4193 ファブリカコミュニケーションズ 2022年3月期3Q決算

SMS送信サービスと中古車ビジネス支援プラットフォームが主力の会社。

他に車買取一括査定サイトなどのウェブサイトの運営、レンタカーや車検・整備といった事業も行っている。

 

3Qは前年比で売上高+17%の増収、経常利益+31%の増益だった。売上高、経常利益ともに進捗率は前年を上回っている。

 

年ベースの業績を見ると売上高・経常利益ともに右肩上がりに伸びている。

今期の予想は、前年比で売上高+17%の増収、経常利益+31%の増益。

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セグメント別の業績を見てみる。

3Q累計のSMSソリューションは、売上高+31%の増収、セグメント利益+36%の増益だった。

3Q単体でも売上高+36%の増収、営業利益+40%の増益と好調。

SMSソリューションは売上高の半分以上、利益の7割超を占めている。

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ファブリカの行っているSMS配信サービス市場は急拡大している。決算説明会の資料によると2025年にかけて年率41.5%の配信数の増加を見込んでいる。

プレーヤーは、NTTコムオンライン、ファブリカ(メディア4u)、アクリート、AI CROSSの4社の寡占となっている。

SMS配信ビジネスを行うには大手キャリアすべてと契約する必要があることや、通信量によってキャリアからの仕入価格が決まるという規模の経済が参入障壁になっているとのこと。

ファブリカは、国内法人のシェア2位(30%)で1位のNTTコムオンラインと争っている。

会社は自社の特徴として、国内法人に特化していること、本人認証以外に多用途で使われていること(業務連絡、事前通知、督促でトップシェア)、直販比率が高いこと、地方企業や中小規模の顧客も積極的に獲得していることを挙げている。ただ、AI CROSSの社長によると基本的な機能は差別化が難しいとの話だ。

ファブリカを含む各社の特徴については、アクリートの事業計画及び成長可能性に関する事項という資料に解説がある。

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上場しているファブリカ(SMSセグメント)、アクリート(単体)、AI CROSS(連結)の3社の四半期の売上高を比較したのが下のグラフになる。

売上高の規模はファブリカが最も大きい。

前年比の成長率はファブリカとアクリートが+40%程度となっている。AI CROSSはビジネスチャットの売却のため直近の数字が落ちているが、売却前は前年比+24~55%だった。基本的に3社ともここ2年の成長率は非常に高い。

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続いて3社の営業利益の推移。

ファブリカは営業利益率が29.3%と高く、営業利益の金額は最も大きい。利益率はこの2年近くで徐々に向上している。

アクリートはの営業利益率は17.3%で、2020年4Qの23%をピークにやや下落している。

AI CROSSの営業利益率は7.2%とかなり低い。AI CROSSの社長によると、粗利益率が低いのは販売代理店を使っているためで、他にはデータ分析などへの投資を理由に挙げている。ただ、粗利益率の40%前後はアクリートと大差ない。

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U-CARソリューションの3Q累計は、売上高+15%の増収、セグメント利益+13%の増益だった。ほどほどの成長率を安定して続けている。

U-CARソリューションは、中古車販売に必要な業務支援をクラウドで提供するSaas事業。導入社数も右肩上がりで解約率も低い。

現在の symphony の導入社数は3,223社。中古車販売事業者は3万社以上いるため拡大余地は大きいようだ。会社は2030年に1万社の導入を目標にしている。

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インターネットサービスは赤字、オートサービスは売上高が大きいが利益への貢献は少ない。

 

ファブリカの株価は上場後ピークの5,080円から半減しており、現在は2,036円、時価総額は約100億円となっている。

今期の予想PERは17.4倍で、成長率と比べると割安感があると思う。

ただ、同業のアクリートが18.8倍、AI CROSSが21.5倍と、セクター全体として評価が高くない。同業間の競争はあるだろが、寡占市場で成長率も高いのでそれほど悪くないと思うのだが。