PLS.ASX ピルバラミネラルズ

リチウム化合物の原料となるスポジュメンを採掘している会社。オーストラリア上場。

 

会社の保有する資産はオーストラリアの Pilgangoora。生産中の鉱山ではトップクラスの資源量をほこる。資源量・グレードともに高い Greenbushes(ティエンチ/アルベマール)は別格だが、Mt Marion(ガンフォン/ミネラルリソーシズ)、Pilgangoora(アルチュラ)、Mt Cattlin(ギャラクシー)よりもはるかに大きい。現状の生産キャパシティの下で鉱山寿命は40年以上になる。

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2015~2017年頃に起きたリチウムブームの結果、オーストラリアではギャラクシー、ピルバラ、アルチュラ、アリタらがスポジュメンの生産を開始した。しかし、2年以上も続くリチウム市場の低迷によってアルチュラとアリタは破綻に追い込まれている。

新興他社と比較するとピルバラはパートナーが豪華なのが特徴的。オフテイク契約の相手にはガンフォン、CATL、ポスコといった一流の会社が並んでおり、これらの会社はピルバラの株主にもなっている(ガンフォン6.86%、CATL8.24%、ポスコ3.69%)。ポスコとはJVで水酸化リチウムプラントを建設する計画がある。

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Pilgangoora でのスポジュメン精鉱の生産は2018年3Qに始まった。しかし、リチウム市場の悪化を受けて生産は停滞している。

ステージ1のネームプレートキャパシティは年間330Ktのスポジュメン精鉱だが、直近4四半期の合計は132Ktしかない。生産が倍増した3Qを年換算しても250Ktにとどまる。

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供給過剰によりスポジュメン精鉱は価格下落が続いている。

市場の逆風を受けて2020年6月期の決算は100Mドルの赤字となった。営業キャッシュフローも19Mドルの赤字。

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バランスシートのキャッシュは新株発行により86Mドルに増加した。

短期借入金は53Mドル、長期借入金は123Mドルとなっている。

 

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12月1日に会社は破綻したアルチュラマイニングを175Mドルで買収することを明らかにした。アルチュラの資源量は中規模クラスだが、ピルバラの資産に隣接しているため相乗効果が見込めると判断したようだ。買収資金は新株発行によって手当てする計画(240Mオーストラリアドルの増資)。

 

ピルバラの今後はスポジュメン価格の改善が前提になると思う。現在の価格ではキャッシュフローが赤字で存続が不可能。

価格は足元で改善する気配がある。しかし中長期的に見ると競合が多いため価格の予測は難しそう。Pilgangoora はトップクラスの鉱山だが、同レベルだけでもリオティントの Jadar(FSステージ)、アルベマールの Wodina(休鉱)、SQM の Mt Holland(来年1月に投資判断)、LTR の Kathleen(DFSステージ)といった鉱山がある。

現在のリチウム需要は炭酸リチウム換算で年間300Kt程度、これが2025年に800~1,000Ktになると予想されている。一方で Pilgangoora のステージ2が炭酸リチウム換算で100Kt(ステージ1は40Kt程度)という規模なので、同クラスの鉱山が多数開発された場合は需要が伸びても供給過剰になる可能性もある。

なお Mt Marion を参考にすると、鉱山開発は建設開始から出荷開始が1年程度、出荷開始からフル生産が1年未満となっている(川下のスポジュメン精鉱→リチウム化合物は別)。鉱石はかん水に比べると生産までの時間が短い。

 

ピルバラの現在の時価総額は2.19Bオーストラリアドル(≒1.66Bドル)。

先日 IGO が Greenbushes の25%と Kwinana 水酸化リチウムプラントの49%を1.4Bドルで購入すると発表した。水酸化リチウムプラントも入っているので Greenbushes のみの正確な評価は不明だが、この価格を基準にするとピルバラは十分に評価されているのではないかと思う。  

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IGOのプレゼンテーション資料