3663 アートスパークホールディングス 2022年1Q決算

イラストマンガ制作ソフトのクリップスタジオと主に車載向けのUI開発ソリューションを提供している会社。

クリップスタジオはアマチュアからプロのクリエイターまで幅広く利用されているとのこと。

2022年3月末の累計出荷本数は1,886万本で、うち74.8%が海外向けとなっている。

 

1Qの売上高は、前年比で売上高が+3%の増収、経常利益が+10%の増益だった。

売上高 18.2億円(前年比+3%)

経常利益 4.6億円(前年比+10%)

純利益 2.8億円(前年比-47%)

 

セグメント別に見ると、クリエイターサポート事業は、売上高が+5%の増収、経常利益が+9%の増益だった。

売上高の成長率は新型コロナ後の前年比+40%前後から大幅に落ちている。2018年と2019年の+25%と比べても低い。ステイホームの特需終了やサブスクリプションへの移行が影響していると思われる。

 

サブスクリプションは順調に伸びており、契約数は前年末の47.8万から4月末の56.9万まで増加している。3か月ARRも順調に伸びており、4月は20億円を超えた。

とはいえ、今期のクリエイターサポート事業の売上高が63億円の予想なので、セグメント売上高に占めるサブスクリプションの割合はまだまだ低い。


なお、3月の月次からクリエイターサポート事業の売上高の内訳も開示されるようになった。

全体に占めるツール販売とサブスクリプションは8割程度を占めており、この事業はほぼペイントソフトの売上高と見ていいようだ。電子書籍の売上は低く、前年比で減少している。

 

UI/UX事業は、売上高-9%の減収、セグメント損失1.1億円だった。

カンデラ社ののれんを償却したことで一時期より赤字は減ってはいるが、依然として損失が続いている。今期は2.2億円の赤字予想。

 

1Qの業績は中間の会社予想に比べると良かった。2Qは売上高+4%、経常利益-34%で会社予想を達成できる。

 

決算翌日に株価は大きく上げたが、その後は乱高下している。

株価はピークの1,279円から599円まで下げたあと851円まで戻している。現在の時価総額は309億円。

今期の予想PERは22.7倍。赤字のUI/UXを除いてクリエイターサポートの営業利益×0.7で計算すると20倍弱になる(この会社は営業外の損益もセグメント間の調整も少ない)。

数字は高くもなく低くもないが、クリエイターサポートの売上高成長率が1桁に落ちているのでPEGで見ると割安感はない。

今後は特需終了やサブスクリプションへの移行を経て、クリエイターサポート事業が元の高成長に戻るかどうかが問題になりそう。