リチウム株への投資 ⑥リチウム化合物を生産している会社

リチウム化合物を生産している会社について簡単に紹介していく。

 

・アルベマール(ALB)

アタカマ湖とグリーンブッシュ鉱山(権益49%)というかん水と鉱石のトップ資産を保有する。また、資源量では最大クラスとなる Wodgina の60%を取得した。

現在のキャパシティは65Ktだがこれを2021年に175Ktまで引き上げる計画を出している。

アルベマールのリチウム販売は長期契約を主としているのが特徴。リチウム以外の事業が半分を占めていることもあってリチウム価格の短期的な影響を受けにくい。現在リチウム各社の業績が悪化しているがアルベマールはほとんど影響を受けていない。ただ、リチウム価格が反転した場合は恩恵を受けにくくなるかもしれない。

時価総額74億ドル、株価70.25ドル、今期PER11~12倍。

 

・SQM(SQM)

アタカマ湖を持つほかオーストラリアでマウント・ホーランド(権益50%)を開発している。

現在のキャパシティは70Kt。2021年にアタカマの拡張により120Kt、2022年にマウン・ホーランドの生産開始により142.5Ktになる計画。

SQMのリチウム販売価格は四半期ごとに顧客と決めるためアルベマールと違って短期的な需給の影響を受ける。

1Qの時点ではリチウム事業の粗利益は全体の半分程度を占めている。

SQMは他社よりも高めのバリュエーションで評価されている。しかし今期の販売量を抑制していることや、下半期の価格の大幅な下落をガイダンスしたことから株価は大きく下げている。

時価総額75ドル。株価28.59ドル。今期PER20倍。

 

・ガンフォンリチウム(1772.HK)

マウントマリオンの50%を持つほかリチウムアメリカズとカウチャリ-オラロスを開発している。

炭酸リチウムと水酸化リチウムのキャパシティは71.5Kt。2020年には水酸化リチウム25Ktが追加される。カウチャリ-オラロスも2020年下半期に稼働する計画。

ガンフォンの特徴は必ずしも垂直統合にこだわっていないところ。少額出資または出資のないサードパーティーからも材料を調達してリチウム化合物を生産している。この特徴もあり近年は生産キャパシティを大幅に増やしている。マイナス点としては垂直統合されていないのでコスト面で不利になるかもしれない。 

1Qの業績は前年並みだったが中間の業績は大幅な減益になるとの警告を出している。

時価総額35億ドル。株価9.41香港ドル。実績PER7.7倍。

 

・ティエンチリチウム(002466.SHE)

グリーンブッシュ鉱山の51%の権益を持つ。またSQMの株式23.77%も保有する。

現在はグリーンブッシュ鉱山の生産量倍増とキャパシティ48Ktの水酸化プラントをオーストラリアに建設するプロジェクトが進行中。

1Qは-20%の減収、-83%の減益だった。英語の決算書がないので詳細は不明。

昨年は香港にIPOする話が出ていた。

 

・ライベント(LTHM)

FCMからスピンオフされたリチウムの老舗。アルゼンチンのオンブレ・ムエルト湖からリチウム化合物を生産している。

炭酸リチウムの生産コストは世界で最も低いレベル。戦略的にハイエンドの水酸化リチウムに注力している。

現在の炭酸リチウムの生産キャパシティ約20Ktを2025年に60Ktまで拡張する計画。

ライベントの不安点は今後の販売価格。現在のリチウム価格はざっくりと中国or中国外、炭酸リチウムor水酸化リチウムに分かれているが、中国外の水酸化リチウムは最もプレミアムが高く価格の下落余地も大きそう。

中間決算は大幅減益だったが4Qの業績改善が示された。

時価総額11億ドル。株価7.58ドル。今期PER12~13倍。

 

・オロコブレ(ORE.AX)

アルゼンチンのオラロス湖から炭酸リチウムを生産している。2015年に生産を始めた新興の会社となる。

キャパシティは17.5Ktだがここ何年も10Kt弱の生産量しか達成できていない。クオリティ的にも他社に劣るようだ。

ただ、会社が発表しているステージ2の拡張プランと楢葉の水酸化リチウムプラントが実現すれば、バッテリーグレードの炭酸リチウム17.5kt、バッテリーグレードの水酸化リチウム10kt、テクニカルグレードの炭酸リチウム15.5ktの生産キャパシティーとなる見込み。

時価総額7.3億オーストラリアドル。株価2.81オーストラリアドル。