FMCのリチウム部門がスピンオフされて誕生した会社。
かつてのビッグ3の一角だが、現在はSQM、アルベマール、ティエンチ、ガンフォンの4社と比べると規模が小さい。
アルゼンチンのオンブレ・ムエルト湖からリチウム化合物を生産しており、炭酸リチウムの生産コストは世界最低クラス。戦略的に水酸化リチウムに注力している。
3Qの売上高はガイダンス105~115Mドルのところを97.7Mドルと大きく下振れた。
売上高への寄与は数量-4%、価格-8%、FX-1%。
3Qのリチウム価格に改善の兆しはなく4Qも同じ状態が続くとのこと。
売上高 97.7Mドル(前年比-13%)
営業利益 13.8Mドル(前年比-61%)
純利益 28Mドル(前年比-40%)
EPS 0.12ドル(前年0.24ドル)
調整EBITDA 28.2Mドル(前年比-33%)
売上高と営業利益の推移。上場後は業績が悪化しており株価も暴落している。
決算と同時に通期のガイダンスも大きく下方修正した。
4Qの売上高は90~100Mドル、調整EBITDA21~26Mドル、希薄化EPS0.08~0.11ドル。
2019年通期では売上高400~410Mドル(前回ガイダンス435~475Mドル)、調整EBITDA105~110Mドル(190~200Mドル)、希薄化EPS0.44~0.47ドル(0.56~0.66ドル)。
下方修正の理由は2020年に向けて水酸化リチウムの在庫を4Kt積み増すため。2020年の顧客の需要は生産量のピークを上回るそうだ。
販売量の計画は25~26Kt。キャパシティの拡張はないが2019年の17Ktより大幅に増加する。
なお、アルゼンチンで生産される炭酸リチウムはすべてが水酸化リチウムの生産に使われる。さらに不足する炭酸リチウムはサードパーティーから購入するとのこと。
その他のメモ
・中国での炭酸リチウム価格の下落は、オーストラリアのスポジュメン鉱石の供給過剰、中国でのかん水からの生産、中国での短期的な需要減少といった原因。
・水酸化リチウム価格も下落しているが炭酸リチウムよりも下落幅は小さい。需要は強く前年比50%の増加で100Ktとなる見込み。水酸化リチウムの買い手は日韓欧などに分散していて、より厳しい品質が求められる。
・ライベントは中国では水酸化リチウムをほとんど販売していない。可能なかぎり中国で短期的なスポット価格では販売しない方針。
・中国でのNMC811の売上高は1Qから3Qの間に2倍に増えている。
・2020年からLG化学に水酸化リチウムを供給する。契約は複数年。
・アルゼンチンの炭酸リチウム9.5Ktとアメリカ・ノースカロライナの水酸化リチウム5Ktの拡張は2020年末までに完了する。アメリカの水酸化リチウムのキャパシティは14Ktとなり中国と同じ規模となる。
・2021年の販売量は2020年と変わらない見込み。需要が大きければ中国での4本目のラインを考える。これには6~12か月が必要となる。