アルゼンチンのオンブレ・ムエルト湖からリチウム化合物を生産している会社。リチウム専業。
会社によると炭酸リチウムの生産コストは下位1/4、水酸化リチウムの生産コストは下位1/2に入るそうだ。戦略的に水酸化リチウムに注力している。バッテリーグレードの水酸化リチウムではライベント、アルベマール、ガンフォンリチウムが3強とされる。
2019年だが売上高の内訳は下のグラフの通り。水酸化リチウムが全体の55%を占める。バッテリー向けは全体の46%。
ライベントはかつてのビッグ3の一角だが、現在はアルベマール、SQM、ティエンチ、ガンフォンの4社と比べると規模が小さい。
4Qは前年比で売上高は+13%増加したものの営業利益は赤字だった。調整EBITDAはかろうじてプラスを維持した。
売上高 82.2Mドル(前年比+13%)
営業利益 -3.9Mドル(前年5.7Mドル)
調整EBITDA 5.6Mドル(前年16Mドル)
四半期ごとの業績の推移をグラフにした。
売上高は2四半期連続で増加している。販売数量と平均販売価格の両方が増収に寄与した。
営業利益と調整EBITDAは前年比マイナスだが3Q比では改善している。サードパーティ―製の炭酸リチウムを原料にした高コストの水酸化リチウムの販売が減ったのがプラス、アメリカの水酸化リチウムプラントを2か月間閉鎖したのがマイナスの要因。
2020年通期では、売上高-7%の減収、営業利益は前年の58Mドルから-21Mドルに赤字転落した。
販売量の減少(水酸化リチウム-2Kt)、平均販売価格の下落(-10%台半ば)、コスト上昇(新型コロナ費用と高コストの水酸化リチウム在庫)と三重苦の年になった。
2020年の営業キャッシュフローは6Mドル、調整営業CFは15Mドルとかろうじてプラスを維持している。
資本支出は114Mドルで2019年の183Mドルより減少した。資本支出の内訳は成長投資92Mドル、メンテナンス22Mドル。
バランスシートを見ると、キャッシュ11.6Mドルに対して長期有利子負債は236.7Mドルある。
2018年には営業利益153Mドルを出しているので業績さえ回復すれば問題ないように思えるが、キャッシュフローも赤字すれすれの現状では財務的な余裕はない。
2021年のガイダンスは売上高335~365Mドル、調整EBITDA40~60Mドル。
2020年の売上高288Mドル、調整EBITDA22Mドルと比べると増収増益だが、2018年の売上高442Mドル、調整EBITDA183Mドルと比べると回復は鈍い。
2021年は販売数量が増加するものの価格はやや低下を見込んでいる。
数量については、キャパシティの追加はないものの昨年に起きた新型コロナに伴う施設閉鎖がないためアルゼンチンで2Kt多く生産できるそうだ。水酸化リチウムと炭酸リチウムのやや多めの在庫(4Kt以上)も販売される。
価格については、足元で中国のスポット市場が上昇しているがライベントはその市場に参加していない。会社は主に年間ベースの固定価格で販売をしており、2021年の契約はすでに終えているとのこと。ただし、数量の一部は価格調整されるため主に下半期に限定的な影響が出るそうだ。
アルゼンチンのキャパシティ拡張は3月から投資をストップしている。再開はいまだ未定。計画では現在20Kt程度のキャパシティを4フェーズに分けて合計40Kt増やすことになっていた(CAPEX600Mドル)。
決算は相変わらず悪かったが翌日の株価はやや下げの20.06ドルだった。決算と同時に発表したBMWへのリチウム供給契約が好感されたのかもしれない。2022年から複数年に渡り炭酸リチウムと水酸化リチウムを供給するとのこと。
業績低迷のためPERは実績・今期予想ともに100倍を超えている。2018年のEPSを使うと20倍弱となる。
ライベントの問題はアルゼンチンの拡張がストップしているため数量の増加が見込めないところだろう。
株価も上がり時価総額は3Bドルになっているので、この機会を利用して早く資金調達した方がいいのではないかと思う。ライベントよりも財務的な余裕のあるアルベマールやSQMですらすでに増資を行っている。