LTHM ライベント 2019年4Q決算

FMCのリチウム部門のスピンオフにより誕生した会社。

かつてのビッグ3の一角だが、現在はSQM、アルベマール、ティエンチ、ガンフォンの4社と比べると規模が小さい。

アルゼンチンのオンブレ・ムエルト湖からリチウム化合物を生産しており、炭酸リチウムの生産コストは世界最低クラスとなる。戦略的にハイエンドの水酸化リチウムに注力している。

 

4Qは前年比で売上高-35%の減収、営業利益-83%の減益、調整EBITDA-65%の減益となった。

四半期の業績推移は下のグラフのとおり。リチウム価格の下落を受けてここ1年で大幅に悪化している。

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2019年のリチウム化合物の販売は炭酸リチウム換算で21Ktだった。前年比では横ばい程度。

価格は炭酸リチウム・水酸化リチウムともに下落したが、炭酸リチウムの下落幅は20%以上となり水酸化リチウムよりも大きかったそうだ。

 

リチウム市場についての見解はこんな感じ。

・2019年のリチウム需要は+15%以上伸びて300KtLCEを超えた。水酸化リチウムは+35%以上で電池用途に限れば+75%くらいの伸び率。

・リチウム需要は伸びたが供給の増加により価格は下落した。供給はオーストラリアのスポジュメン精鉱と中国のコンバーターキャパシティの増加が原因。

・中国のコンバーターは垂直統合されていない割合が大きく、これが過剰供給、スポジュメンの在庫レベルの増加、低い稼働率、価格低下圧力を引き起こしている。

・いまのリチウム価格は持続不可能なレベル。しかし短期的には供給過剰の影響が残る。

・将来の需要増加に備えて投資が必要な時期だが投資が干上がっている。最近数か月だけで今後3年間300ktもの量の将来の供給プランが中止・延期となった。この影響は2020年後半から2021年に出てくるだろう。

 

2020年のガイダンスは売上高-3%~+9%のレンジ予想。EPSは0.18~0.31ドルで2019年の0.34ドルからさらに低下を見込んでいる。現在の株価8.61ドルに対する予想PERは28~48倍となる。なおEPSのピークは2018年の0.99ドルなので、業績が回復するのであれば割高とはいえない。

販売数量は26.5~28.5ktで2019年比で約30%の増加となる。炭酸リチウムは数千トンを超えることはなく、ブチルリチウムや高純度メタルなどの特殊化合物は前年並みとのこと。販売量が生産量を上回ることになるが積み上げた在庫によって達成するそうだ。

平均価格は10%半ばくらいの下落を見込んでいる。水酸化リチウムの販売価格は10%半ば、炭酸リチウムはそれ以上の下落。

数量は増加するものの、販売価格の下落とサードパーティーからの炭酸リチウムの購入によるマージンの低下が逆風となる。

また、アルゼンチンの炭酸リチウムの拡張計画は半年遅れるとのこと。フェーズ1の生産開始が2021年半ば、フェーズ2が2022年の下半期になる。それぞれ9.5Ktずつの拡張で両者が完了すればキャパシティは倍増する。

 

ライベントは下方修正を連発しておりそのたびに株価が暴落している。しかし株価は昨年半ばの6ドル割れを底に現在の8.6ドルまで切り上げている。投資家はリチウム市場の底打ちを期待しているように見える。

この会社はリチウムのピュアプレイヤーであり、かつバッテリーグレードの比率が高いことからEVによるリチウム需要の増加の恩恵をダイレクトに受ける。アルベマールやSQMに比べると業績の変動は大きいものの、市場が好転したときのインパクトも大きくなる。