テンセントの決算は出ていませんが、僕のウォッチしている中国ネット系ADRの決算が出揃ったのでチェックします。
ティッカー | 会社 | 株価 | 今期PER | 来期PER | 増収率 | 増益率 |
---|---|---|---|---|---|---|
BABA | アリババ | 180.63 | 33.3 | 26.8 | 41% | 3% |
0700.HK | テンセント | 361 | 36.5 | 30.9 | 24% | 22% |
BIDU | バイドゥ | 166.99 | 18.8 | 13.9 | 15% | -78% |
JD | JD.com | 28.11 | 51.1 | 29.9 | 22% | 赤字 |
NTES | ネットイース | 245.03 | 33.1 | 26.9 | 36% | 57% |
WB | ウェイボー | 63.25 | 20.9 | 17.2 | 28% | 26% |
SINA | シナ | 58.2 | 16.6 | 13.2 | 14% | 2% |
YY | YY | 80.7 | 11.8 | 9.7 | 28% | -13% |
MOMO | モモ | 36.44 | 14.0 | 11.9 | 50% | 11% |
BZUN | バオズン | 35.23 | 23.8 | 15.6 | 41% | 31% |
WUBA | 58.com | 60.76 | 20.0 | 15.5 | 31% | 15% |
※今期と来期PERはYahooFinanceのアナリスト予想の平均EPSを使って計算。
※増収率と増益率は直近四半期の実績。増益率は営業利益。
ウェイボー
4Qは売上高+28%の増収、営業利益+26%の増益でした。
四半期の増収率は76%→68%→44%→28%と急減速しており、19年1Qの売上ガイダンスも+20.5%~23.5%に留まります。高成長を期待していただけに成長鈍化は残念です。
原因としては以下のような話をしていました。
・規制によるオンラインゲームセクターからの広告の減少。
・O2Oが広告費を削減。
・アリババからの売上高は18%減少(通貨を調整すると13%)。ただし、アリババは前年4Qに大きく投資したのも部分的に影響している。
・SME(中小企業)向け市場の供給過剰による価格下落。
今期PERは20倍です。売上高の成長率が20%弱に落ちているのでPEGで見るとフェアバリューだと思います。
ウェイボーの規模はBATに比べると小さいので成長の再加速を期待したいところです。
YY
4Qは売上高+28%の増収、営業利益-13%の減益でした。
セグメントを見ると、YY Liveは売上高+9%の増収、営業利益-15%の減益です。業績は頭打ちですが、急速に悪化はしていないので一安心です。
HUYAは売上高が前年比2倍の増収で、通期では黒字に転換しています。HUYAの売上高はYY Liveの半分ほどに成長しています。
ビッグニュースとして決算と同時にBIGOの完全子会社化を発表しています。
BIGOは中国外でライブストリーミングのプラットフォームを運営する企業です。YYはBIGOの筆頭株主でしたが、残りの株式68.3%を14.5億ドルで取得します(3.43億ドルのキャッシュとクラスB普通株3,800万株ととクラスA普通株3.13億株)。YYの発行済み株式数からすると20~30%程度の希薄化になりそうです。
BIGOについては情報が多くないのですが、ライブストリーミングのBIGO Liveは登録ユーザー数2億人以上で急速に規模を拡大していると紹介されています。また、ショートビデオアプリのLikeも運営しておりこちらもインドなどで人気があるとのことです。
株価は底から30%程度上がってしまったため一桁のPERではなくなりましたが、それでも今期PERは10倍台前半と低いです。
モモ
4Qは売上高+50%の増収、営業利益の+11増益、調整営業利益+30%の増益でした。
Momoアプリの月間アクティブユーザー数と有料ユーザー数はそれぞれ前年比+14%と+16%の増加です。ライブビデオサービス部門の売上高は前年比+36%です。
タンタンの有料ユーザー数は390万人とのことです。
今期PERは14倍と成長率からすると低いです。YYと違って本業が成長しているのが心強いです。
バイドゥ
売上高+15%の増収、営業利益-78%の減益でした。
バイドゥコアは+14%の増収(分割の影響を除くと+20%)、-26%の減益です。
バイドゥは検索分野では依然として高シェアを維持していますが、中国の検索エンジン「百度」はもう死んだのか?で書かれているように精度について不満がもたれているようです。
iQiyiは赤字拡大ですが、動画配信サイトではテンセントと首位を争っています。このページに掲載されている大手各社のDAU/MAUのグラフを見るとアリババのYoukuが脱落気味です。
今期PERは19倍です。iQiyi(60%近く)やCtrip(20%近く)を持っていることを考えると資産的な割安感はあります。
JD
4Qの売上高は+22%の増収でした。1Qのガイダンスは+18~22%の増収率です。 成長率はゆるやかに低下しています。
一方でJDモールの利益率は改善しており、Non-GAAPの営業利益率は1.6%になっています。
セグメント別ではサービス部門(マーケットプレイス・広告や物流)の売り上げが急増していますが、まだ全体の売上の1割ほどです。
アクティブアカウントは18年2Qをピークをつけており、4Qは前四半期比で横ばいです。
時価総額は約400億ドル、18年の売上高は600億ドル弱だったのでPSRは0.6~0.7倍くらいです。
バオズン
中国のShopify。ECサイト運行代行です。
4Qは売上高+41%の増収、営業利益+31%の増益でした。
サービス中心の在庫を持たないモデルに転換中で、今期は倉庫(warehouse)をオープンしないそうです。サービスセグメントの売上高は+57%の増加でした。
今期PERは24倍です。