中国ADR(NIO、XPEV、NIU) 2020年3Q決算

電気自動車のニオ、小鵬、電動バイクの小牛の3Q決算。

記事中のPERやPSRはすべてYahooFinanceのアナリスト予想の数字をもとに計算した。

 

・NIO ニオ

中国の新興EVメーカー。

2018年にプレミアムSUVのES8、2019年にES8より小型で廉価なES6、今年に入ってモデルYの競合となるEC6を発売した。

ニオのEVはバッテリー交換が可能という特徴がある。車体のみを購入しバッテリーをリースで利用するBaasも行っているそうだ。

四半期の納車台数は下のグラフのとおり。3Qは12,206台と2四半期連続で過去最高を記録した。10月は5,055台、11月は5,291台と好調を維持している。

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業績は赤字が続くが、粗利益は2Qから黒字転換している。3Qの粗利益率は12.9%まで改善した。

生産能力は2021年1月に月産7,500台に拡大させる計画。ニオは江淮汽車の工場内に共同工場を持つ。会社によると年間生産能力15万台まで拡大できるそうだ。

EVブームを背景に株価は高騰している。現在の時価総額は約600億ドルでホンダや日産を超えている。今期のPSRは25倍と自動車会社とは思えない水準。

ただし、ニオの2020年の販売台数は4万台程度の予想なので拡大余地はかなり大きい。また、テスラのような(オートパイロットなどの)ソフト販売収入やニオ独自のBaasが利益を生むのではという期待感もある。

 

・XPEV 小鵬

ニオや理想汽車と並ぶ中国の新興EVメーカー。3社の中では最もテスラに似た路線を取っているという評価。R&Dも大きい。

2018年にSUVのG3、2020年にセダンのP7を発売した。P7はカタログスペックではテスラモデル3を上回る一方で値段は安い。

納車台数の推移は下のグラフのとおり。P7の貢献により3Qは8,578台と大幅に伸びた。10月は3,040台、11月は4,224台と好調が続く。

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3Qの売上高はニオの半分以下。赤字も続くが、粗利益は初の黒字となった。

会社は広東省に年間生産能力10万台の工場を持っている。また同レベルの第二工場も建設するそうだ。

時価総額は318億ドル。今期のPSRは40倍近い値となっている。

 

 ・NIU 小牛

リチウムイオン電池を搭載した電動スクーターを製造販売している。高価格帯の製品が主体だったが、Gシリーズで中価格帯に進出した。

3Qは前年比で売上高+37%の増収、営業利益+51%の増益だった。

販売台数は前年比+68%と大幅に増加したが、Gシリーズの販売増加によりスクーター1台当たりの売上高は-19%と低下した。

四半期の業績推移を見ると、新型コロナウィルスの影響で1Qは赤字になったものの、それを除くとここ2年は営業黒字が定着している。

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中国では電動バイクの新たな規制が始まった。数年をかけて(都市により移行期間が違う)基準を満たした電動バイクに置き換える必要があるとのこと。Seeking Alpha に掲載されていた分析記事によると、基準を満たさない電動バイクの75%が4年で置き換えられると年間2,500万台の需要が生まれるそうだ(規制前の中国の年間需要は3,500万台)。

 

業界の追い風や新型コロナによる特需もあり株価も高騰している。今年の初めから約4倍に値上がりした。

今期のPERは77倍、来期は35倍と高い。

電動バイクはEVほど独自性が出せないのではないかという不安がある。