahooFinanceのEPSを使うと虎牙の今期PERは32倍、来期PERは23倍、闘魚 の今期PERは28倍、来期PERは20倍となる。成長率からすると妥当な価格に思える。

 

1772.HK ガンフォンリチウム 2020年2Q決算

中国のリチウム大手。川上のリチウム資源開発から川下のバッテリー製造やリサイクルまで手掛けている。中国では天斉リチウムと並ぶ2強。深セン(002460)と香港(1772)に重複上場している。

 

中間決算は前年比で売上高-15%の減収、純利益-47%の減益だった。2Q単体では、売上高-12%の減収、純利益+233%の増益となる。

四半期の売上高と純利益の推移を見ると、業績は依然として厳しいものの1Qに比べると売上高・純利益ともに大きく改善している。

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利益が改善したのは原材料となるスポジュメン精鉱の価格低下が背景にあるようだ。Fastmarketによるとスポジュメン精鉱(5~6%)の6月の価格はトン当たり400~430ドルまで下がっているとのこと。

一方でリチウム化合物の価格も相変らず下落が続いている。中国での価格は2018年中頃に比べて半値以下になった。

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国際価格は中国価格と比べると高値で推移している。2020年は比較的安定しており底打ちも期待される。

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上流権益や生産設備についてもいくつかコメントがあった。

・アルゼンチンの Cauchari-Olaroz を開発している Minera Exar の持ち分を51%に引き上げた。Cauchari-Olaroz は2021年に生産開始の予定。

・Xinyu に年間キャパシティ50Ktのバッテリーグレード水酸化リチウムプラントを建設中。2020年末までに生産開始の予定。

・2025年に鉱石から100Kt、かん水とクレイから100Ktのリチウム化合物を生産する目標。

その他、8月に江西汽車の子会社が持つリチウム化合物の生産設備を引き受けるというアナウンスがあった。期間は2020年10月~2023年3月まで。

Ganfeng to expand lithium production via cooperation agreement with Jiangte Motor

 

バランスシートを見ると現金同等物27.6億RMBに対して、短期借入金29.6億RMB、長期借入金21億RMB、転換社債7.8億RMBとなっている。

フリーキャッシュフローのマイナスから借入金が徐々に増加している。

 

決算を受けて株価は下げたもののここ1年で4倍に急騰している。実績PERは140倍、ピークの2017年のEPSを使うと20倍程度となる。

ガンフォンリチウムは投資可能なリチウム専業大手という貴重な存在だが、アルベマールやSQM並みの時価総額で評価されており割安感がない。

 

YY JOYY 2020年2Q決算

中国のライブストリーミングサービスの老舗。買収したBIGOの運営するBIGO Live(ライブストリーミング)とLikee(ショートムービー)が中国外で急成長している。

ゲームストリーミングのフヤも子会社に持っていたが、2Qに株式の一部をテンセントに売却したことで連結から外れている。依然としてフヤの株式の16%程度を持つが、これも時期を見て売却するとのこと。

 

2Qの業績は、YY本体が前年比で売上高-9%の減収、営業利益-31%の減益、 BIGOが売上高+149%の増収、営業利益3.8億RMBの赤字(前年6.8億RMBの赤字)だった。

 

下のグラフはYYとBIGOの売上高の推移。

YYの売上高は緩やかに伸びていたが、直近2四半期は前年比で減収となった。BIGOは急成長しており2Qの売上高はYYを上回った。経営陣によるとBIGO LiveはYY Liveの4倍の売上高を出せる可能性があるとのこと。

なお、LikeeはMAU1憶5千万人とBIGO Liveを大きく上回るが、投資フェーズのため売上高はBIGOの1割以下にとどまるそうだ。

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続いて営業利益の推移。

YYは長らく横ばいを保っていたがここ2四半期は落ち込んでいる。

BIGOはLikeeへの投資が重く赤字が継続しているものの年度末までに月ベースで黒字化するとのこと。

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現在のYYの時価総額は66億ドル。

バランスシートにはキャッシュ+短長投資が42.5億ドル、有利子負債が9億ドル、総負債が16億ドルある。

過去4四半期のYYのセグメント利益は3.3億ドルなのでネットキャッシュとYY単体の業績だけで考えても割高感はない。

これにプラスされるBIGOだが、こちらのサイトによるとBIGO Liveは全世界のアプリ売上高ランキング(7月)で7位、Likeeは全世界のアプリダウンロードランキング(7月)で9位に入っている(ただしライバルのTikTokが1位)。普通に考えればこれほどのアプリを抱えているのであればもっと高く評価されても良いと思う。

ただ、足元ではインドが中国製アプリを禁止したり、アメリカがTikTokの規制を発表したりと逆風が吹いている。YYにとっては中国から世界に軸足を移してようやく芽が出てきたタイミングなだけに厳しいところだと思う。

 

SQM ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ 2020年2Q決算

特殊肥料、ヨウ素、リチウムで高いシェアを持つチリの化学メーカー。

 

2Qは前年比で売上高-7%の減収、調整EBITDA-6%の減益、純利益-28%の減益だった。

業績は良くないものの1Qからは改善している。

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セグメント別の売上高は特殊肥料とリチウムが前四半期比で増収、ヨウ素は減収となった。

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売上高は減収だが粗利益の段階ではヨウ素が全体の39%を占めている。次いで特殊肥料が大きく、この2部門で粗利益の7割以上を稼いでいる。

下のグラフはセグメント別の純利益の推移(2020年1Qまで)。少し長い期間で見てもヨウ素の比率が増えていることが分かる。ヨウ素の今年の需要は前年よりも落ちるとのことだが、2Qの価格は横ばいで厳しい環境の中でも健闘している。

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リチウムセグメントの販売数量と販売価格は下のグラフのとおり。

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・販売価格の下落は継続しており下半期も下落圧力が続く。

・販売数量は12.6Ktと1Qから大きく増加した。

・今年の販売量は前年の45Ktを上回る見込み。

・生産量は拡張後のキャパシティである年間70Ktのペースまで増加した。

・販売量と生産量のギャップから在庫は増えており、在庫は炭酸リチウム換算で20Ktに達する。

・在庫は年末までにさらに増える。今後の需要増加に備える。

・ 2025年にリチウム市場が年間800Ktに拡大するとの見方を変えない。

・拡張プランに変更なし。2025年に150Kt以上の販売量を見込む。マーケットシェアを取りに行く。

・現在のキャパシティは炭酸リチウム70Kt。水酸化リチウム13.5Kt(自ら生産する炭酸リチウムが原料)。

・水酸化リチウムのキャパシティは年末までに20Ktに拡大する。

・中国での販売が1/3以上を占める。

 

リチウムの開発・拡張計画が相次いでストップする中でSQMは強気な姿勢を崩していない。

ただ、SQMの平均販売価格はトン当たり6.8ドルとかなり低く、実際のところどのくらいの量のバッテリーグレードのリチウム化合物を生産できているのかよく分からない。

Fastmarketによると現在のバッテリーグレードのリチウム化合物のトン当たりのスポット価格は、炭酸リチウムが中国国内5.3~5.9ドル、日中韓向け海上価格6.5~8ドル、ヨーロッパ・アメリカ8~9ドル、水酸化リチウムが中国国内6.3~7.1ドル、日中韓向け海上価格8.8~10、ヨーロッパ・アメリカ9.75~10.5ドルとなっている。

 

バリュエーションはアルベマールに比べると高めになっている。YahooFinanceのEPSを使うと今期PER33倍、来期PER24倍となる。

 

JD JD.com 2020年2Q決算

前年比で売上高+34%の増収、営業利益+123%の増益。好決算だった。

新型コロナウイルスの影響で1Qが落ち込んだことを除くと、2019年1Qを底に売上高の伸び率が再加速している。

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好調なのは二線級以下の都市(lower-tier city)への進出に成功したことが原因のようだ。

2Qの年間アクティブカスタマーは前年比+30%増加して4.17億人となったが、増加したユーザーの80%が二線級以下の都市からだったそうだ。

 

売上高の内訳を見ると商品とサービスの売上高はともに3割前後の伸び率となっている。

サービスではロジスティクスが約4割を占めるほどに成長した。JDロジスティックスはnon-GAAPベースで黒字転換したとのこと。

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JDの利益率は継続的に改善している。JDリテイルのnon-GAAP営業利益率は3.1%に達した。

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好調な決算を受けて株価は上げている。

YahooFinanceのEPSを使った今期PERは50倍近くと高い。ただ、今期PSRは1倍弱と低い。

JDのバリュエーションは利益率次第になると思う。仮に純利益率が5%であればPERは20倍になる。

以前のカンファレンスコールでは、長期的にJDリテイルの純利益率は1ケタ台後半を目指すという話があった。

 

BIDU バイドゥ 2020年2Q決算

前年比で売上高+1%の増収、営業利益は大幅増益(前年2.3億RMB→36.4億RMB)だった。

セグメント別に見るとバイドゥコアは-3%の減収+135%の増益。iQIYIは+4%の増収12.8億RMBの赤字(前年は18.7億RMBの赤字)となっている。

 

四半期ごとのセグメント利益の推移をグラフにするとこうなる。

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バイドゥコアは2019年1Qを底に回復を続けていたが、新型コロナのため1Qに再び落ち込んだ。2Qは回復傾向だが以前の水準には戻っていない。

iQIYIは相変らず赤字が継続している。iQIYIを巡っていくつかのニュースが出ている。

動画配信業界揺るがす テンセント、バイドゥ傘下「愛奇芸(iQiyi)」買収検討の「裏事情」

中国動画配信サービス「愛奇芸(iQiyi)」、米SECが調査

テンセントの出資交渉は失敗?「愛奇芸(iQiyi)」が香港への重複上場を検討か

iQIYIは赤字がひどいうえコア事業との関連性が深くないことからテンセントに売却できれば一番良かったのではないかと思う。

 

バイドゥは事業を個別に見ていけば割安感があると思う。

・時価総額428億ドル。

・315億ドルの現金・長短投資。94億ドルの有利子負債。187億ドルの総負債。

・iQIYIの時価総額140億ドル(持分は半分程度)。

・バイドゥより売上高の低い金山クラウド(1Qの売上高14億RMB)の時価総額は65億ドル。

・過去4四半期のバイドゥコアのセグメント利益(税前)は26億ドル。

 

しかしながらバイドゥの評価は長らく低迷している。

最大の問題は成長性が見えないところだろう。主力の検索が頭打ちとなる一方で、注力しているAI(自動運転のApollo、音声アシスタントのDuerOS、クラウドなど)の成果がいまひとつ出ていない。

唯一クラウドは売上高が20億RMBを超えたという前向きな話があったが、業界ではアリババやテンセントに次ぐ3番手グループの1社というポジションにとどまっている。 

 

LTHM ライベント 2020年2Q決算

FMCからスピンオフされた会社。リチウム専業。アルゼンチンのオンブレ・ムエルト湖からリチウム化合物を生産している。

カンファレンスコールによると炭酸リチウムの生産コストは下位1/4、水酸化リチウムの生産コストは下位1/2に入るそうだ。戦略的にハイエンドの水酸化リチウムに注力している。

ライベントはかつてのビッグ3の一角だが、現在はアルベマール、SQM、ティエンチ、ガンフォンの4社と比べると規模が小さい。

 

2Qの売上高は前年比で-43%の減収。営業利益は1.9Mドルの赤字、純利益は0.2Mドルの赤字だった。EBITDAは3.8Mドル、調整EBITDAは6.4Mドルと黒字を維持した。

上半期の営業キャッシュフローは0.3Mドルのマイナス、調整営業キャッシュフローは3.4Mドルのプラスとなっている。

 

四半期の業績の推移はこんな感じ。1Qと比べると売上高の減少は続いているが、営業利益の赤字は横ばいとなっている。

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・売上高のマイナスの内訳は数量が2/3、価格が1/3とのこと。数量減の影響が大きい。

・顧客は2020年の契約量は購入する意向だが、これを達成するには下半期の販売量が増加する必要がある。現在の状況からすると販売の多くは4Qになりそう。

 ・マージンの低下は、販売価格の下落とサードパーティーから購入した炭酸リチウムを使った水酸化リチウムを販売したため。サードパーティー製の炭酸リチウムの在庫は上半期に大部分を使用したものの下半期にも影響は残る。 

・アルゼンチンの生産設備は2週間のシャットダウンのあとに再開した。2020年のアルゼンチンからの炭酸リチウムと塩化リチウムの生産量は2019年と同レベルになる。

・計画していた拡張プロジェクトはCOVID-19のためストップしている。長期の拡張計画は実行していくが現時点ではスケジュールの詳細は未定。COVID-19の影響が消え、十分なリターンを得られるリチウム価格になる必要がある。

 

バランスシートを見るとキャッシュは17.2Mドル、長期借入金は208.7Mドルとなっている。1Qと比較するとキャッシュがやや増えて、借入金がやや減った。

会社は6月に225Mドルの転換社債を発行した。利率4.125%、2025年が期限、転換価格は8.73ドル(発行時株価の30%上)から。ライベントの発行済株式数は1.47億株なので希薄化は2割を超えないくらいか?

  

決算後に株価は上げて現在は7.33ドル。

実績PERは21倍、予想PER(YahooFinanceのEPSを使用)は61倍になる。業績がピークだった2018年のEPSを基準にしたPERは7.4倍となる。

 

決算は相変らず悪かったが個人的にはポジティブな内容に感じた。

まずはほぼ最悪と言える状況の中でも損益・営業キャッシュフローともに損益トントンを維持していること。

また、転換社債で負債を借り換えたのも大きい。以前の借入はEBITDA倍率が基準になっており業績悪化による不安があった。

最悪の状況でも損益トントン、かつ転換社債による資金調達によってもしかしたら倒産してしまうのではないかといった不安は消えたと思う。

リチウム市場については相変らずひどい惨状だが、コストカーブの低い位置にいるライベントが利益を出せない状況が長期間続くとも思えない。EV市場の拡大が続くのであればいずれ業績は回復すると思う。本当にEVが一般に受け入れられるのかというリスクは残るが。

ライベントにとってプラスなのはEVの主戦場が中国からヨーロッパに移っていることだろう。6月のヨーロッパのEV販売台数は前年比2倍近くとなり中国の販売台数を超えた。ヨーロッパはニッケルメインの正極材の比率が高いため、今後の水酸化リチウムの需要増加はライベントの追い風になる。

ただし、テスラが中国の短距離レンジモデル3にLFP電池を採用したり、CATLがヨーロッパでLFP電池を拡大する意向を示したりと水酸化リチウムの需要が一本槍に急増していくかはまだ分からない。

 

BRK-B バークシャー・ハサウェイ

バフェット率いる投資会社。

株式投資の他に子会社を通じて保険、鉄道、電力、その他さまざまな事業を行っている。

 

〇 事業からの利益

バークシャーのPLには「保険&その他」と「鉄道・公益・エネルギー」の2つの部門の売上高とコストが掲載されている。

また、トータル売上高の下には「投資・デリバティブ損益」がある。この項目には保有株式の評価損益も含まれる。2018年の会計基準の変更に伴って載るようになった。それ以前は評価損益は反映されず売却損益のみが保険&その他に含まれていた。

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2007年~2019年の保険&その他(2018年に統合された金融・金融商品部門を含む)と鉄道・公益・エネルギーの売上高の推移をグラフにした。2008年を除いて売上高は右肩上がりに増えている。

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続いて税引き前利益の推移。2017年までは投資の売却損益が含まれていたこともあり保険&その他は変動が大きい。

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純利益の内訳を保険引受、保険投資収益(配当や金利収入)、鉄道、公益・エネルギー、製造・サービス・小売の5セグメントで見たのが下のグラフになる(こちらは投資の売買および評価損益を除いているため継続性がある)。

最も大きい利益を出しているのは製造・サービス・小売で、続いて鉄道>保険投資利益>公益・エネルギー>保険引受の順になっている。

5つのセグメントを合計すると、2018年は217億ドル、2019年は239億ドルの純利益となる。景気がよければこれくらいの利益を出せるということだろう。

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2020年上半期の純利益の内訳はこちら。投資・デリバティブ損益とその他(主に減損)を除く5セグメントで比較すると純利益は前年比-8%の減益だった。景気の落ち込みに比べると比較的安定していると思う。

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〇 株式投資からの利益

株式投資の実現損益や評価損益は変動が大きすぎて単年で見ても意味がない。他の方法で利益を見積もる必要がある。

 

① 内部留保

配当を除いた内部留保のうちバークシャーの持分を利益と考える方法。

アニュアルレポートには保有金額トップ10の銘柄の配当を除く内部留保(バークシャーの持分)が83億ドルだったと記載されている。

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② 株式投資の期待利益

投資資金が大きくなりすぎて高パフォーマンスを出すのが難しくなったとはいえ、少なくとも市場平均程度の利益は期待したいところだろう。

このページによると過去50年のS&P500の年間利益率は8%程度だったそうだ。現在の配当利回りの約2%を差し引くとキャピタルゲインは約6%程度が期待できることになる。

2Q時点のバークシャーの株式保有額は2,074億ドルだったので6%だと124億ドル、税金を差し引いて100億ドル程度となる。最低限これくらいの利益を期待してもいいのではないだろうか。

 

〇 余剰キャッシュ

批判も多いバークシャーのキャッシュについて。

バランスシートの保険&その他の項目(鉄道・公益・エネルギーは別となっている)のうち株式資産と株式以外の投資資産(現金・短期債・債券・その他の投資資産)の推移をグラフにした。

株価の値上がりもあり株式資産が右肩上がりに増えているが、株式以外の投資資産も徐々に増えていることが分かる。

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続いて株式以外の投資資産と総資産(保険&その他)、株主資本、フロートに対する比率をグラフにした。

総資産や株主資本に対する比率は減っているが、株価の値上がりで株式資産が膨らんだことも影響していると思われる。

長期で見るとより安定しているのがフロートに対する比率で、2009年と2010年を除いて100~120%程度で推移している。2020年2Qは124%まで上がっているが、ドミニオン・エナジーから天然ガス事業を買収したことで比率も多少下がったと思われる。

こうしてみると株式以外の投資資産は絶対額で見ると大きいものの、資産も膨らんだため比率で見ると比べてそこまで大きくはないのかなという気はする。

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〇 バリュエーション

事業からの利益と株式投資の期待利益を足すと300~350億ドルくらいの純利益は期待できるのではないかと思う。

現在の時価総額は5,089億ドルなのでPERは15~17倍くらいになる。

標準的な数字ではあるが、収益の安定性、稼いだキャッシュを利益成長に結びつける信頼性、格付けAAという財務健全性からするともう少しプレミアムがついても良いと思う。