3496 アズーム 2019年9月期決算

駐車場サブリースと月極駐車場のポータルサイト。サブリースの売上高が9割近くを占める。

サブリースは駐車場の空き区画をオーナーから借り上げ、自社のポータルサイトなどを通じて獲得したユーザーに貸し出すという事業。シェアードリサーチのレポートによると、顧客はオフィスビルとマンションがそれぞれ40%程度でマンション向けの比率が高いのが特徴とのこと。

対象となる附置義務駐車施設の台数は多く拡大余地は大きそうに思える。

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決算は売上高が大きく増えたものの大幅減益に終わった。期首予想と比べると売上高は-5%、経常利益は-64%下振れている。人件費等の関連コスト増が原因とのこと。

月極駐車場受託台数も9,615台で目標の11,000台を大きく下回った。

売上高 27.2億円(前年比+48%)

経常利益 9.4億円(前年比-37%)

純利益 5.6億円(前年比-49%)

 

今期は売上高+40%、経常利益+117%の予想。経常利益率は実績の3.4%から5.3%に改善する見込み。

中期目標は強気だが、前回の目標からは大きく下方修正している。

2020年9月期 売上高44億円・営業利益2.6億円→売上高38億円・営業利益2億円

2021年9月期 売上高65億円・営業利益11億円→売上高63億円・営業利益9億円

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決算後に株価は一時+20%近く上げたが終値は+5.7%で引けている。

今期予想はPER27倍、予想はPSR0.97倍と成長株にしてはバリュエーションが低い。

直観的に良さそうなビジネスモデル、ストック型の収益、高い売上成長率、利益率の改善余地の大きさ、37億円という時価総額など大化けしそうな要素は多い。一方で上場初年に大幅下方修正するなど信頼性に疑問も感じる。ハイリスクハイリターンの銘柄だと思う。

 

9628 燦ホールディングス 2020年3月期2Q決算

葬儀会社。

中間決算は増収増益。経常利益は期首予想を+32%上振れて着地した。

売上高 104億円(前年比+4%)

経常利益 15億円(前年比+2%)

純利益 10億円(前年比-6%)

 

2Q単体の経常利益は前年比+20%と好調。1Qの経常利益は-17%の減益だった。

売上高 54億円(前年比+6%)

経常利益 9億円(前年比+20%)

純利益 6億円(前年比+3%)

 

過去5年ほどの四半期の経常利益の推移。

ところどころ落ち込む四半期があり、今年の1Qも悪かったが2Qに回復した。直近の経常利益率は17%になっている。過去10年の年度ベースの平均は10%。

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過去の売上高を見ると微妙に成長しているが伸び率は低い。減収の年もある。

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経常利益は凸凹があるものの2017年まではゆるやな伸び率。

2018年と2019年に大きく伸びているが、2018年に売上高が+7%と比較的高い成長率だったこと、粗利益率が2%ほど改善したこと、販管費の半分ほど占めている人件費が横ばいなこと、のれん償却費がなくなったことなどが原因のよう。

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期首予想の経常利益と実績の経常利益を比較すると、基本的に業績予想を控えめに出して上方修正する傾向があることがわかる。2011年からこのパターンが続いている。

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上方修正の発表では株価がほとんど上がらなかったが、決算と自社株買いの発表で株価は+10%上がった。

今期予想PERは8倍とそこそこ低い。ただ、成長率の低い会社なので大きな株価上昇はあまり期待できないのかなという気はする。

 

LTHM ライベント 2019年3Q決算

FMCのリチウム部門がスピンオフされて誕生した会社。

かつてのビッグ3の一角だが、現在はSQM、アルベマール、ティエンチ、ガンフォンの4社と比べると規模が小さい。

アルゼンチンのオンブレ・ムエルト湖からリチウム化合物を生産しており、炭酸リチウムの生産コストは世界最低クラス。戦略的に水酸化リチウムに注力している。

 

3Qの売上高はガイダンス105~115Mドルのところを97.7Mドルと大きく下振れた。

売上高への寄与は数量-4%、価格-8%、FX-1%。

3Qのリチウム価格に改善の兆しはなく4Qも同じ状態が続くとのこと。

 

売上高 97.7Mドル(前年比-13%)

営業利益 13.8Mドル(前年比-61%)

純利益 28Mドル(前年比-40%)

EPS 0.12ドル(前年0.24ドル)

調整EBITDA 28.2Mドル(前年比-33%)

 

売上高と営業利益の推移。上場後は業績が悪化しており株価も暴落している。

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決算と同時に通期のガイダンスも大きく下方修正した。

4Qの売上高は90~100Mドル、調整EBITDA21~26Mドル、希薄化EPS0.08~0.11ドル。

2019年通期では売上高400~410Mドル(前回ガイダンス435~475Mドル)、調整EBITDA105~110Mドル(190~200Mドル)、希薄化EPS0.44~0.47ドル(0.56~0.66ドル)。

 

下方修正の理由は2020年に向けて水酸化リチウムの在庫を4Kt積み増すため。2020年の顧客の需要は生産量のピークを上回るそうだ。

販売量の計画は25~26Kt。キャパシティの拡張はないが2019年の17Ktより大幅に増加する。

なお、アルゼンチンで生産される炭酸リチウムはすべてが水酸化リチウムの生産に使われる。さらに不足する炭酸リチウムはサードパーティーから購入するとのこと。

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その他のメモ

・中国での炭酸リチウム価格の下落は、オーストラリアのスポジュメン鉱石の供給過剰、中国でのかん水からの生産、中国での短期的な需要減少といった原因。

・水酸化リチウム価格も下落しているが炭酸リチウムよりも下落幅は小さい。需要は強く前年比50%の増加で100Ktとなる見込み。水酸化リチウムの買い手は日韓欧などに分散していて、より厳しい品質が求められる。

・ライベントは中国では水酸化リチウムをほとんど販売していない。可能なかぎり中国で短期的なスポット価格では販売しない方針。

・中国でのNMC811の売上高は1Qから3Qの間に2倍に増えている。

・2020年からLG化学に水酸化リチウムを供給する。契約は複数年。

・アルゼンチンの炭酸リチウム9.5Ktとアメリカ・ノースカロライナの水酸化リチウム5Ktの拡張は2020年末までに完了する。アメリカの水酸化リチウムのキャパシティは14Ktとなり中国と同じ規模となる。

・2021年の販売量は2020年と変わらない見込み。需要が大きければ中国での4本目のラインを考える。これには6~12か月が必要となる。

 

3895 ハビックス 2020年3月期2Q決算

紙と不繊布製品の会社。紙おむつ、クッキングペーパー、おしぼり、テーブルナプキンといった製品を作っている。

 

中間決算は増収増益で、経常利益は期首予想を+22%上振れて着地した。

売上高 66億円(前年比+1%)

営業利益 4.7億円(前年比+12%)

経常利益 5.2億円(前年比+21%)

純利益 3.6億円(前年比+22%)

 

2Q単体の業績は1Qに比べて大きく改善している。1Qは減収減益だった。

売上高 34億円(前年比+3%)

営業利益 2.6億円(前年比+48%)

経常利益 3.0億円(前年比+67%)

純利益 2.0億円(前年比+74%)

 

四半期ごとの経常利益と経常利益率の推移はこちら。

売上高の伸びが緩やかなので経常利益の金額は経常利益率とほぼ連動している。利益率はばらつきが大きい。1Qは6.7%、2Qは8.8%だった。年度ベースで過去10年の平均は7.5%。

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木材パルプ価格と原油価格(FREDより取得した数値を円換算)、ハビックスの経常利益率の推移。

2019年に入って木材パルプの価格低下が著しい。原油価格も弱含んでおりコスト面での改善が期待が持てそう。

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現在の株価は721円で予想PERは9.2倍。業績上振れを期待するなら割高感はないと思う。

なお、ハビックスは現在30億円をかけて海津工場を増設しており12月に稼働の計画となっている。これにより海津工場の衛生用紙の生産能力は約2倍となるそうだ。

 

8699 澤田ホールディングス 2020年3月期2Q決算

モンゴルのハーン銀行を主力とする会社。

中間決算は売上高が2桁伸びて営業利益も増益だった。ただ、為替差損のため経常利益は減益になっている。

売上高 301億円(前年比+11.7%)

営業利益 51億円(前年比+4.9%)

経常利益 54億円(前年比-3.7%)

純利益 45億円(前年比+44.1%)

 

同時に出たハーン銀行の1~9月の純利益は+4%の増益にとどまっているが、貸倒引当金控除後純資金運用収益は前年比で+12%の増加、融資残高は+17%の増加、預金残高は+22%と堅調に伸びている。

7~9月(澤田の3Qに計上される)に限れば純利益は前年比+19%の増益だった。

 

モンゴルの2Qの実質GDP成長率は7.3%と堅調な伸びを維持している。

ただし、このレポートによるとモンゴルの銀行の不良債権比率は不良債権引当金率を上回っており、IMFの勧告に従うなら不良債権の切り離しや資金注入が必要になるとのこと。

 

澤田HDの実績PERは6.1倍と低いが、フロンティア市場を主力としているだけにリスクは高そう。

 

7419 ノジマ 2020年3月期2Q決算

家電量販店、携帯キャリアショップ、インターネット接続のニフティを運営している。

今年の3月にシンガポール上場の家電・IT製品・家具販売会社を子会社化した。

 

中間決算は好調だった。経常利益は期首予想を15%上振れて着地した。

売上高 2,696億円(前年比+10%)

経常利益 130億円(前年比+23%)

EBITDA 206億円(前年比+24%)

純利益 92億円(前年比+25%)

 

2Q単体も好調。ただし、業績上振れの理由として増税前の駆け込みを挙げているので下半期はやや不安があるかもしれない。

売上高 1,399億円(前年比+8%)

経常利益 89億円(前年比+27%)

純利益 63億円(前年比+38%)

 

セグメント別の四半期の売上高。

デジタル家電専門店運営事業はゆるやかに成長している。

キャリアショップ運営事業は4四半期連続でマイナス成長となった。

インターネット事業も2四半期連続のマイナス成長。

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セグメント利益。

デジタル家電専門店運営事業はブレはあるがおおむね堅調に推移している。中間決算は+25%の増益だった。

キャリアショップ運営事業はブレが大きい。中間決算は-8%の減収だが+4%の増益を確保した。

インターネット事業は買収直後に2四半期連続で赤字を計上したもののその後は黒字を維持している。中間決算は-5%の減収、+25%の増益だった。

海外事業は1Qが0.35億円の赤字、2Qは4.4億円の黒字となっている。

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ノジマの最近のニュースとしてスルガ銀行の株式購入がある。10月に株式を買い増して議決権18.52%の筆頭株主になっている。

日経新聞によると追加の株式取得も視野に入れているとのこと。

ノジマ「スルガ銀へ追加出資も」金融×小売りの融合模索 収益源広げる買収巧者

家電量販店が銀行の株式を取得してどうするのかという気はするが、「クレジットカードなど個人向け金融と小売りを融合したビジネスモデルを模索する」との話。

記事にも書かれているようにノジマは買収によって業績を拡大させてきた。ITX(携帯キャリアショップ)もニフティ(コンシューマー向け事業)も買収後の売上高の成長はないが利益は安定して出している。

 

スルガ銀行についてはいくつか記事を読んだがポジティブな意見もネガティブな意見もあった。

ポジティブな意見としては、本業の収益力が高い、シェアハウスローンについては引当金を十分に積んでいるというものがある。ネガティブな意見としては預金の流出が激しい、一棟収益ローンやワンルームローンの遅滞率の悪化といったものがある。

預金の流出に関しては四半期ごとに見ると減少ペースはゆるやかになってはいる。

一棟収益ローンとワンルームローンについては遅滞率の悪化が続くと厳しくなりそう。一棟収益ローンの残高は1兆2,095億円、ワンルームローンの残高は2,200億円とシェアハウスローンの残高2,005億円に対して大きい。遅滞率は2018年9月に一棟収益ローン0.5%、ワンルームローン0.3%だったのが、直近でそれぞれ1.85%と1.03%に悪化している。一方で貸倒引当金の残高2,040億円のうち投資用不動産(ワンルームローン、一棟収益ローン、その他有担保ローン)は467億円にとどまる。

 

今回のスルガ銀行の株式取得費用は140億円とのこと。

ノジマの9月末のバランスシートは現預金225億円に対して短期有利子負債200億円、長期有利子負債475億円。今期の予想EBITDA347億円からすると財務的に悪いわけではない。仮にスルガ銀行で失敗したとしてもノジマの経営が傾くようなことはなさそう。

 

決算を受けて株価は10%以上上げたが予想PERは8倍と低い。

さらにこの会社はのれん償却費が大きく、償却前利益を使うと予想PERは5倍と非常に割安になる。

 

5541 大平洋金属

主にステンレス鋼の原料に使われるフェロニッケルを製錬している会社。

ニッケル事業が業績のほとんどすべてを占める。

 

過去の売上高を見ると変動はかなり大きい。

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経常利益もブレが大きい。ピークは560億円。近年は業績が悪く2014年~2018年まで5年連続赤字が続いていた。

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製品販売量は3万トン弱で比較的安定している。

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円建てのニッケル価格(決算説明書のニッケル価格×為替レート)と経常利益率はおおむね連動していそう。

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ニッケル価格は2016年初めを底に切り上がっている。今年は50%も上昇している。

5 Year Nickel Prices - Nickel Price Chart

InvestmentMine

 

ニッケル価格が上昇しているのは、在庫が右下がりに減っていることやインドネシアがニッケル鉱の輸出を禁止したことが原因と思われる。インドネシアは世界最大のニッケル鉱生産国。

なお、大平洋金属は鉱石をフィリピンやニューカレドニアから調達している。

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ニッケルはリチウムイオン電池の正極材にも使われており今後の需要が大きく増えることが見込まれている。ただし、電池向けのニッケル需要は割合としては低く、必要とされるのも高品質のクラス1ニッケルとなる。

 

2020年1Q決算は6.4億円の赤字だった。通期は27億円の黒字の予想。予想PERは19倍になる。

会社の期首の想定はニッケル価格6.21ドル、1ドル109.72円だったが、現在のニッケル価格は7.57ドル、1ドル108.85円と上振れている。トン当たりの円建て価格は181万円となる。

ニッケル価格と経常利益の散布図にして近似曲線を引くと、現状のニッケル価格で経常利益150~200億円近くになる。時価総額521億円なのでこのままニッケル価格の上昇が続けば割安になるのではないかと思う。

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中国経済の先行きについて

低迷が続く中国経済について個人的な考えを書いてみる。

まず現在の景気低迷だがおおむね以下の要因の組み合わせで起きているのかなと思っている。

・構造的な成長率の低下

・循環的な景気減速

・アメリカとの貿易戦争

・民間債務のデレバレッジ

 

・構造的な成長率の低下

経済規模が大きくなるにつれて成長率が落ちるのは自然なので、中国の経済成長率が過去最低を記録したといった話はそれ自体は問題ではないと思う。

下のグラフは中所得国の罠というレポートの中にあった1人当たりGDPと成長率のグラフ。どの国も豊かになるにつれて経済成長率は低下している。中国の実質成長率6%というのは高くはないが低すぎるということもないと思う。

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鉱工業生産や小売売上高も今年1-9月の前年比成長率はそれぞれ5.6%、8.2%と近年で最低の数字を記録した。ただ、こちらも長期で見れば右下がりの延長線上にある。

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TSLA テスラ 2019年3Q決算

3Qは営業利益、純利益、営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフロー(営業CF-資本支出)のいずれも黒字化した。

決算後の2日間で株価は30%近くも上げている。

 

3Qの数字は以下のとおり。

売上高 63億ドル(前年比-8%)

営業利益 2.6億ドル(前年比-12%)

純利益 1.4億ドル(前年比-54%)

希薄化EPS 0.78ドル

 

売上高と営業利益の四半期の推移はこんな感じ。

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今四半期は補助金の更なる削減(1台3,750ドル→1,875ドル)があったにもかかわらず過去最高の納車台数を記録した。売上高はモデル3の平均販売価格が下がったことから2Q比で減収となった。

オートモーティブ部門の粗利益率は22.8%。2Qの18.9%から大きく改善した。排出権の収入を除いても20%以上とのこと。

売上高は減ったものの粗利益率の向上と販管費の減少(2Qは1.17億ドルのリストラその他の費用が計上されていた)ことから営業利益は黒字化している。

 

納車台数は9万7千台と2Q比で微増。ただ、3Qはリース販売が大きく増えている。

4Qは補助金の削減がないので販売にはかなり期待できそう。

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営業キャッシュフローは2Qに引き続き黒字。フリーキャッシュフロー(営業キャッシュフローマイナス資本支出)も3.7億ドルの黒字。

ここ2年近く継続的に減少していた資本支出も3Qは増加に転じている。

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ギガファクトリー上海では試験生産が開始している。数か月以内に大量生産できるとの話。予想は難しいものの上海工場での利益率は現状ではフレモント工場と同じくらいと考えているそうだ。

ギガファクトリーヨーロッパは今年末までに場所をアナウンスできるとのこと。

モデルYの発売は2020年夏に前倒しとなった。モデルYの平均販売価格はモデル3よりもやや高く、コストはモデル3とほぼ同じ。

 

決算は非常に好調かつ上海工場の順調な進捗とモデルYの生産開始が前倒しされたのが好印象だった。いつも予定から遅れるテスラにしては珍しい。

ちなみにテスラに批判的な記事をいくつか読んだところ、リース販売台数の増加、スマートサモン(呼び寄せ機能)の売上高が含まれていること、粗利益率の急激な改善といったあたりが疑問視されていた。

 

3558 ロコンド 2020年2月期2Q決算

靴のオンライン販売。送料を含めた返品無料が特徴。

3月に女性向けファッション商品を取り扱うモバコレを完全子会社化、6月に本体に吸収合併している。

 

中間決算は売上高が5割近く伸びたものの経常利益は赤字だった。

商品取扱高(返品後) 90.2億円(前年比+45%)

売上高 41.5億円(前年比+46%)

経常利益 -3.5億円

純利益 -3.5億円

 

2Q単体で見ても赤字。売上高の伸びは前年比+33%に減速している。

商品取扱高(返品後) 42.2億円(前年比+33%)

売上高 19.6億円(前年比+33%)

経常利益 -1.7億円

純利益 -1.6億円

 

四半期の売上高の推移。

2Qの売上高は1Q比でマイナスだが季節性はあるかもしれない。会社が下期編重と言っているように3Qの伸び率が一番高そう。

ただ、売上高25億円のモバコレを買収して(ロコンドの前期の売上高は67億円)前年比33%の増収率なので成長鈍化を感じてしまう。

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経常利益の推移。

昨年からテレビCMによる先行投資を行っており赤字が続いている。今期のテレビCM予算の配分は1Qに50%、2Qと3Qに20%づつ、4Qに10%という話だった。

テレビCM等の費用は1Qの3.6億円から2Qの1.5億円に2.1億円減っているので、他の数字が1Qと同じであれば2Qは黒字化していた。しかし、売上高が減り、粗利益率が悪化し、テレビCM等の広告費を除く販管費率が上がったことで1Qと同レベルの赤字になっている。

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商品取扱高(返品差引後)は伸びてはいるが成長率は鈍化している。

2Qの連結取扱高は前年比+24%、単体取扱高は+26%、EC事業は+27%、プラットフォーム事業は+18%。

1Qに前年比+73%と大きく伸びたプラットフォーム事業も2Qでは失速している。

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決算を受けて株価は-20%以上も下げている。時価総額90億円程度。

今期の予想PSRは1倍割れており、来期の営業利益30億円の計画(下ブレそうだが)からすると割安感はある。ちょっと売られすぎなのではという気はする。

ただ、決算自体は良くない内容だったので強気にもなれない。