01772.HK ガンフォンリチウム 2021年2Q決算

中国のリチウム大手。川上のリチウム資源開発から川下のバッテリー製造やリサイクルまで手掛けている。中国では天斉リチウムと並ぶ2強。世界でもトップクラス。深セン(002460)と香港(01772)に上場している。

 

2Q決算は大幅な増収増益だった。

税前利益には金融資産の評価益が543M人民元含まれているが、それを除いても大幅な増益となる。

売上高 4,025M人民元(前年比+69%)

粗利益 1,405M人民元(前年比+205%)

税前利益 1,638M人民元(前年191M人民元)

純利益 1,415M人民元(前年157M人民元)

EPS 1.04人民元

 

2Q単体で見ても業績の改善が加速している。特に売上高は過去最高を大きく更新した。

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セグメントの売上高と利益はリチウムメタル・化合物がメインだが、リチウムバッテリーも売上高が9割近く伸びて黒字転換した。

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年間の生産キャパシティは40.5Ktのバッテリーグレード炭酸リチウム、81Ktのバッテリーグレード水酸化リチウム、2Ktのリチウムメタルとのこと。

2020年末に50Ktの水酸化リチウムを追加した Xinyu は1Qにフル操業を達成した。また、Ningdu の17.5Ktの炭酸リチウムラインは改修により20Ktとなった。


今後の生産能力だが、2025年に少なくとも200Kt LCE、長期的には少なくとも600Kt LCEを目指すそうだ。

拡張計画で挙げられているプロジェクトは以下のとおり。

・46.7%の権益を持つ Cauchari-Olaroz は2022年に稼働。フェーズ1では40Ktの炭酸リチウムを生産する計画。

・88.9%の権益を持つアルゼンチンの Mariana は2021年に建設を開始する。フェーズ1では20Ktの塩化リチウムを生産する計画。

・Fengcheng City で年間50Ktのリチウム化合物を生産する。フェーズ1は25Ktの水酸化リチウム。

・Yichun City に年間7Ktのリチウムメタル・リチウム材料。

 

上流権益への投資も活発に行っている。

・Bacanora Lithium の買収。Bacanora の持つメキシコの Sonora はクレイからリチウム化合物を生産するプロジェクト。概測・精測・予測資源量は8.8Mtと非常に大きい。2023年に生産開始を目標にしている。

・マリにある鉱石プロジェクトの Goulamina の権益を50%取得。概測・精測・予測資源量は108.5Mt@1.45%と大型。DFSが完了している。

・Millennial Lithium を買収。アルゼンチンの Pastos Grandes が旗艦プロジェクト。概測・精測資源量4.1Mt(427mg/L)。そのほかに Cauchari-Olaroz に隣接するCauchari East を保有している。

 

ガンフォンの株価は絶好調で今年に入ってからも大幅に値上がりしている。

A株とH株を合計した現在の時価総額は45Bドルになる。アルベマールの28BドルやSQMの15Bドルよりも大幅に高い。

ガンフォン、アルベマール(リチウムセグメント)、SQM(リチウムセグメント)の2Qの売上高はいずれも300Mドル台で大差はない。足元と2025年(計画)の生産キャパシティもそれほど大きな差はなさそう。アルベマールとSQMはリチウム以外のセグメントの割合も大きいことを考えると、余計にガンフォンの時価総額の大きさが際立つ。

 

ガンフォンの評価が高いのは生産能力の拡大に成功した実績があるのかなと思う。上流資源の自社開発にこだわらずコンバーター能力に注力することで他社を大きく上回るスピードでキャパシティを積み上げてきた。

一方でガンフォンの問題は上流権益が少ないところかと思う。最近は立て続けに投資を行っているものの、現時点で稼働している自社保有の資源はマウントマリオンのみとなっている。マウントマリオンの生産キャパシティは炭酸リチウム換算で年間25Kt程度(ガンフォンの持分)にすぎない。これに加えて6.3%出資しているピルバラミネラルズとの契約もあるが、両者を合わせても炭酸リチウム換算で年間50Ktに満たない。足りない分はどこからか調達する必要があるが、十分に確保できるのか、原材料が値上がりしたときにマージンを確保できるかといったところに不安を感じる。

 

バリュエーションは、他のリチウム会社と同じく推測するのが難しい。

好調時のガンフォンのEPSは2018年の1.17人民元(2017年の方が高いがその他の収入が大きかった)。2018年の生産量は炭酸リチウム16.3Kt、水酸化リチウム14.7Kt、リチウムメタル1.5Ktだった。仮に生産量が3倍になり業績が3倍になったとしてもPERは依然として非常に高い。

アルベマールなどの他社との比較で見てもガンフォンは割高に感じる。

 

ORE.ASX オロコブレ 2021年6月期4Q決算

アルゼンチンのオラロス湖から炭酸リチウムを生産している会社。オーストラリア上場。同じくオーストラリア上場のギャラクシー・リソーシズとの合併が決定している。

 

2021年6月期は大きな赤字で終わった。営業キャッシュフローも赤字。

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厳しい業績が続いているが、赤字の原因となった販売価格は四半期ごとに上昇している。4Qは8,476ドルまで回復した。FY22年の上半期のガイダンスは9,000ドル。販売数量の1/3はスポット価格に連動するため上振れも見込める。

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FY21年の炭酸リチウムの生産量は前年比+6%の12.6Kt。販売量は13.3Kt。

オラロスのネームプレートキャパシティは17.5Ktだが、過去5年は11~13Ktの生産量にとどまる。

生産量のうちバッテリーグレードの占める比率は48%で4Qには66%まで上がっている。これまでの2~3割より大きく改善した。来年も50%以上を目標にするそうだ。ステージ2の炭酸リチウムが供給可能になればステージ1はバッテリーグレードに最適化するとのこと。

キャッシュコストはトンあたり3,860ドルと低い。

 

ステージ2の拡張は22年上半期に完成する予定。下半期に生産開始し、2年でプライマリーグレード25Ktのフル生産に達する。

楢葉の水酸化リチウムプラントは22年1Qに生産を開始し、22年中に10Ktのフルキャパシティに達する予定。炭酸リチウム→水酸化リチウムの変換コストは約1,500ドル。

 

バランスシートは以下のとおり。増資も行ったため手元キャッシュは十分に確保されている。

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ギャラクシーリソーシズとの合併により新会社の持つ資産は以下のようになる。

・アルゼンチンのオラロス。かん水資産。持ち分66.5%。炭酸リチウムの生産キャパシティは年間17.5Kt。進行中のステージ2が完了すると年間42.5Ktになる。

・アルゼンチンのカウチャリ。買収したアドバンテージ・リチウムが持っていたかん水資産。持ち分100%。精測・概則資源量は4.8MtLCE(476mg/L)。グレードは高くないものの資源量は大きい。

・楢葉の水酸化リチウムプラント。持ち分75%。オラロス・ステージ2の炭酸リチウムを原料に水酸化リチウム10Ktを生産する計画。

・オーストラリアのマウント・キャトリン。持ち分100%。スポジュメン精鉱を生産中。ネームプレートキャパシティは年間210Kt。直近4四半期の合計生産量は173Ktだが2Qは63Ktを生産した。資源量は11Mt@1.3%と少なく数年程度の寿命と思われる。

・アルゼンチンのサル・デ・ビダ。かん水資産。持ち分100%。精測・概則・予測資源量6.2MtLCE(754mg/L)と大きい。DFSが完了している。

・カナダのジェームズ・ベイ。鉱石資産。持ち分100%。資源量40Mt@1.4%と中規模。PEAが完了している。

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ギャラクシーリソーシズのバランスシートは強固。キャッシュ200Mドルに対して有利子負債はゼロ。

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オロコブレの現在の現在の株価は8.31オーストラリアドル。米ドル換算した時価総額は3.86Bドルになる(合併済みの時価総額)。ライベントの4Bドルをやや下回る規模。

 

ギャラクシーとの合併だがオロコブレホルダーとしては微妙に感じた。

オロコブレだけならステージ2と楢葉の成否を見ていれば良かった。両プロジェクトが成功してバッテリーグレードの炭酸リチウムと水酸化リチウムをそれぞれ10Kt生産できるようになれば株価も十分に値上がりしたと思う。

これがギャラクシーと合併したことで複雑になってしまった。

ギャラクシーは3つのプロジェクトを持っているものの、実際に稼働しているのはマウントキャトリンだけとなる。時価総額が倍増したにもかかわらず業績に追加されるのが鉱山寿命の短いマウントキャトリンのみというのは物足りなく思える。

さらにギャラクシーの旗艦プロジェクトであるサル・デ・ビダはオラロスやカウチャリと同じアルゼンチンにありカントリーリスクが分散されない。同じ国に3つのかん水資産を持つメリットがあるのかと疑問に思う。

ジェームズベイはカナダ/鉱石資産ということで期待できそう。ただ、開発はまだ初期段階となっている。

 

SQM ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ 2021年2Q決算

チリの化学メーカー。

チリ北部のアタカマ砂漠から採れるチリ硝石を使って硝酸ナトリウムやヨウ素を、アタカマ湖からリチウムやカリウムを生産している。

硝酸ナトリウムと塩化カリウムから硝酸カリウムも生産している。硝酸カリウムは特殊肥料セグメントの主力製品。

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セグメントはリチウム、特殊肥料、ヨウ素、カリウム、工業化学品(集光型太陽熱発電向けの硝酸塩)の5つ。

会社によると2019年の世界シェアはリチウムが15%、特殊肥料が51%、ヨウ素が25%、工業化学品が41%だった。カリウムは1%以下。

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2Qは前年比で増収増益だった。

売上高 588Mドル(前年比+28%)

粗利益 185Mドル(前年比+45%)

税引き前利益 127Mドル(前年比+66%)

調整EBITDA 210Mドル(前年比+37%)

EPS 0.31ドル

 

四半期で見ても業績の改善が続いている。

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セグメント売上高の前年比は、特殊肥料+19%、ヨウ素+36%、リチウム+90%、カリウム+73%、工業化学品-71%。主力製品の特殊肥料、ヨウ素、リチウムはすべて好調だった。

リチウムとヨウ素の今年の販売量は当初の計画を上回るそうだ。市場の伸び率はリチウム+40%、ヨウ素+10%と予想している。ヨウ素の需要はパンデミック前の2019年を超える。

カリウムの価格は大幅に上昇しており、4Qには昨年下半期の2倍近くになると予想している。会社は生産量を増やしており、今年の塩化カリウムの販売量は前年比で10%ほど増加するそうだ。ただ、カリウムの生産に関してはリチウムの方が優先度が高いこと、用途として硝酸カリウムの原料が最も大きいことから販売量の増加には限界があるとのこと。 

硝酸カリウムの価格は今年の下半期に大幅に高くなるそうだ。

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リチウムの販売数量と売上高から逆算した販売価格の推移が下のグラフになる。

2Qのリチウム販売量は24.2Ktで前年比+92%の増加となった。上半期は48.1Ktで前年比+127%増加。2021年は95Ktの販売量を見込む。1Qでは少なくとも85Kt以上と言っていたので計画を大きく上振れすることになる。

販売価格は前年比では横ばいだが1Q比では+20%上昇した。上半期の販売量の3/4は前年に交わした契約価格だったが、下半期にはこれが50%未満になるためさらなる価格の上昇を見込む。

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現在の炭酸リチウムの生産ペースは年換算で110Kt。4Qにはネームプレートキャパシティを130Ktまで拡張する目標。2022年には140Ktを想定する。

オーストラリアの Mt Holland は2024年に稼働する計画。採掘した鉱石を原料に年間40Ktの水酸化リチウムを生産する(SQMの持ち分は50%)。

 

2Q決算は好調で今後の見通しもよかったが、株価はそれほど反応せず現在は49.66ドルとなっている。

YahooFinanceの予想EPS1.31ドルを使うと今期PERは38倍となる。2018年のピークのEPS1.67ドルを使うと30倍となる。

ちなみに2018年の純利益439Mドルの内訳は、リチウム417Mドル、特殊肥料168Mドル、ヨウ素107Mドル、カリウム50Mドル、工業化学品35Mドル、全社費用-338Mドルだった。

なお、リチウムセグメントの純利益は2017年の455Mドルの方が高い。販売数量と販売価格は、2017年が49.7Kt/13,000ドル(トン当たり)、2018年が45.1Kt/16,300ドルだった。今年の4Qに炭酸リチウムのキャパシティが130Ktに拡張すると2018年の3倍近い規模の販売が可能となる。

特殊肥料とヨウ素は業績のブレがあり2018年はそれほど良い時期ではなかった。両セグメントを合わせて600Mドル近い利益を出していた年もある。2009年~2020年の平均は322Mドル。

単純にリチウムセグメントを3倍して、他のセグメントを400Mドル、全社費用を350Mドルとすると純利益は1,300Mドル程度と計算できる。現在の時価総額14Bドルに対するPERは10倍弱となる。アルベマールやライベントに比べるとSQMの評価は非常に低い。

問題として考えられるのは、大幅に生産量を増やした製品の品質とカントリーリスクかなと思う。とりわけ現在進行中のチリのロイヤリティ法案が大きな不安材料となっている。SQMのリチウム生産はチリに集中しているのでカントリーリスクが高い。

 

6890 フェローテックホールディングス

半導体関連の製品・サービスと電子部品の会社。

磁性流体、真空シール、石英製品、セラミックス、半導体洗浄、サーモモジュール、パワー半導体基板などを提供している。

 

セグメント売上高の推移は以下の通り。現在のセグメントは半導体等装置関連事業と電子デバイス事業の2つだが、2019年までは太陽電池関連事業を行っていた。

半導体等装置関連事業は波があるものの右肩上がりに業績を上げている。電子デバイス事業は2014年~2015年頃から大きく伸びている。

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セグメント利益の推移。

半導体等装置関連事業は波があるものの近年は大きな利益を出している。電子デバイス事業は赤字がなく利益に貢献している。

太陽電池事業は2009~2011年ごろは大きな利益を出していたが、2013年以降は撤退するまで赤字が続いていた。

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次に製品ごとの売上高を見てみる。

半導体等装置関連事業ではコア技術である磁性流体を使った真空シールで65%という高いシェアを持つ。真空シールは半導体製造装置、FPD、LED関連製造装置の基幹部品として使用されているそうだ。

真空シールの売上高は10年程度で見るとそれほど大きく伸びてはいない。2021年はセグメント売上高の14%を占めている。

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フェローテックは真空シールを販売している顧客に対して石英製品やセラミックスなどの半導体生産プロセスで使われる消耗品を拡販してきた。これらの製品(石英製品、シリコンパーツ、セラミックス、CVD-SiC)を半導体マテリアル製品として区分けしている。

半導体マテリアル製品の売上高はセグメントの57%を占めており最も大きい。単体の製品区分で見ても石英製品やセラミックスの売上高は真空シールを上回っている。ただ、これらの製品では真空シールのような高シェアは持っていないそうだ。

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真空シールと半導体マテリアル製品を除いた半導体等装置関連事業の内訳が以下のグラフとなる。

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EBガン・LED蒸着装置はほぼ成長がなく横ばいで推移している。

ウェーハ加工は中国で多額の投資をしてきたが、株式の売却により持分法適用会社に移行した。この部門は成長期待こそあったものの財務悪化の原因になっていたので、売却によりバランスシートが改善したのは良かったのかなと思う。ウェーハ子会社は赤字だったため業績へのマイナスの影響はない。この会社は2022年6月に上海の科創板市場への上場する予定。フェローテックの持ち分は29.5%となっている。

装置部品洗浄も中国でのビジネス。会社によるとウェーハ洗浄は中国で50~60%の市場シェアを持つそうだ。業績も伸びておりセグメント売上高の12%を占めている。なお、ウェーハ洗浄の子会社も深センの創業板に上場する計画となっている。現在の持ち分は67.73%。上場後も連結子会社を維持する方針。

石英坩堝は以前は太陽電池関連事業に含まれていた。売上高は大きく減少している。

 

続いて電子デバイス事業。

このセグメントは磁性流体、パワー半導体基板、サーモモジュールで構成されている。なお、パワー半導体基板の数字が分かるのは2017年からでそれ以前はサーモモジュールに含まれていた。

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磁性流体は祖業で高シェアを持つものの市場規模が小さいため売上高は少ない。

サーモモジュールは対象物を瞬時に暖めたり冷やしたりすることのできる製品。小型軽量かつ振動騒音がないことから幅広い分野で使われているそうだ。用途別で43%を占めているのが電子向けで5G通信機器にも使われる。サーモモジュールはフェローテックのコア技術のひとつであり36%のシェアを持つ。

パワー半導体は産業用機械やEVのモーターなど大きな電力を扱う場所で使われることが多い。フェローテックはサーモモジュール製造技術を応用したDCB基盤を作ってきたそうだ。2019年1月の記事によるとDCB基板は月産37万枚で世界シェアの15%に相当するとのこと。さらに2021年1月の記事には2021年中にDCB基板を月産100万枚に、AMB基板を20万枚に引き上げると書かれている。

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EV向け需要を狙うフェローテック、半導体基板の生産能力を2倍以上に!

 

以上のようにフェローテックは多くの製品・サービスを取り扱っているが、中期経営計画によると半導体マテリアル、サーモモジュール、部品洗浄、パワー半導体基板、再生ウェーハの5つに注力するそうだ。

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業績面では3年後の2024年3月期に現在の2.5倍の営業利益250億円を目指すとのこと。

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カテゴリー別の目標売上高によると電子デバイスと半導体サービスの伸び率が高くなっている。売上高の絶対額も考えると電子デバイスが重要になりそう。とりわけ成長率の高いパワー半導体基板に期待がかかる。

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バランスシートを見ると2021年3月期の有利子負債は前年から308億円減って476億円となった。ウェーハ子会社の連結除外と売却益による借入返済のため。

一方で現預金は65億円増加して302億円なった。財務的には大きく改善している。

なお、2021年の決算では売上債権が大きく増えているが、これはウェーハ子会社3社の持分法適用会社化が原因とのこと。

 

株価は2021年3月期の本決算後に大きく上げたもののその後はじり下げが続いていた。しかし金曜日に出た1Q決算と上方修正によってPTSで大きく値上がりしている。

1Qの数字は売上高+35%の増収、営業利益3倍超の増益という好決算だった。上方修正後の今期予想は売上高+26%の増収、経常利益+143%の増益となる。

今期予想PERは5倍だが特別利益が大きい。経常利益×0.7で計算した今期予想PERは7.3倍となる。成長率と比べるとかなり低い。

この会社の強みとリスクは中国へのコミットの大きさになると思う。地域別の売上高は日本128億円、中国397億円、アメリカ279億円、その他107億円と中国のみが突出しているわけではないが、有形固定資産の金額を見ると投資は中国に集中している。中国の半導体国産化の追い風を受けるポジションに思えるがカントリーリスクも高そう。

 

3663 アートスパークホールディングス 2021年2Q決算

イラストマンガ制作ソフトのクリップスタジオと主に車載向けのUI開発ソリューションを提供している会社。

クリップスタジオはアマチュアからプロのクリエイターまで幅広く利用されているそうだ。イラストSNSの pixiv での使用率はNo.1とのこと。

2021年2Q時点の累計出荷本数は1,356万本で、うち70%以上が海外向けとなっている。

 

2Q累計の業績は前年比で売上高+17%の増収、経常利益+131%の増益だった。経常利益は期首の予想を2倍以上上振れている。

2Q単体だと売上高+10%の増収、経常利益+83%の増益となる。

 

セグメント別の業績。

クリエイターサポート事業は好調が続くものの1Q比では微増収・減益となった。前年比でも売上高+20%、経常利益+5%と成長率が低くなっている。

ただし、2年前以上を見ると売上高とセグメント利益は1Qに大きく伸びて2Q以降は横ばいか下がる傾向があった。前年2Qに大きく業績が伸びたのは新型コロナの巣篭もり需要があったのかもしれない。であるなら今期2Qは平常運転に戻ったと見ることができる。

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もうひとつのセグメントのUI/UX事業は赤字が続く。

売上高はエイチエス社の売却によって大きく減った。カンデラ社ののれんを償却したことで赤字額も減っているものの2Q単体で1.5億円を計上している。中期経営計画によるとこの事業の赤字は2023年まで続く見込み。

この事業は情報も少なく内容が分かりにくいうえ業績も伸びているわけではない。とりえあず赤字をなくしてほしいところ。

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全体で見ると業績は好調で通期の予想も上方修正している。今期は前年比で売上高+11%増の70.8億円、営業利益+80%増の13.5億円という予想。うちクリエイターサポート事業は売上高60.5億円、営業利益18.5億円となる。

 

決算後に株価は下げており現在の時価総額は267億円。

今期は特別利益があるため経常利益×0.7で計算した予想PERは28倍となる。

赤字のUI/UX事業を除いてクリエイターサポート事業の営業利益×0.7で計算した予想PERは21倍(この会社は営業外の損益もセグメント間の調整も少ない)。

2Qを平常運転と考えた場合、売上高20%成長のPER20倍というのは妥当な数字かと思う。イラストソフトNo1、海外7割、サブスク銘柄(いまのところ比率は高くないが)というのを強調すればもっとプレミアムがついても良さそうではあるが。

基本的にソフトの競争力はありそうだし、業績も良く期待感もあるので上方余地は大きいのかなと思う。ただ、バリュー株としては割安感が薄れてしまったし、グロース株としては海外の成長余地がどれくらいあるのかいまいちわからないのが不安に思える。

 

LTHM ライベント 2021年2Q決算

アルゼンチンのオンブレ・ムエルト湖からリチウム化合物を生産している会社。

会社によると炭酸リチウムの生産コストは下位1/4、水酸化リチウムの生産コストは下位1/2に入るそうだ。

戦略的にハイエンドの水酸化リチウムに注力しており、2020年の販売の55%が水酸化リチウムになっている(炭酸リチウム&塩化リチウムは4%)。

アルゼンチンの生産能力の拡張により今後は炭酸リチウムの販売も増やしていくとのこと。

 

2Qは前年比で売上高+57%の増収、営業利益-1.9Mドル→5.4Mドルの黒字転換、調整EBITDA+150%の増益だった。四半期比で見ても業績の改善が続いている。

売上高の増加には販売数量と価格の両方が貢献した。

販売数量は顧客の需要増による水酸化リチウムの増加。

価格に関しては今年の下半期から2022年にかけて上昇の勢いが増すと予想している。なお、足元でリチウムの市場価格が大幅に値上がりしているが、ライベントは昨年のうちに販売数量の大半を年間ベースで契約しているため影響は限定的になっている。2021年の平均販売価格は前年比で横ばいからやや下落になるそうだ。価格上昇が本格的に業績に寄与するのは来期以降になる。

業績が堅調なことから通期のガイダンスも引き上げた。売上高は335-365Mドル→370-390Mドル、調整EBITDAは40-60Mドル→55-70Mドル。

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ベッセマーシティ(5Ktの水酸化リチウム)とアルゼンチンの拡張も再開した。

ベッセマーシティは2022年3Qまでに、アルゼンチンのフェーズ1(10Ktの炭酸リチウム)は2023年の1Qまでに、フェーズ2(10Ktの炭酸リチウム)は2023年末までに商業生産開始という目標。

会社は今年の6月に262Mドルの増資を完了している。

増資、今後のキャッシュフロー、信用枠により拡張計画に必要な資金を十分に調達したとのこと。

 

決算後に株価は大きく上げて22.12ドルになった。

業績が低迷中なので今期の予想PERは参考にならないが、2018年ピークのEPSを使うと22倍と妥当な数字になる。ただし、発行済み株式数は2018年の127.7M株から148.7M株(希薄化株式数は192.7M株)に増加している。

ちなみに2018年の生産能力は水酸化リチウム18.5Ktと炭酸リチウム18Ktで、生産量は水酸化リチウム16Kt(炭酸リチウムが原料)と炭酸リチウム17Ktだった。

これが生産能力の拡張によって2023年末には水酸化リチウム30Ktと炭酸リチウム40Ktとなる予定。アルゼンチンでの炭酸リチウムの生産能力は倍増する。

単純に2018年の業績の2倍&希薄化を考えるとPERは15倍程度の計算になる。アルベマールよりはバリュエーションが低いのかなと思う。

 

ALB アルベマール 2021年2Q決算

リチウム、臭素、触媒を生産する会社。

リチウムでは最大手の一角。チリのアタカマ湖とオーストラリアのグリーンブッシュ鉱山(持分49%)を持つ。両者は資源量と品位の点でかん水と鉱石でベストの資産とされる。その他にもオーストラリアのウォジナ鉱山を持つ(持分60%、休鉱中)。

臭素は難燃剤が主な用途。他にもエレクトロニクス、自動車、建設、アプライアンスなど幅広い産業に使用される。GDP比例のビジネス。

触媒はガソリンなどの精製やディーゼルや石油原料の汚染物質を取り除くのに使われる。新型コロナによる移動制限が逆風になっている。

 

2Qの売上高と調整EBITDAは前年比でわずかなプラスだった。ファイン・ケミストリー・サービスを売却したため営業利益は大幅なプラスとなっている。

ファイン・ケミストリー・サービスを除くと売上高は+5%、調整EBITDAは+13%とのこと。

売上高 773Mドル(前年比+1%)

営業利益 542Mドル(前年比+383%)

調整EBITDA 194Mドル(前年比+5%)

調整EPS 0.89ドル

 

決算と同時に2021年の通期ガイダンスを上方修正した。

売上高は3.2-3.3Bドル→3.3-3.4Bドル、調整EBITDAは775-815Mドル→810-860Mドル。調整希薄化EPSは3.6-4ドルとなる。

 

四半期の売上高と調整EBITDAの推移。新型コロナで落ち込んだ後の回復は鈍い。

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続いてセグメントごとの業績を見てみる。

リチウムセグメントは前年比で売上高+13%増収、調整EBITDA+16%の増益だった。数量が+17%、価格が-4%の貢献。

2021年の調整EBITDAは+10~15%の増益となる予想。前回の1桁台後半という見通しより改善している。

今年の販売量は10%台半ばの増加、平均販売価格は下半期にかけて上昇するものの通期では前年比横にとどまる。

リチウムの市場価格は昨年後半を底に大きく上昇しているが、アルベマールは長期契約が多いため影響も限定的となっている。なお、現在の契約価格は過去の契約価格と比べると同程度かやや上とのこと。

販売契約については、これまでの長期・固定価格に加えてよりマーケット価格に連動した契約を導入していくそうだ。どれくらいの数量かはまだ不明だが、いまのところたぶん1/3程度になるのではという話。

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La NegraⅢ&Ⅳ は建設が完了して試運転段階に入った。商業生産は来年の前半からで2024年までに炭酸リチウムを年間40Kt生産する。2022年末のランレートは30Kt。

Kemerton はステージ1が予定通り今年末に完了する。ステージ2は3か月の遅れが出ている。こちらも2024年にフル生産となる。

休校中の Wodgina については生産再開のアナウンスがない。現時点でスポジュメンを販売する計画はないそうだ。

その他、アルベマールには臭素を生産しているマグノリアで直接リチウムを抽出するプロジェクトもある。かん水から天日干しを経ずに直接リチウムを取り出すのはDLEとして最近注目を集めている。ただ、DLEと一口に言っても対象とする資源によって技術や課題が異なるそうだ。アルベマールの場合は臭素工場で副生される残渣のかん水からリチウムを抽出する。すでに臭素の設備が稼働していることが有利な点だが、水と電気をより大量に使うためコストと持続性の問題があるとのこと。このプロジェクトは技術的な問題を解決したとしても生産が期待できるのはWave4になるそうだ。

 

臭素セグメントは前年比で売上高+20%増収、調整EBITDA+27%の増益だった。

今年は調整EBITDAが1桁台半ばの成長という見通しで、前回の1桁台後半からやや悪化した。大雪の影響により塩素不足から生産が抑制される。

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触媒セグメントは前年比で売上高-25%の減収、調整EBITDA-7%の減益。

今年の調整EBITDAは-30~40%の減益になる見通し。

このセグメントはパンデミックで大きな悪影響を受けている。以前の販売数量に戻るのは2022年後半~2023年になるとのこと。

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アルベマールの足元の業績はいまいちだが、会社は2022年に向けて3つの事業すべての売上高とEBITDAが増加すると予想している。

特にリチウムは来年以降に数量と価格の両面から大きく業績が伸びることが期待できそう。

 

株価は7月から1段高になっており上場来高値を更新した。2020年3月の底値から見ると4倍の値上がりになる。

一方でPERは今期予想60倍前後と非常に高い。2019年のピークEPSを使っても37倍になる。

過去の業績を見ると、需要が戻れば臭素と触媒は500Mドル程度の純利益を出せそう。リチウムは2018年の428Mドルがピーク。2020年の全社費用は333Mドル。合計すると595Mドルになるが、時価総額26.5Bドルと比較するとやはり割高感がある。

この高バリュエーションを正当化できるかはリチウムセグメントの利益がどれくらい伸びるかによりそう。

リチウムのネームプレートキャパシティは2018年に65Kt、2019年と2020年に85Ktだった。これが2022年に175Ktに拡大する(ただしKemerton50Ktの持ち分は60%。またフル生産は2024年)。

仮にリチウムセグメントの純利益を2倍にして計算するとPERは26倍になる。無茶苦茶な数字ではないが2024年の増益まで織り込んで26倍というのはやはり高いと思う。

あとはリチウムの販売価格が2018年よりも高くなるか、休鉱中のウォジナを活かし短期間で販売数量をアップさせるくらいが上振れ要因かと思う。

 

9267 Genky DragStores 2021年6月期4Q決算

福井県発祥のドラッグストアチェーン。福井県、石川県、岐阜県、愛知県にドミナント展開している。

ゲンキーの特徴は低価格販売と食品比率の高さで、食品は生鮮食品も取り扱っている。全体の売上高に占める食品の比率は6割を超える。

 

2021年の売上高は+15%の増収だった。今期は新型コロナ特需の反動もあるかと思ったが、+12%と2桁の増収を予想している。

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経常利益は+45%の増益と大きく伸びた。今期予想も+3%と増益を見込んでいる。

経常利益率は前期実績4.6%、今期予想4.3%。2006年からの平均は3.8%。長期で見ると2006年~2014年は2~4%のレンジで推移していたが、2015年以降は3%後半~4%台に底上げされている。

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店舗数、業績、売上高構成比をドラッグストア他社と比較してみる。

※店舗数は国内店舗数。

※業績は実績値。

※売上高の構成比は各社基準がバラバラなので参考値。サンドラッグ、マツモトキヨシ、カワチは調剤を医薬品に含めていると思われる。

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ゲンキーの規模はまだ小さいが、店舗数や売上高はクスリのアオキやクリエイトSDの半分程度まで迫っている。

利益率を見ると粗利益率が21%と低い。低価格を志向しているのと食品比率が高いためだろう。コスモス薬品と同じ戦略。粗利益率は低いもののローコスト経営により営業利益率は業界の平均的数字となっている。

 

次に売上高の成長率を他社と比較してみる。今期予想の売上高を基準に過去1年、2年、10年の年率換算値を比べた。

なお、マツモトキヨシとココカラファインは合併により今期の予想数字がないためグラフに入れていない。

また、ウェルシアは決算期の変更が入っているので完全な10年ではない。

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過去10年でみるとクスリのアオキ、ウエルシア、ツルハ、ゲンキー、コスモス薬品の成長率が年率+10%を超えている。ただし、ここ2年でみるとゲンキーを除いてどの会社も1桁の増収率に落ちてしまう。

ゲンキーのみは1年、2年、10年のどれで見ても2桁の増収率を維持しており、かつ成長率が落ちていない。

 

BSは有利子負債が285億円に対して現金+投資有価証券80億円。

有利子負債は今期の予想経常利益68億円、実績の営業キャッシュフロー120億円と比べると多くはないが少なくもないという水準だと思う。

 

決算は悪くなかったと思うが、翌日に株価は大きく下げた。

今期の予想PERは12.7倍となり、クスリのアオキの20.6倍、コスモス薬品の29.7倍に比べてかなり低い。評価が低いのは他社と比べて規模が小さいためかなと思う。

ただ、生鮮食品を取り扱っていることで店舗の競争力はあると思うし、規模の小ささから他社よりも高い成長率も期待できる。現在の成長率と収益力を維持できるのであれば低評価はいずれ解消されていくのではないかと思う。

 

LAC リチウム・アメリカズ

カナダのリチウム開発会社。カナダとアメリカに上場している。

アルゼンチンのカウチャリ・オラロス、アメリカ(ネバダ州)のタッカー・パスという2つのプロジェクトを持つ。

 

カウチャリ・オラロス

カンフォンリチウムと開発を進めているかん水のプロジェクト。リチウムアメリカズの持ち分はジョイントベンチャーの49%、全体の44.8%。

ガンフォンはリチウムアメリカズに12.6%の出資も行っている。

 

カウチャリ・オラロスは南米のリチウムトライアングルに位置する。隣にはオロコブレのオラロス湖がある。

資源量は20Mt LCE と膨大でアタカマに次ぐ規模(ただし塩湖の資源量は大きいので上位であればそれほど気にする必要はないと思う)。

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計画では2022年3Qから生産を開始する予定。年間生産量はバッテリーグレードの炭酸リチウム40Kt、生産コスト3,600ドル以下という見込み。

CAPEXは641Mドル。そのうち66%が投資済みで残りの資金もすでに確保しているとのこと。

5月にはさらに20Ktの拡張を行うというアナウンスがあった。

 

タッカーパス

リチウムアメリカズが100%保有するプロジェクト。クレイからリチウム化合物を生産する。

資源量(精測・概則・予測)は8.4Mt LCE と非常に大きい。

現在はFSが進行中。年間生産量は30-35Ktの計画で、20Ktの水酸化リチウム変換プラントも検討している。

開発スケジュールによると2022年に建設開始の予定となっている。

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なお、2018年に出たPFSの数字は以下のようになっている。

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タッカーパスはアメリカ本土の大規模リチウムプロジェクトということで期待大だが、現時点でクレイからリチウム化合物を生産している会社がないのがリスクだと思う。

また、環境団体の訴訟によりプロジェクトが遅れるというアナウンスが6月に出ている。この判断は7月末に下るようだ。

 

リチウムアメリカズの株価は今年初めにピークを付けた後に低迷している。昨年急騰した反動ではあるが、他のリチウム銘柄に比べると下落が大きい。

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現在の時価総額は1.7Bドル。これはオロコブレの2.3Bオーストラリアドルとほぼ同じレベル。

オロコブレはアルゼンチンのオラロス湖から年間12ktほどの炭酸リチウムを生産している。プロジェクトの持ち分は66.5%。バッテリーグレードの比率は2~3割程度(来期には5割まで高まると言っている)。2021年に楢葉で10Ktの水酸化リチウムプラントが稼働するほか、2023年に向けて42.5Ktへの拡張を計画している。

リチウチ銘柄の時価総額を比較するのはなかなか難しいと感じる。資源がかん水なのか鉱石なのか、製品が炭酸リチウムなのか水酸化リチウムなのか、バッテリーグレードの割合はどれくらいあるのか、将来の拡張計画はどれくらいあるのかなど条件が異なるため。ただ、カウチャリ・オラロスが計画通りに進行すれば少なくともオロコブレと同レベルの評価はつくのではないかと思う。そうなった場合にはタッカーパスがほぼゼロ評価になる。

アメリカに資源を持つリチウム銘柄としてはピードモント・リチウムがある。ピードモント・リチウムは鉱石資源を持つ会社だが資源量は中規模クラスで生産も開始していない。にもかかわらずアメリカにある&テスラと契約したということで1.4Bドルの時価総額がついている。

以上から、カウチャリ・オラロスの生産が計画通りに進む、タッカー・パスの開発が問題なく再開する、リチウム銘柄のバリュエーションが現在と変わらない、という前提であればリチウムアメリカズの株価は割安だと思う。

 

3186 ネクステージ 2021年11月期2Q決算

中古車販売の大手。中古車買取や輸入車ディーラーなども手掛けている。

 

2Q累計の業績は以下の通り。上方修正はなかったが、経常利益は会社予想を+24%上回った。

売上高 1,392億円(前年比+20%、前々年比+33%)

経常利益 62億円(黒字転換、前々年比+94%)

純利益 44億円(黒字転換、前々年比+90%)

EPS 57.9円

 

2Q単体だと以下の通り。

売上高 761億円(前年比+41%、前々年比+37%)

経常利益 35億円(黒字転換、前々年比+81%)

純利益 24億円(黒字転換、前々年比+63%)

 

四半期の売上高の推移が下のグラフ。直近1年以上にわたり横ばいで推移していたが、2Qは久しぶりに大きく伸びた。

ただ、1Qがいまいちだったため2Q累計の売上高成長率は+20%にとどまる。2割の成長率は数字だけ見れば悪くないが、新型コロナの影響を除くため前々年の売上高を基準にすると2年間の年平均成長率は+15%まで落ちてしまう。

ネクステージは新型コロナ下にあっても店舗数を増やしていた。今期は前年に停滞した分も売上高が伸びるのではないかと思っていたが、上半期はやや物足りない数字に感じた。

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下のグラフは、買取専門店を除く店舗数、売上高、小売販売台数の前年比の推移(2021年は会社予想の数字)。

ネクステージは店舗の大型化を進めているため売上高と小売販売台数は店舗数の伸びを上回っていた。

2020年は新型コロナの影響で売上高と小売販売台数が店舗数の伸びを下回った。2021年は新型コロナの影響が小さくなることで売上高が大きく伸びることを期待したのだが、会社予想の数字は控えめとなっている。

実際の2Q決算ではやや上振れした数字が出てきたが期待ほどではなかった。ただし、2Q単体の売上高は大きく伸びているので下半期に再加速があるかもしれない。

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買取専門店を除く店舗数当たりの小売販売台数も出してみたが、今期の会社予想は小規模なリバウンドでやや物足りなく思える。

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四半期の経常利益の推移。前年3Qに大きく切り上がった利益水準を維持している。

4Qの経常利益率は4.6%。前年3Qの5.6%には及ばないものの1Qの4.3%から向上している。

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利益率については前年3Qに改善したのが一過性の特需に終わるのではないかと心配していた。

心配どおり粗利益率は低下しているのだが、販管費の削減によって高収益を維持している。

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粗利益率の低下はオートオークションの特需が剝げたことが原因のようだ。オートオークションの台当たり収益はコロナ前の水準まで落ちてきている。

オートオークションが堅調な一方で小売平均単価は底這いで推移している。中古車価格の値上がりが報道されているので小売価格が上がっていないのはやや意外に感じた。

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なお、ネクステージは中古車買取の店舗を大幅に増やしており、買取店の粗利益も全体の2割程度まで増加している。その他にも新車ディーラー、整備店といったビジネスもあり、中古車販売の比率は半分程度まで下がっている。

ちなみに決算説明会資料によると2Qの小売販売の買取仕入構成比率は24.2%となっている。買い取った中古車の3/4台はオートオークションで販売されているようだ。

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株価は高値圏にあり今期PERは17.5倍となっている。会社予想の成長率で見ると妥当な水準かなと思う。

ただ、中間で経常利益が2割以上も上振れているので、通期もこの勢いが続けばPER15倍前後まで下がりそう。来期も2割伸びれば10倍前半になり割安感が出てくると思う。

一方で成長率が10%くらいまで下がるならバリュエーションの安いIDOMの方が魅力に見えてくる。