中国のライブストリーミングの老舗。昨年YYからJOYYに名前を変更した。傘下にHUYAとBIGOを持つ。
運営しているサービスとMAUは以下のとおり。
・YY Live 4,120万人(前年比+3.8%)
・HUYA 6,160万(前年比+21.5%)
・HAGO 3,300万(前年比+57.9%)
・BIGO Live 2,310万(前年比+18.6%)
・Likee 1.1億人(前年3,740万人)
・IMO 2.1億
4Qは前年比で売上高+64%、営業利益-49%だった。
売上高の大幅な増加は昨年1Qから連結したBIGOが貢献している。
営業利益は前年比では半減だが、四半期では1Qに底をつけて2四半期連続で改善している。
セグメント別ではYYが売上高+7%、営業利益+7%。
HUYAが売上高+64%、営業利益5倍(前年は黒字転換したばかりで少ない)。
BIGOは前四半期比で売上高が+17%伸びた。
セグメント別の売上高の推移。HUYAの伸び率が高く、BIGOの伸び率はさらに高い。
セグメント別の営業利益の推移。YYの成長は頭打ちだが、利益は横ばいを保っている。HUYAは安定して黒字を稼ぐようになっている。BIGOの赤字は縮小。
YYの成長は頭打ちだが安定して利益を稼いでいる。会社は2020年も1桁台前半の売上高の成長を見込んでいる。
HUYAの業績は好調で5四半期連続の黒字となった。ただ、有料ユーザー数は前年比+6%の伸びにとどまり、前四半期比では減少した。経営陣によると季節性により休みのシーズンにユーザーが増えるとのことだが、同業のDouYuは4Qも前四半期で有料ユーザー数が伸びている。
会社が注力しているBIGOは中国外でライブストリーミングのBIGO LiveやショートムービーのLikeeを運営している。
BIGO LiveのMAUは前年比+18%とほどほどの成長率だった。最近は先進国に注力しており、これが業績の伸びにつながっているようだ。先進国の売上高に占める比率は2Qが22%、3Qが26%、4Qが31%とのこと。
YYの各サービスのなかでも最も期待されるのがショートムービーのLikeeで、モバイルMAUは前年比+208.3%(前四半期比+15%)伸びて1億人を超えている。会社はLikeeが世界でNo2のショートビデオプラットフォームと言っている。また、ここのサイトでは2019年の全世界のダウンロードランキングで6位に入っている。Likeeはもともとインドに強かったが、現在はロシアやインドネシアにも力を注いでいるとのこと。
なお、LikeeはBIGOの売上高の10%程度を占めているそうだ。
2020年のBIGOの売上高は前年比で+60%以上伸びるが損失1.5億ドルの予想している。依然として損失が続くが、今年の終わりには月ベースでブレークイーブンに達するとのこと。
2020年1Qのガイダンスは売上高+41.2~43.3%の増収。
YYの現在の時価総額は34億ドルだが、現金+有価証券が42億ドルあり、有利子負債は8億ドルなのでネットのキャッシュと同レベルしかない。
短期有利子負債の代わりに流動負債を使ってもネットのキャッシュは24億ドルとなる。
(HUYAとBIGOを除いた)YY単体は2019年に営業利益3.8億ドル稼いでおり、ネットのキャッシュとYYの利益だけで見ても非常に割安な部類に入ると思う。
不安点としては、YYの業績が悪化するのではないか、HUYAが子会社を外れるのではないか(テンセントが買い増しする権利を持つ)、Likeeが伸びているといってもTikTokには負けているといったところかと思う。