3675 クロス・マーケティング

オンラインリサーチの大手。上場企業ではマクロミルやインテージが競合となる。

国内だけでなく海外にも展開しているほか、ITソリューションなどの事業も手掛けている。

 

売上高は2015年を除くとゆるやかに成長している。2015年に大きく増加しているのは海外リサーチの会社を子会社化したため。2016年以降は1桁の成長率が続いている。

セグメント別に見ると、国内リサーチ事業右上がりに伸びているのに対して海外リサーチ事業は横ばいにとどまっている。

ITソリューション事業は最も成長率が高く、2018年は+19%、2019年は+27%増加している。この事業はモバイル向けシステムの開発やIT人材派遣など。システム開発では金融系アプリに強みを持ち上場ネット証券の全口座の60%超に対して取引アプリを提供しているそうだ。金融機関向けはセキュリティや信用力が重要だが、Sler大手が参入するほどの市場規模がないことからクロス・マーケティングの独壇場となっていると思われるとフィスコのレポートで解説していた。

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セグメント別の営業利益の推移。

リサーチ事業が主力だがITソリューション事業も安定的に利益貢献している。

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事業別の営業利益率は下のグラフのとおり(0%以上を表示)。

主力のリサーチ事業は国内リサーチがメインだった2014年まで20%前後で推移していた。しかし海外リサーチが加わった2015年に18%になり、2018年には13%まで低下した。2019年にはやや改善して15%となっている。

ITソリューション事業はここ数年は10%前後で推移している。

全体の経常利益率は直近では6.8%まで下がっている。同業のマクロミルに比べると低い。

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バランスシートは健全。海外リサーチ子会社を減損したためのれんが大きく減っている。

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オンラインリサーチ市場についてはマクロミルの決算説明資料にグラフがあった。

国内オンラインリサーチ市場の5年間の成長率は年率4.2%。

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 海外のオンラインリサーチ市場の5年間の成長率は年率11.6%と国内市場より高い。

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日本のマーケティング・リサーチ市場規模は広告支出比では他国に比べて低いため拡大の余地があるとのこと。 

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2020年12月期の予想は、前年比で売上高+5.3%、経常利益+15.7%となっている。予想PERは6.4倍、配当利回りは2.3%とバリュエーションは低い。 

ちなみに同業のマクロミルも予想PER5.4倍と低評価となっている。過去の実績を見るとマクロミルの売上高成長率は10%程度とクロス・マーケティングより高いものの有利子負債が大きい。

オンラインリサーチは新型コロナウイルスの影響を受けそうな業種なので現在のPERは当てにならないかもしれない。ただ、中長期的に最高益を更新していけるなら割安感があると思う。