割安建設株

建設会社には低PERの銘柄が多いものの単にPERが低いだけではなかなか株価が上がらない。そこでPERに合わせて配当利回り、受注残高、ネットキャッシュも見てみた。

以下は低PER銘柄の配当、成長率、受注残高、ネットキャッシュの一覧。

※PER、配当利回り、増収率、増益率は今期予想の数字。経常PERは経常利益×0.7で計算。

※受注残高は期末の数字。売上比は期末受注残高/今期予想売上高。

※ネットキャッシュは現預金+有価証券-有利子負債で計算。キャッシュに投資有価証券を含めたのが右列。

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理想なのはPERが低く、配当利回りが高く、受注残高の増加が大きく、キャッシュリッチな会社。ただ、それらすべてが揃った会社は見当たらなかった。

低PER上位を見ていくとこんな感じ。

大末建設はPER4.3倍と低く、配当利回り4.2%と高く、ネットキャッシュが時価総額を超えている。ただ、受注残高は前年比で減少(マイナス1%だが)している。

イチケンはPER4.5倍と低く、配当利回り4.6%と高く、受注残高も12%増加(-6%の減収予想)しているが、ネットキャッシュは時価総額の7割程度にとどまる。

常磐開発はPER4.8倍と低く、配当利回り4.7%と高く、ネットキャッシュが時価総額を上回るものの受注残高は18%減少している。

徳倉建設はPER4.8倍と低く、受注残高が59%増加(8%増収予想)しているが、配当利回りは3.3%とやや低く、キャッシュリッチな会社ではない。

ナカノフドー建設はPER5倍と低く、受注残高が17%増加(2%増収予想)しており、ネットキャッシュが時価総額の2倍近くある(ただし流動負債が大きい)キャッシュリッチな会社だが、配当利回りは3.2%とやや低い。

 

全体的にどの会社も株主還元が弱いという印象。配当性向はだいたい2割程度で自社株買いもしていない会社がほとんど。

例外として淺沼組は配当性向が40%と高く配当利回りが5.9%あるうえ自社株買いもしている。この会社はアクティビィストのターゲットになったためだろう。

他の会社も浅沼組くらいの株主還元の姿勢を見せてくれると株価も上がると思うが、現状の日本企業では何らかの圧力がないと難しそうだ。