01772.HK ガンフォンリチウム 2020年3Q決算

中国のリチウム大手。川上のリチウム資源開発から川下のバッテリー製造やリサイクルまで手掛けている。中国では天斉リチウムと並ぶ2強。深セン(002460)と香港(01772)に上場している。

 

3Qは前年比で売上高+8%の増収、純利益+421%の増益だった。

四半期の売上高と純利益の推移を見ると、純利益は依然としてピークを大きく下回っているものの、今年の1Qを底に2四半期連続で改善している。

中国国内の炭酸リチウム価格が底打ちしていることから今後の業績も改善が続きそう。

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2020年のEPSは0.3~0.4人民元というガイダンスがあった。前年の0.28人民元から改善するが、ピークの2017年の1.89人民元からは大幅な減少となる。

 

ガンフォンは他社と比べても順調に生産量を拡大させている。

今年末までに Xinyu で年間キャパシティ50Ktのバッテリーグレード水酸化リチウムプラントが稼働する。2021年にはアルゼンチンの Cauchari-Olaroz の建設が完了し2022年に生産を開始する予定。会社は近い将来にキャパシティを110Ktまで増やすとしている。

下のグラフは2015年~2019年の生産能力と実際の生産量のグラフ。

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※炭酸リチウム、水酸化リチウム、リチウムメタルを単純に積み足している。実際には水酸化リチウムは炭酸リチウムベースではやや少なくなるため正確な数字ではない。 

 

他社と異なりガンフォンが順調なのは必ずしも川上の権益にこだわらずにコンバーターとしての生産能力拡大に注力しているためだろう。

現在ガンフォンが保有し稼働している川上権益はマウントマリオン(持ち分50%)のみで、炭酸リチウム換算で25Kt分に過ぎない。開発中の Cauchari-Olaroz を含めても年間生産量110Ktを達成するには他社から大量の原材料を仕入れる必要がある。

足元ではスポジュメン精鉱の供給過剰が追い風になっているが、需給が引き締まった場合はガンフォンにとって逆風になるかもしれない。

 

株価の方は好調でここ1年で6倍に値上がりしている。

業績低迷から今期のPERはまともな数字が計算できないが、2017年ピークのEPSを使うと35倍程度のPERになる。ただ、生産能力は当時よりも大きく向上しているので実績の数字はあまり参考にならない。結局のところバリュエーションはリチウム価格次第となりそう。

 

中国ADR(BILI、HUYA、BZUN、DAO) 2020年3Q決算

ビリビリ、虎牙、バオズン、有道の決算。

記事中のPER、PSRはすべてYahooFinanceのアナリスト予想の数字をもとに計算している。

 

・BILI ビリビリ

3Qの売上高は前年比+73%と高成長が続く。一方で営業赤字は1,083M人民元に拡大した。

セグメント別の売上高の前年比は、モバイルゲーム+37%、バリューアドサービス+116%、広告+126%、Eコマースその他+83%。全体に占めるモバイルゲームの比率は40%まで低下した。

MAUは1.97億人で前年比+54%、前四半期比でも+15%。有料ユーザー数は1,500万人で前年比+90%。

文句なしの好決算で株価も大きく上げている。

今期のPSRは12.4倍、来期は8.5倍。高成長が続くという前提で考えれば割高とまでは言えなさそう。

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・HUYA 虎牙

ライバルの闘魚との合併が発表された。存続会社は虎牙で合併後はテンセントの子会社となる。テンセント傘下のeスポーツプラットフォームも譲渡により統合されるとのこと。

両社の売上高と営業利益を単純に合算したのが下のグラフ。3Qの売上高は前年比+30%、営業利益は黒字転換だが2Qからは4割減益となった。

今期PERは虎牙21.4倍、闘魚31.8倍となる。

統合比率は闘魚1株につきフヤ0.73株が割り当てられる。来年の上半期に統合が完了する予定。現時点では配当を考慮しても闘魚が割安になっている。

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 ・BZUN バオズン

3Qは前年比でGMV+19%、売上高+22%、営業利益+50%だった。営業利益率は5%。営業利益はブレが大きい。

2018年と2019年はGMVが5割前後の伸び率で推移していたが、今年に入って成長率が急減している。昨年ファーウェイがバオズンとの取引を打ち切ったのが影響しているようだ。

PERは今期29倍、来期22.5倍。ファーウェイの影響が消えて成長率が再加速するのであれば適度な数字だと思う。

 

・DAO 有道

ネットイース傘下のオンライン教育の会社。

3Qは前年比で売上高+160%だった。新型コロナウイルス特需の反動があるのではと心配したが2Qも3Qも高成長を維持している。

一方で大規模なマーケティング・ブランディング費用により営業赤字は8.94M人民元に急拡大した。

有道はもともと社会人の有料会員が多かったが、ここにきてK-12(幼稚園から高校卒業まで)の会員数が急拡大している。2019年1Qの有料会員数3.3万人が2020年3Qには499万人となった。

決算は受けて株価は大幅高となったが、PSRは今期7.6倍、来期4.1倍とそれほど高くない。

オンライン教育の分野は競争が激しいため有道が生き残れるかよく分からない。ただ、競争の厳しい中国のインターネット業界において堅実に業績を伸ばしてきたネットイースが親会社なのは期待できそうな点だと思う。

 

中国ADR(BABA、JD、NTES、BIDU) 2020年3Q決算

アリババ、JD、ネットイーズ、バイドゥの決算を見てみる。

なお記事中のPERはすべてYahooFinanceのアナリスト予想EPSを使って計算している。

 

・BABA アリババ

2Qは前年比で売上高+30%、営業利益-33%、調整EBITDA+28%だった。

今期(21年3月)PERは27倍程度。成長率を考えるとそこそこ割安な水準に思える。

ただ、アリババは赤字部門があるうえ、営業外損益で業績が大きくぶれるので実力が分かりにくい。

過去1年のコアコマースの営業利益は148B人民元(≒22Bドル)だった。時価総額は763Bドルなので、コアコマースだけで見ると割安感はあまりない。

クラウドは過去1年の売上高が50B元だった。アマゾンの営業利益率3割に倣うと15B人民元くらいの営業利益となる。売上高の成長率は60%と高く期待が持てるものの、アリババの場合はコアコマースの規模が大きいので影響も限定的かもしれない。

 

・JD 京東

3Qは前年比で売上高+29%、営業利益-12%だった。年間アクティブユーザー数は4.4億人で前年比+32%、前四半期比+6%。

JDリテイルは前年比で売上高+27%、営業利益+49%、営業利益率3.9%と好調が持続している。

今期予想PERは55.8倍と高いが、JDの場合は利益率の改善余地が大きい。会社によるとJDリテイルの営業利益率は中長期的に1ケタ台後半を目指すとのこと。

今期PSRは1.3倍、来期PSRは1倍。一時期の激安感はなくなったが、依然として割安な水準だと思う。

 

・NTES ネットイース

オンラインゲームではテンセントに次ぐ存在。オンライン教育子会社の有道が伸びている。

3Qは前年比で売上高+27%、営業利益-14%。オンラインゲームの売上高は前年比+20%。

ここ数年の業績を見ると、売上高は伸びているが営業利益はやや停滞している。

PERは今期25.9倍、来期22.4倍と妥当な数字だと思う。

ネットイースは競争の激しい中国ネット業界にあって一貫して業績を伸ばしてきたので信頼感がある。

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・BIDU バイドゥ

検索大手。傘下のiQIYIは動画配信サイトで首位を争う大手だが長らく赤字を垂れ流している。現在はAI、音声アシスタント、自動運転、クラウドといった分野に注力している。

3Qは前年比で売上高+1%、営業利益+161%だった。営業利益は過去最高を更新した。

バイドゥコアは前年比で売上高+2%、営業利益+43%。バイドゥアプリのDAUは2億人で前年比+9%。バイドゥコアの消費者向けの非広告収入は1.4B人民元とのこと(バイドゥコアの売上高は21.3B元)。

iQIYIは営業赤字が前年の2.8B人民元から1.2B人民元に半減した。

今期PERは14.6倍と低い。

成長はないものの収益力の高さ、手持ちの現金、iQIYI、自動運転(競合他社の評価は54~300億ドルとのこと)、クラウド(キングソフトクラウドは77億ドル)などを考えると割安感はある。

YYから中国国内のライブプラットフォーム3.6Bドルで購入することを発表した。

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YY JOYY 2020年3Q決算

中国のライブストリーミングサービス大手だったが、1週間ほど前に YY Live をバイドゥに売却することを発表した。

子会社だったゲームストリーミングのフヤもテンセントに売却しており(依然として16%程度を持つがこれも売却する予定とのこと)、今後は中国外でライブストリーミングサービスやショートムービーを展開する BIGO に集中することになる。

 

今四半期の業績には YY Live が含まれているのであまり意味がない。そこで BIGO のみの売上高と営業利益を抜き出すと下のグラフのようになる。

3Qの売上高は前年比で+121%と急成長を維持している。営業利益は赤字だが、Non-GAAPではわずかな黒字に転換した。

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インドを除いた(インドではアプリが禁止された)BIGO Live のMAUは2,650万人で前年比+58%、前四半期比+16%となった。

このアプリは主に先進国、中東、東南アジアが好調とのことだが、売上高で見ると先進国の比率が4割を超えるそうだ。ちなみに昨年3Qの比率が26%とのことだったので順調に先進国の売上高を拡大させている。

SensorTower によると BIGO Live は世界の売上高ランキング(10月)で10位に入っている。

 

Likee のMAU(インド除く)は9,700万人で前年比+147%、前四半期比+15.5%となった。

Likee は中国外のショートビデオアプリでは TikTok に次いで2番手とのことだが、TikTok に比べると影が薄い。過去の電話会議ではインド(禁止された)、ロシア、インドネシアなどで強いと言っていた。

Likee は依然として投資フェーズのため売上高は低い(2Q時点ではBIGO全体の1割以下とのこと)。

 

先日、空売り機関のマディ・ウォーターズがレポートを出したことで株価が乱高下している。

現在の時価総額は71.5億ドル。

バランスシートには現預金+短期投資の36億ドルと長期投資の12億があり、総負債の12億ドルを差し引いたネットの現金・投資は36億ドルある。

これに YY Live の売却代金36億ドルを加えると少なく見ても60億ドル以上の現金・投資資産を持つことになりそう。

 

BIGO の3Qの売上高は33億元(≒5億ドル)なので、単純に4倍すると20億ドルとなりPSRは3.5倍と低い。さらにネットの現金・投資資産の60億ドルを差し引くとPSRは0.55倍と非常に低い数値となる。

曲がりなりにも世界の売上高ランキングで10位に入るアプリがこの評価というのは低すぎると思う。

 

ただ、中国企業というリスクは大きい。インドではアプリが禁止されたし、アメリカでも TikTok が揉めている。

マディ・ウォーターズのレポートの是非は僕には判断できないが、JOYYの場合はキャッシュが大きいので、この金額に不正がない限り影響は限定的ではないかと思う(レポートではキャッシュバランスに関しても不正があるとしている)。

 

SQM ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ 2020年3Q決算

チリの化学メーカー。

チリ北部のアタカマ砂漠からチリ硝石を、アタカマ湖からリチウムやカリウムを採取している。

チリ硝石からは硝酸ナトリウムとヨウ素が採れる。この硝酸ナトリウムと塩化カリウムから硝酸カリウムも生産している。

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セグメントはリチウム、特殊肥料、ヨウ素、カリウム、工業化学品の5つに分かれている。

主力が硝酸カリウムなどの特殊肥料で世界シェアは51%とのこと。リチウムとヨウ素の世界シェアもそれぞれ15%・34%と高い。この3つに比べるとカリウムと工業化学品の比率はやや低い。

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3Qは前年比で売上高-4%の減収、調整EBITDA-6%の減益、純利益-97%の減益だった。

純利益が大きく落ち込んだのは一度限りの訴訟費用が62.5百万ドル計上されたためだが、税前利益に訴訟費用を足し戻しても前年比で-17%の減益となる。

 

セグメント売上高は、特殊肥料が前年比+4%、ヨウ素が-19%、リチウムが-15%だった。

四半期比で見るとリチウムは2四半期連続で増収だが、ヨウ素は3Qに大きく落ち込んでいる。ヨウ素の減収は新型コロナウイルスによるX線需要の落ち込みが大きい。これは新型コロナウイルスが落ち着けば元に戻るとのこと。

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セグメント別の粗利益の割合は、特殊肥料35%、ヨウ素36%、リチウム16%となっている。特殊肥料とヨウ素の2部門で粗利益の7割以上を稼いでいる。

下のグラフはセグメント別の純利益の推移(2020年2Qまで)。リチウムが大きく減少する中でヨウ素の比率が増えている。

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リチウムの販売数量と平均販売価格(売上高÷販売数量)をグラフにした。

販売数量は1Qを底に2四半期連続で大幅に増加している。SQMの販売数量はここ数年40~50Ktで推移していたが、キャパシティを年70Ktに拡張した成果がようやく数字に出てきたようだ。

一方で販売価格は下落が続いており3Qの平均販売価格は5,384ドル/トンとなった。これはfastmarketの発表するバッテリーグレードの炭酸リチウムのスポット価格(中国国内41,000元≒6,150ドル、cif中国・日本・韓国6,750ドル)を下回っている。

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会社はEV販売の増加を背景に堅調なリチウム需要を見込んでおり、2021年の販売数量は前年比で+30%以上となるそうだ。

SQMはマーケットシェアを取りに行く戦略でチリの大規模拡張計画も進行している。

2021年2Hに炭酸リチウム70→120Kt、水酸化リチウム13.5→21.5Kt。CAPEX240Mドル。

2023年に炭酸リチウム120→180Kt、水酸化リチウム21.5→30Kt。CAPEX150Mドル。

ただし、過去の拡張計画は遅れが目立つのでスケジュールはあてにならないと思う。

なお、SQMが半分を出資するオーストラリアの Mt Holland は2021年1月に最終的な投資判断を行うとのこと。

 

バリュエーションは、YahooFinanceによる今期のEPSを使うとPER51倍となる。2018年のピークのEPSを使うとPER27倍という水準。SQMのPERはアルベマールに比べると高めになっている。

 

LTHM ライベント 2020年3Q決算

FMCのリチウム部門のスピンオフにより誕生した会社。リチウム専業。アルゼンチンのオンブレ・ムエルト湖からリチウム化合物を生産している。

会社によると炭酸リチウムの生産コストは下位1/4、水酸化リチウムの生産コストは下位1/2に入るそうだ。戦略的にハイエンドの水酸化リチウムに注力している。

ライベントはかつてのビッグ3の一角だが、現在はアルベマール、SQM、ティエンチ、ガンフォンの4社と比べると規模が小さい。

 

3Qの売上高は前年比で-26%の減収、営業利益は-13.2百万ドルと赤字だった。調整EBITDAは0.9百万ドルとぎりぎり黒字を維持している。

業績は相変わらず悪いが売上高は2Qから反発した。水酸化リチウムの販売量が増加したとのこと。ただし中国への販売量の増加から価格はやや下落した。

EBITDAの減益は、他社から購入した炭酸リチウムを原料とした水酸化リチウムの販売増加とCOVID19に対応する追加コストを要因に挙げている。

ライベントは今年の販売量増加に備えて他社から炭酸リチウムを購入していた。この炭酸リチウムを原料にした高コストの水酸化リチウムの大部分を今四半期に処理したそうだ。

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4Qのガイダンスはなかったが、顧客が今年の数量契約を達成するため販売数量は増加するとのこと。その他、他社から購入した炭酸リチウムの大部分を処理したのは追い風になりそう。一方で4Qにアメリカのプラントを2か月間閉鎖する費用がかかる。プラント閉鎖は生産調整と顧客の仕様を満たすための機能を追加するため。

 

アルゼンチンの拡張計画はCOVIDと財務的な制限のためストップしている。拡張は必ず行うと言っているものの現時点で2021年に再開する予定はないようだ。投資に当たっては顧客からの数量と価格の保証が必要とのこと。

 

その他、決算と同時にテスラへの水酸化リチウム供給契約の延長と旧ネマスカリチウム買収への参加を発表した。

ネマスカリチウムはカナダ・ケベックで鉱石からリチウム化合物を生産するプロジェクトを運営していた。いったんは資金調達もクリアしたのだが、リチウム市場の悪化とコストオーバランによって破綻した。

ライベントは Pallinghurst Group とともに新会社の半分を保有するそうだ。残りの半分は国有会社の Investissement Quebec。

会社によると2021年後半までに求められる資金は1,000万ドルに限られる。この期間にネマスカの採算性を精査するようだ。

 

決算は相変わらず悪かったが、テスラ・ネマスカのニュースのおかげか株価は大幅高となった。リチウム市況の反転を見越してかライベントの株価は上昇を続けており、4月の底から約3倍に値上がりしている。

今期の業績が悪いのでまともなPERが計算できないが、業績ピークの2018年のEPSを使うとPERは13~14倍程度になる。

ライベントの業績は底打ち感があるものの、アルゼンチンの拡張計画のストップにより近いうちの数量増加が期待薄なのが残念。当面はリチウム価格の回復による業績改善に期待するしかなさそう。

アルベマール、SQM、ガンフォンが投資を継続してキャパシティを積み増しているのに対して、ライベントは財務的にリスクを取れないのが厳しい。

 

ALB アルベマール 2020年3Q決算

リチウム、臭素、触媒などを生産する化学メーカー。

リチウムでは最大手の一角でチリのアタカマ湖とオーストラリアのグリーンブッシュ鉱山(持分49%)からリチウム化合物を生産している。アタカマ湖とグリーンブッシュ鉱山はかん水と鉱石でベストの資産。

 

3Qは前年比で売上高-15%、営業利益-22%、調整EBITDA-15%の減収減益だった。

依然として前年比で減収減益だがコスト削減効果もあり2Qからは改善している。調整EBITDAもガイダンスの上限を上回った。

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セグメント別の売上高は、前年比でリチウムが-20%(数量-3%、価格-17%)、臭素が-7%、触媒が-24%の減収となっている。

リチウムは価格下落の影響が大きい。アルベマールは長期契約主体だが、市場価格の大幅下落を受けて一年限りの価格譲歩に合意している。

触媒の減収は新型コロナウィルスの影響で輸送燃料消費が落ち込んでいるため。アルベマールの販売する触媒は石油クラッキング(ガソリンなどの化合物を精製するのに使用する)やディーゼルや石油原料の汚染物質を取り除くのに使われるそうだ。

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セグメント別の調整EBITDA。

前年比でリチウム-23%、臭素-11%、触媒-43%の減益。触媒の落ち込みが大きい。

臭素はリチウムや触媒に比べると落ち込みが軽い。臭素の用途は難燃剤がおよそ5割で、エレクトロニクス、自動車、建設、アプライアンスなど幅広い産業に使用するGDP比例のビジネスとのこと。

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4Qのガイダンスは売上高830-880百万ドル、調整EBITDA185-215百万ドル。

セグメント別の調整EBITDAはリチウムが1~2割の増加、臭素が横ばい、触媒が2~3割の減益を見込む。リチウムは顧客が今年の数量契約を果たすために販売量が増加するとの話。

2020年の調整希薄化EPSは3.8-4.15ドルとなる(前年5.48ドル)。

 

2021年の調整EBITDAは、リチウムがややダウンするも臭素と触媒が改善するという。

リチウムは数量が横ばい、価格がやや下落するとの見込み。

数量に関しては2021年に新たなキャパシティの追加はないが、2022年に La Negra Ⅲ&Ⅳ と Kemerton が売上を計上する。ネームプレートキャパシティは La Negra Ⅲ&Ⅳ が年間40Kt、Kemerton が年間50Kt。両者が稼働することで現在のキャパシティが倍増する。

価格に関しては長期契約のバッテリーグレードを交渉中とのこと。今年の価格譲歩は1度限りという話だったが、販売戦略の見直しにより譲歩が続く可能性も示唆している。

経営陣はこれまでの長期・固定価格契約を今後はほぼ固定、下限付き多少変動あり、変動ありの3種類に変化させるそうだ。ただし、今年の契約交渉でも前2つが8割を占めるとのこと。

 

決算を受けて株価は2日連続で大幅高となった。

PERは今期予想が27~30倍、前期実績が20倍となる。割安感は薄れて妥当な数字になった。

リチウム銘柄の株価はいずれも底からかなり上昇している。今回もアルベマールからアナウンスがあったが、リチウム価格の底打ちがかなりはっきりしてきたからだろう。

アルベマールは最も手堅いリチウム銘柄だと思う。

長期契約での販売が基本なので業績の短期的なブレが小さいうえ、臭素と触媒が堅実に利益を生むので赤字になる心配がほとんどない。また、高品質のかん水系と鉱石系の双方の資産を保有しており、大規模な拡張計画も進行している。

ただし、業績の落ち込みが小さいだけに市況が回復したときの上げ幅も小さくなりそうではある。

 

9519 レノバ

再生可能エネルギー施設の開発運営を手掛ける会社。

2020年3月末時点の運営施設は12カ所。太陽光が11カ所、バイオマスが1カ所となっている。

現在は太陽光の比率が高いが、今後数年で大型のバイオマス発電施設が4か所稼働する。同時に風力発電にも注力しており、将来的には風力を伸ばしていくようだ。

 

過去5年と今期(予想)の業績。

直近4年は利益が大きく伸びていたが、今期予想は前年比で売上高+5%の増収、経常利益-25%の減益といまひとつの数字だった。

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セグメント別の売上高。

今期は再生可能エネルギー開発・運営事業が大幅減収になる見込み。

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※2017年までプラスチックリサイクル事業があったが省略した。

 

セグメント利益(EBITDA)。

再生可能エネルギー事業は右肩上がりだが、開発・運営事業が赤字の予想となっている。

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今期の開発・運営事業が減収減益になっているのは事業開発業報酬の大幅減が大きいようだ。

事業開発報酬は、2018年10億円、2019年22億円、2020年45億円、2021年26億円(予想)となっている。

その他に人件費等の先行投資費用も赤字の要因となる模様。

なお、会社によると中期的には売電収入がEBITDAの大宗を占める収益構造になるとのこと。

 

過去5年の発電所の数と出力の推移。

前期に3つの太陽光発電所が稼働したことで発電所出力が大きく増えている。

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今後の新規発電所だが、2021年はゼロ、22年は苅田バイオマス、クアンチ風力、軽込存亡ソーラーの3つ、23年は徳田津田バイオマス、24年は御前崎港バイオマス、石巻ひばり野バイオマスとなっている。

今後数年の業績をけん引するだろうバイオマスの進捗状況は下のとおり。

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4か所のバイオマス発電所はいずれも出力75MW級と大きい。1か所あたりの想定売上高は年間130億円、EBITDA50億円とのこと。2020年の売上高が200億円以下なのを考えると相当にインパクトが大きい。

なお、現時点で稼働している発電所の売上高と設備容量は以下の通り。

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※那須鳥山、軽米西、軽米東はまだ通期で稼働していない。

 

大型のバイオマス発電所が稼働することで売電量は大幅に増える見込み。会社によると5年以内に5倍超に成長するそうだ。

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EBITDAは連結化が想定される発電所が寄与する2023年以降に大幅に伸びるとのこと。

22年に稼働予定の苅田バイオマス事業とクアンチ風力事業は持ち分法適用のためEBITDAへの影響は限定的となる。

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今後数年はバイオマスが業績をけん引しそうだが、さらに長期では風力に注力していくようだ。

現在発表されている計画は、クアンチのほかに苓北(陸上風力、50WM、24年稼働目標)、阿武隈(陸上風力、150WM)、由利本荘(洋上風力、700WM)がある。特に由利本荘は巨大な発電施設となりそう。

 

BSを見ると現預金が約250億円に対して有利子負債は1,000億円超となっている。前期のEBITDA112億円と比較しても有利子負債は大きい。ただ、電力会社なので有利子負債がある程度大きいのは仕方ないかもしれない。

 

再生可能エネルギーへの短期的な資金流入によってレノバの株価は急騰した。現在の時価総額は1,350億円。

2021年はすべての発電所が通期寄与するなかで経常利益は35億円の予想となっている。

会社の発電所の持ち分は容量333MWのうち241MWなので、単純に計算すると純利益は20億円程度になるのではないかと思う。

開発・運営事業を無視しているが、足元の業績だけ見ると割高だと思う。

 

今後数年で業績に貢献するバイオマスだが、発電所1か所の想定EBITDAは50億円とのこと。

秋田バイオマスを参考に純利益をEBITDAの4割とすると純利益20億円、レノバの持ち分が半分程度なので10億円くらいの貢献になりそう。発電所は4か所なので合計40億円。

 

バイオマスと足元の純利益と足すと60億円でPERは20倍弱と妥当な数字になる。現在の時価総額はバイオマス発電所の業績寄与がかなり織り込まれている水準なのかなと思う。さらなる株価上昇は風力発電がどれくらい伸びるかによりそう。

 

なお、会社の資料に経常利益とEBITDAの収益推移イメージがあった。

経常利益は稼働年数によって変わってくるので、稼働の短いソーラー発電所が4か所ある今期の経常利益(予想)はやや過小評価かもしれない。

個別の発電所の業績を見ると、稼働4年以上のソーラー発電所の経常利益はEBITDAの3~5割くらい(九重ソーラーのみかなり低い)、3年稼働の秋田バイオマスは6割近くとなっている。

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9267 Genky DragStores

福井県発祥のドラッグストアチェーン。福井県、石川県、岐阜県、愛知県にドミナント展開している。会社によると福井と岐阜でシェア1位、石川でシェア2位、愛知でシェア5位とのこと。

ゲンキーの特徴は低価格販売と食品比率の高さ。食品は生鮮食品も取り扱っている。全体の売上高に占める食品の比率は5割を超えている。

 

売上高は右肩上がりに伸びている。2007年~2021年(予想)の年間成長率は平均で+13%となっている。

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経常利益も右肩上がり。経常利益率の平均は3.7%。今期の予想は4.2%。

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新型コロナウィルスの特需もあり、1Qは前年比で売上高+23%、経常利益+160%と絶好調の決算だった。業績予想も上方修正された。

月次を見ると7月~9月も前年比+20%以上を維持している。他社の月次が落ち着いてきている中で勢いが衰えていない。

 

ゲンキーとドラッグストア他社を比較してみる(数字は前期の実績値)。

店舗数や売上高は上位10位にも入っていない。

利益率を見ると粗利益率が23%と低い。これは低価格を志向しているのと食品比率が高いためだろう。同様の戦略をとるコスモス薬品なども同じ傾向となっている。粗利益率は低いもののローコスト経営により営業利益率は業界の平均的数字となっている。

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※クスリのアオキはライフ(食品や家庭用品)を雑貨と食品の欄に入れた。

 

次に2010年と比較して売上高がどれくらい伸びているかをグラフにしてみた。

トップはクスリのアオキ。ウエルシア、ツルハ、コスモス薬品、ゲンキーも平均以上の成長率となっている。

これら5社のうち、ゲンキー、コスモス薬品、クスリのアオキは食品に力を入れている。ドラッグストアで食品を扱うのはトレンドだが、業績の伸びにも反映されているように思う。

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ちなみに僕の住んでいる岐阜はドラッグストアが非常に多い。

個人的な感想では、やはり食品が充実している店は便利だと思う。昔ながらの薬局タイプのドラッグストアにはほとんど行かなくなった。

ただ、ゲンキーの特徴である生鮮食品については特別魅力には感じていない。あるにこしたことはないが品揃えは少ないので、生鮮食品が必要なら結局スーパーに行ってしまう。

ゲンキーの印象は店がやや広めでちょっとした買い物には大変、通路が長く歩かさせられる(商品棚が売り場の端から端まであり区切りがない)、レジが少なく会計で待つことが多いといった印象。

近くにあるクスリのアオキの方が手頃な広さでレジ待ちも少ないためそちらを利用することが多い。クリスのアオキはゲンキーよりも生鮮食品は少ないがそれをデメリットに感じることはない。

とはいえこれらは生活スタイルによって感じ方が違ってくるだろうし、基本的にどちらの店もそれほど大差はないのかなと思う。

 

BSを見るとネットの有利子負債が233億円程度ある。今期の予想経常利益61億円、実績の営業キャッシュフロー74億円などと比べると多くはないが少なくもない水準だと思う。

 

決算が良かったことで株価は上げている。ただ、コロナ後を見据えているのか業績ほど株価は上げていない印象を受ける。

今期の予想PERは16倍。妥当な水準に思えるが、クスリのアオキの23倍、コスモス薬品の31倍に比べると低い。短期的には月次の好業績がどこまで続くかに注目だと思う。

 

3689 イグニス

マッチングアプリのwithを運営している会社。バーチャルライブアプリにも先行投資している。かつて主要事業だったゲームからは撤退した。

 

マッチング事業は順調に伸びている。3Qは前年比で+45%の増収だった。広告費の増加により営業利益率は落ち込んだが、過去2年で見ると20~33%という高収益を出している。ちなみにマッチグループの営業利益率は33%なので、イグニスのマッチング事業の利益率はかなり優秀だと思う。

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こちらのサイトのデータを使わせてもらい、マッチングアプリ上位5社のセールスランキングの推移をグラフにした。

5社のうちではPairs、Tinder、withが好調な一方でタップルとOmiaiは伸びていない。

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月間セールスの推移をグラフにすると Pairs が2位の約2倍の売上高を出しているのが分かる。

2位グループはタップルとTinder。withはそれに続く位置につけている。

withはランキングでは4位だが勢いは強い。新型コロナウィルスで各社が落ち込んだ5月6月でも前年比2桁の売上高を維持していた。

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もうひとつのエンターテック事業だが売上高がほとんどない中で赤字が拡大している。

この事業の先行きはよく分からない。個人的にVRには期待しているのだが、イグニスのような小さい会社がプラットフォームで成功するのは難しいのではないかと思う。

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株価は8月に急騰した後に元の水準まで下げている。現在は1,552円で時価総額243億円。

足元でwithは前年比30%超で伸びている。来期も同様に伸びるとすると売上高は50億円近い水準になる。営業利益率と税率を30%で計算すると純利益は10億円。この前提でエンターテック事業の赤字を無視すると予想PER24倍となる。現在の成長率からすると悪くない水準だと思う。ただ、withの強みはよく分からなかったので、今後も他社を上回るペースで伸びるのかは確信が持てなかった。