7419 ノジマ 2020年3月期2Q決算

家電量販店、携帯キャリアショップ、インターネット接続のニフティを運営している。

今年の3月にシンガポール上場の家電・IT製品・家具販売会社を子会社化した。

 

中間決算は好調だった。経常利益は期首予想を15%上振れて着地した。

売上高 2,696億円(前年比+10%)

経常利益 130億円(前年比+23%)

EBITDA 206億円(前年比+24%)

純利益 92億円(前年比+25%)

 

2Q単体も好調。ただし、業績上振れの理由として増税前の駆け込みを挙げているので下半期はやや不安があるかもしれない。

売上高 1,399億円(前年比+8%)

経常利益 89億円(前年比+27%)

純利益 63億円(前年比+38%)

 

セグメント別の四半期の売上高。

デジタル家電専門店運営事業はゆるやかに成長している。

キャリアショップ運営事業は4四半期連続でマイナス成長となった。

インターネット事業も2四半期連続のマイナス成長。

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セグメント利益。

デジタル家電専門店運営事業はブレはあるがおおむね堅調に推移している。中間決算は+25%の増益だった。

キャリアショップ運営事業はブレが大きい。中間決算は-8%の減収だが+4%の増益を確保した。

インターネット事業は買収直後に2四半期連続で赤字を計上したもののその後は黒字を維持している。中間決算は-5%の減収、+25%の増益だった。

海外事業は1Qが0.35億円の赤字、2Qは4.4億円の黒字となっている。

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ノジマの最近のニュースとしてスルガ銀行の株式購入がある。10月に株式を買い増して議決権18.52%の筆頭株主になっている。

日経新聞によると追加の株式取得も視野に入れているとのこと。

ノジマ「スルガ銀へ追加出資も」金融×小売りの融合模索 収益源広げる買収巧者

家電量販店が銀行の株式を取得してどうするのかという気はするが、「クレジットカードなど個人向け金融と小売りを融合したビジネスモデルを模索する」との話。

記事にも書かれているようにノジマは買収によって業績を拡大させてきた。ITX(携帯キャリアショップ)もニフティ(コンシューマー向け事業)も買収後の売上高の成長はないが利益は安定して出している。

 

スルガ銀行についてはいくつか記事を読んだがポジティブな意見もネガティブな意見もあった。

ポジティブな意見としては、本業の収益力が高い、シェアハウスローンについては引当金を十分に積んでいるというものがある。ネガティブな意見としては預金の流出が激しい、一棟収益ローンやワンルームローンの遅滞率の悪化といったものがある。

預金の流出に関しては四半期ごとに見ると減少ペースはゆるやかになってはいる。

一棟収益ローンとワンルームローンについては遅滞率の悪化が続くと厳しくなりそう。一棟収益ローンの残高は1兆2,095億円、ワンルームローンの残高は2,200億円とシェアハウスローンの残高2,005億円に対して大きい。遅滞率は2018年9月に一棟収益ローン0.5%、ワンルームローン0.3%だったのが、直近でそれぞれ1.85%と1.03%に悪化している。一方で貸倒引当金の残高2,040億円のうち投資用不動産(ワンルームローン、一棟収益ローン、その他有担保ローン)は467億円にとどまる。

 

今回のスルガ銀行の株式取得費用は140億円とのこと。

ノジマの9月末のバランスシートは現預金225億円に対して短期有利子負債200億円、長期有利子負債475億円。今期の予想EBITDA347億円からすると財務的に悪いわけではない。仮にスルガ銀行で失敗したとしてもノジマの経営が傾くようなことはなさそう。

 

決算を受けて株価は10%以上上げたが予想PERは8倍と低い。

さらにこの会社はのれん償却費が大きく、償却前利益を使うと予想PERは5倍と非常に割安になる。