ALB アルベマール 2019年4Q決算

特殊化学品メーカー。リチウム、臭素、触媒などを作っている。

リチウムでは最大手の一角。チリのアタカマ湖とオーストラリアのグリーンブッシュ鉱山(持分49%)からリチウム化合物を生産している。アタカマ湖とグリーンブッシュ鉱山はかん水系と鉱石系でベストの資産となる。

 

4Qは前年比で売上高+8%の増収、営業利益-20%の減益、調整EBITDA+11%の増益となった。

リチウムセグメントは前年比で売上高+20%の増収(価格-5%、数量+27%)、営業利益-74%の減益、調整EBITDA-3%の減益だった。

2019年のリチウム価格が28~30%下落した一方でアルベマールの平均販売価格は横ばいにとどまったそうだ(カスタマーミックスで売上にはマイナスの影響)。長期契約による販売を主体にしていることで業績への悪影響が抑えられている。

 

年ベースのセグメント売上高をグラフにした。リチウムが右肩上がりに伸びて最大のセグメントになっていることが分かる。

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セグメント別の調整EBITDAの推移。

リチウムは頭打ちだがSQMやライベントが大幅減益になったのに比べると底堅い。ただしEBITDAマージンは前年の43%から39%に落ちている。

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リチウムの生産施設の状況は以下の通り。

・中国の xinyuⅡはフル稼働。

・チリの La Negra Ⅲ&Ⅳはスケジュール通り2021年1Qに生産開始。

・オーストラリアの Kemerton は2021年下半期に生産開始予定。

・グリーンブッシュズのフェーズ2拡張は4Qに完了。年間キャパシティはLCEベースで約160Ktのスポジュメン精鉱。

・Wodgina は生産停止中。最終的には100Ktのバッテリーグレードの水酸化リチウムの原料となる予定。

・現状では利用可能なリソースの25%しか使用していない。

 

2020年のリチウム販売数量は3%の増加になるとのこと。EVの生産台数が2019年の260万台から2020年は350~400万台に増加することでリチウム需要も50Kt増加することを予想している。

価格は積みあがった在庫と供給増加により下落圧力が続く。アルベマールも顧客と1年限りの価格譲歩を行うことに合意したため、2020年の販売価格は10%半ばの価格低下になる見通し(2021年からは通常の契約に戻る)。

2020年の調整EBITDAは880~930百万ドルとのガイダンス。2019年の1,036百万ドルから減益となる。なお、上半期の調整EBITDAは-15~20%の減益、1Qは-20~25%の減益予想なので、会社は1Qが底だと考えているようだ。

調整EPSは4.8~5.1ドルの予想。現在の株価は82.6ドルなので予想PERは16~17倍程度となる。

中期計画によると2024年にかけて売上高が年間6~9%、調整EBITDAが年間8~12%の成長を見込んでいる。

 

アルベマールの業績はSQMやライベントに比べると安定している。リチウム以外のセグメントが全体の半分程度を占めていることやリチウムの販売で長期契約をメインにしていることが大きい。他社に比べると堅い銘柄だと思う。ただ、長期契約メインなだけに価格の上昇が起きたときの業績の伸びは他社より低くなりそう。