3186 ネクステージ 2020年11月期4Q決算

中古車販売の大手。輸入車ディーラーも運営している。

 

4Q単体は前年比で売上高+7%、経常利益+169%だった。

四半期の経常利益の推移を見ると3Qと4Qは過去に比べても異常な水準の利益が出ている。粗利益率は20%を超え、営業利益率も5%前後と以前(2%~3.5%程度)に比べて一段高くなった。

会社が挙げているのは、初期プライスの自動設定システムを構築、人件費を除く販管費の見直し、過剰な安売りを軽減といった要因。

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4Q累計の決算は前年比で売上高+10%、経常利益+11%だった。

期首の予想から1割ほど下振れしたもののコロナ下でも増収増益を維持している。

 

今期は売上高+16%、経常利益+64%という予想。

売上高の推移を見ると成長率は落ちている。前期停滞した分を合わせてもう少し伸びるかと思ったが控えめな成長率だった。

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一方で経常利益は大きく伸びる予想。利益率は3.8%と過去最高を更新する。

会社は2030年に粗利益率23%、営業利益率7%を目指すとしている。

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実績の出店は総合店+8、新車ディーラー+3、買取専門店+3だった。

今期は中型店+1、総合店+9、新車ディーラー+1、買取専門店+18という計画。

店舗数を単純に積み上げたのが下のグラフ。店舗の大型化という方針に従って中型店が減り総合店が増えている。

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バランスシートを見ると、現預金が110億円から274億円に、有利子負債が439億円から522億円へ増えた。結果として現金を控除したネットの有利子負債は328億円から247億に減っている。今期の経常利益107億円、実績の減価償却費33億円と比較すると、出店による投資負担さえなければそこまで大きい金額ではないと思う。

ただ、大型店を出店するのに1店舗あたり8~10億円の資金がかかるそうなので継続的な資金調達は必要になりそう。

他の項目を見ると、棚卸資産が392億円から334億円に減っている。2019年に悪化した棚卸資産回転日数は2~4年前と同水準に改善した。

 

決算を受けて株価は+10%ほど上げた。今期PERは15倍となる。

過去の成長率の高さや利益率の改善具合を見ると手ごろな価格に思えるが、成長率の鈍化や利益率の持続性の不確かさに注目した場合は適正価格かもしれない。

現在はコロナ下で中古車に追い風が吹いている。これが収まっても収益性を維持できるのかに注目だと思う。