3月末の先進国・新興国の株価指数のトレンドとバリュエーションのチェックです。
・株価データはMSCIから配当込みのGROSS指数を、CAPEやPERはStarCapital、為替は日銀より取得しています。
・株価チャートは2007年末を100として作成しています。月足・配当込み・現地通貨ベースです。
・円ベースの損益は、各国のMSCI指数のドルベースのリターンを日銀のドル円レート(月末値)で円換算しています。データの取得先が違うので多少の誤差が出ます。
先進国と新興国
第1四半期の株価は先進国が+12.6%、新興国が+10.0%と大幅高でした。
ドル円レートは終わってみれば前年末とほぼ変わらなかったため、円ベースの成績も先進国+13.0%、新興国+10.3%とほとんど変わりません。
直近1年間のリターンは先進国+4.6%に対して新興国-7.1%と先進国が優勢です。為替は円安に振れているため、円ベースでは先進国+9.1%、新興国-3.1%です。
バリュエーションを見ると、新興国のCAPEレシオやPERは先進国に比べて割安です。先進国のCAPEレシオは25倍近くで割高ですが、PERで見ると17.2倍と標準的なレベルです。
CAPE | PER | 配当 | 3か月損益 | 円ベース | 1年損益 | 円ベース | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
全世界 | 23.6 | 16.7 | 2.6% | 12.3% | 12.7% | 3.2% | 7.6% |
先進国 | 24.9 | 17.2 | 2.5% | 12.6% | 13.0% | 4.6% | 9.1% |
新興国 | 15.8 | 13.8 | 3.2% | 10.0% | 10.3% | -7.1% | -3.1% |
米・日・欧
第1四半期のリターンはアメリカが13.9%、日本が7.8%、ヨーロッパが11.7%でした。円ベースではアメリカ14.3%、ヨーロッパ11.3%です。アメリカが強い一方で、前年の第4半期に最も落ち込んだ日本の反発が弱いです。
直近1年間のリターンはアメリカ9.5%、日本-3.7%、ヨーロッパ5.0%となっています。円ベースだとアメリカ14.2%、ヨーロッパ1.1%です。
CAPEレシオはアメリカが30.4倍と割高感があります。ただ、PERで見ると19.8倍と20倍を割っています。日本のCAPEレシオは23.9倍ですが、PERは13.8倍と低い数値です。ヨーロッパのCAPEレシオ18.7倍と配当利回り3.4%はアメリカ・日本に比べて割安感があります。
CAPE | PER | 配当 | 3か月損益 | 円ベース | 1年損益 | 円ベース | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
アメリカ | 30.4 | 19.8 | 1.9% | 13.9% | 14.3% | 9.5% | 14.2% |
日本 | 23.9 | 13.8 | 2.3% | 7.8% | 7.2% | -3.7% | -3.5% |
ヨーロッパ | 18.7 | 16.6 | 3.4% | 11.7% | 11.3% | 5.0% | 1.1% |
BRICs
第1四半期は中国が17.9%と大幅に反発しました。インド、ブラジル、ロシアは6~9%と一桁のリターンにとどまっています。円ベースでは中国とロシアのリターンが2桁になりました。
1年リターンは中国が-6.0%とマイナスです。他の3か国はインド13.4%、ブラジル12.5%、ロシア15.8%と揃って2桁の高リターンですが、円ベースではインド11.3%、ブラジル0.2%、ロシア7.6%と成績が落ちます。
バリュエーションはロシアの割安さが際立っています。CAPEレシオもPERも低く、配当利回りも申し分ない数字です。中国のPERも8.9倍と低いです。ブラジルの割安感は薄れており、インドはどの数字でも見てもやや割高感があります。
CAPE | PER | 配当 | 3か月損益 | 円ベース | 1年損益 | 円ベース | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
中国 | 16.3 | 8.9 | 3.4% | 17.9% | 18.1% | -6.0% | -2.1% |
インド | 22.6 | 27.4 | 1.3% | 6.3% | 7.5% | 13.4% | 11.3% |
ブラジル | 16.0 | 17.6 | 3.1% | 8.7% | 8.6% | 12.5% | 0.2% |
ロシア | 6.8 | 5.9 | 6.2% | 7.5% | 12.9% | 15.8% | 7.6% |
今年の損益
各国指数の前年末比の損益です。
まずは中国の反発が際立っています。A株は30%もの大幅高です。
中国を除くとリターン上位にはアメリカ、イタリア、フランス、カナダ、オーストラリアといった先進国が多いです。
リターン下位はマレーシア、トルコ、インドネシア、メキシコ、タイと新興国が占めています。
主要な地域のリターンは、中国全株21.5%、アメリカ13.9%、先進国12.6%、全世界12.3%、ヨーロッパ11.7%、新興国10.0%、日本7.8%です。日本はやや遅れを取っています。
為替が大きく動いた国が少なかったため、円ベースで見てもランキングはあまり変わりません。
その中でやや大きく動いたのはロシアとトルコです。ロシアは為替高からランキング上位に来た一方で、トルコは為替安からリターンマイナスの最下位に落ちてしまいます。
円ベースの主要な地域のリターンは、中国全株22.7%、アメリカ14.3%、先進国13.0%、全世界12.7%、ヨーロッパ11.3%、新興国10.3%です。