SQM ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ 2019年4Q決算

特殊肥料やリチウムなどを生産しているチリの化学メーカー。

リチウムではアルベマールと並ぶ最大手の一角で、チリのアタカマ湖からリチウム化合物を生産している。

 

4Qの業績は前年比で売上高-16%、調整EBITDA-27%の減益、純利益-38%の減益となった。

リチウムセグメントの売上高は-31%の減収で、全体に占める比率は売上高の21%・粗利益の36%まで低下している。

 

四半期のセグメント売上高をグラフにしてみる。ややわかりにくいが2018年をピークにリチウムセグメントは縮小している。

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セグメント利益のグラフ(2019年3Qまでの開示しか出ていない)。

こちらは売上高と比べてリチウムセグメントの減少がはっきりわかる。

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四半期の販売数量と売上高から逆算した平均販売価格をグラフにした。

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2019年の販売数量は45Ktで計画の47Ktを下回った。需要の低下が予想以上だったとのこと。

SQMの販売数量は長期で見てもあまり伸びていない。会社は積極的な拡張プランを発表しているもののかん水からの増産が難しいのが分かる。

平均販売価格は2018年の16,000ドル超をピークにして直近は9,000ドル付近まで下落している。SQMの販売価格は四半期ごとに見直す方針なのでアルベマールと違い需給に合わせて上下することになる。

 

2019年のEPSは1.1ドルで前年の1.67ドルから大きく減少した。現在の株価は27.3ドルなので実績PERは25倍程度となる。

 

2020年のリチウム販売量は55~60ktで前年比+20%の増加を見込んでいる。ただ、コロナウイルスの影響で直近の中国での販売は計画を下回っているそうだ。中国の販売比率は昨年が30%、今年は40%になる見込み。

2020年の生産量は65~75ktになるとのこと。現在の生産キャパシティは年間70Ktへの拡張が完了している。来年には120Ktへの拡張が完了する予定。ただし、過去の販売数量を見ても分かるようにかん水からのリチウムの増産は難しい。会社の言うように急激に生産量を増やせるのか疑問視する声も多い。

なお、Wesfarmers とオーストラリアで開発中の Mt Holland は投資判断を延期している。