4666 パーク24

コインパーキング「タイムズ」を含む駐車場の管理運営を行っている会社。国内首位。レンタカーやカーシェアも行っている。

海外は韓国・台湾のほか、買収によりイギリスやオーストラリアなどに進出した。

 

売上高は順調に伸びていたが、新型コロナウイルスの影響により2020年10月期は-15%の減収となった。2021年は5%の回復予想。

f:id:sapa21:20201216121519p:plain

 

主要3セグメントの売上高。

2020年は前年比で国内駐車場-9%、海外駐車場-32%、モビリティ-14%。海外の落ち込みが最も大きい。

f:id:sapa21:20201216121632p:plain

 

EBITDA、営業利益、経常利益の推移(EBITDAは2013年以降)。

全体として増益傾向を続けていたが2020年は大幅な赤字に転落した。ただし、減価償却費が大きいためEBITDAベースでは黒字。営業キャッシュフローやフリーキャッシュフロー(営業CF-投資CF)も黒字となっている。

f:id:sapa21:20201216121732p:plain

 

主要3セグメントの営業利益。

国内駐車場とモビリティは大幅な減益だが黒字を維持している。海外駐車場が赤字の原因。

2021年は国内駐車場がかなり回復し、モビリティが最高益を更新する計画になっている。モビリティの営業利益は100億円と全体に占める割合も高くなってきた。

一方で海外駐車場は依然として赤字が続く見込み。海外はイギリスの比率が高いので来期も厳しいかもしれない。

f:id:sapa21:20201216121919p:plain

 

モビリティの売上高の内訳。

レンタカーも伸びているが、カーシェアの成長が著しい。2020年はレンタカーが落ち込む中でカーシェアは底堅く推移し、両者の売上高が同水準となった。

f:id:sapa21:20201216122111p:plain

 

営業利益を見るとレンタカーはほとんど増えていない一方でカーシェアが順調に成長している。カーシェアの営業利益率は20%近い高水準(2020年は18%)。

f:id:sapa21:20201216122200p:plain

 

会社は今期にレンタカーの車両を大幅に削減した(前期末30,620台→17,808台)。今後はカーシェアに注力していくようだ。

カーシェアリング市場動向によるとタイムズカーシェアのステーション数と車両台数は2位を大きく引き離している。競争優位はありそう。

カーシェアの市場規模だが、この調査によると2019年が482億円の見込みで、2030年には4,555億円にまで拡大すると予想している。この資料によるとレンタカーの市場規模は9,540億円(うち個人向け3,816億円)で、個人向けのカーシェア市場規模はレンタカーの1/12程度だそうだ。これだけ見るとカーシェアにはまだまだ拡大余地が大きそうに思える。

ただ、国際的に見るとカーシェアの先進国のスイスでも会員数は人口の2%程度とのこと。日本の会員数は200万人を超えており、会員数/人口で見た普及率は他国に比べると高い水準のようだ。

 

バランスシートは、現金555億円、短期有利子負債(リース含む)457億円、長期有利子負債(リース含む)1,593億円となっている。有利子負債は大きいもののキャッシュフローが黒字なのですぐに問題は起きにくいと思う。

12月に会社はのれんの減損で大幅に低下した自己資本比率を改善するために500億円の劣後ローンを発行した。これによって自己資本比率は18%まで上がるそうだ。

 

株価はピークから約半分の水準まで落ちている。時価総額は2,666億円。

好調時には140億円近くの純利益を出していたので、これを基準にするとPERは20倍を切る。業績回復を前提にすれば魅力的な水準に落ちてきた。

主力事業の国内駐車場はコロナが落ち着けば回復すると思うし、モビリティ事業ではカーシェアの成長に期待できる。

一方で海外駐車場は厳しい。今期の予想も赤字だし、イギリスの再ロックダウンも逆風になりそう。バランスシート上には依然としてのれんが168億円のっているのも不安な点に思える。