12月末の先進国・新興国の株価指数のトレンドとバリュエーションのチェックです。
・株価データはMSCIから配当込みのGROSS指数を、CAPEやPERはStarCapital、為替は日銀より取得しています。
・株価チャートは2007年末を100として作成しています。月足・配当込み・現地通貨ベースです。
・円ベースの損益は、各国のMSCI指数のドルベースのリターンを日銀のドル円レート(月末値)で円換算しています。データの取得先が違うので多少の誤差が出ます。
先進国と新興国
第4四半期の株価は先進国が-13.3%、新興国が-7.4%と大幅安になりました。円高に振れたため、円ベースでは先進国-15.9%、新興国-10.1%とマイナスがさらに拡大します。
直近1年間のリターンは先進国-8.2%に対して新興国-14.2%と新興国のマイナスが大きいです。円ベースでは先進国-10.3%、新興国-16.2%でした。
バリュエーションを見ると、新興国のCAPEレシオやPERは先進国に比べて割安です。ただし、先進国もPERは15倍まで下がっています。
CAPE | PER | 配当 | 3か月損益 | 円ベース | 1年損益 | 円ベース | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
全世界 | 21.3 | 14.9 | 2.8% | -12.7% | -15.2% | -8.9% | -11.0% |
先進国 | 22.5 | 15.3 | 2.7% | -13.3% | -15.9% | -8.2% | -10.3% |
新興国 | 14.5 | 12.9 | 3.4% | -7.4% | -10.1% | -14.2% | -16.2% |
米・日・欧
第4四半期のリターンはアメリカが-13.7%、日本が-17.1、ヨーロッパが-11.2%でした。円ベースではアメリカ-16.2%、日本-16.7%、ヨーロッパ-15.3%です。ここ3か月でこれまで好調だったアメリカも大きく崩れました。
直近1年間のリターンはアメリカの被害が最も少なく-4.5%です。日本は-14.9%、ヨーロッパは-10.0%です。円ベースだとアメリカ-6.7%、日本-14.6%、ヨーロッパ-16.3%です。
CAPEレシオはアメリカが27.0倍と高いですが、企業業績が好調なためPERで見ると17.7倍です。日本のCAPEレシオは22.0倍と下がってきました。PERだと12.0倍とかなり低い数値です。ヨーロッパのCAPEレシオや配当利回りはアメリカ・日本に比べて割安感があります。
CAPE | PER | 配当 | 3か月損益 | 円ベース | 1年損益 | 円ベース | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
アメリカ | 27.0 | 17.7 | 2.1% | -13.7% | -16.2% | -4.5% | -6.7% |
日本 | 22.6 | 12.0 | 2.4% | -17.1% | -16.7% | -14.9% | -14.6% |
ヨーロッパ | 16.6 | 14.6 | 3.7% | -11.2% | -15.3% | -10.0% | -16.3% |
BRICs
第4四半期のBRICsは先進国と比べると比較的堅調でした。最もリターンが悪かった中国でも-10.7%のマイナスにとどまっていますし、インドとロシアは小幅マイナス、ブラジルは2桁のプラスリターンでした。
1年リターンは中国が最も悪く-18.6%です。A株の場合は-29.2%とさらに悪いです。一方でインドは+1.4%と小幅高、ブラジルとロシアは+17%前後の高リターンとなっています。ただし、円ベースで見るとこれら3か国もマイナスリターンに落ちます。
バリュエーションはロシアの割安さが際立っています。CAPEレシオもPERも低く、配当利回りも申し分ない数字です。中国のPERも6.7倍と低いです。ブラジルの割安感は薄れており、インドはどの数字でも見てもやや割高感があります。
CAPE | PER | 配当 | 3か月損益 | 円ベース | 1年損益 | 円ベース | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
中国 | 13.9 | 6.7 | 4.6% | -10.7% | -13.4% | -18.6% | -20.6% |
インド | 21.5 | 25.9 | 1.4% | -1.3% | -0.5% | 1.4% | -9.4% |
ブラジル | 14.6 | 17.9 | 3.2% | 10.2% | 10.2% | 16.7% | -2.4% |
ロシア | 6.5 | 5.9 | 6.1% | -4.1% | -11.5% | 17.8% | -2.1% |
今年の損益
各国指数の前年末比の損益です。
現地通貨ベースではロシアとブラジルが2桁のプラスリターンでした。あとはインドが+1.4%とかろうじてプラスとなっています。
一方でマイナスが最も大きいのが中国株で、全株(CHINA ALL SHARES)が-21.6%、A株が-29.2%です。中国に続くのがドイツ-17.7%、トルコ-17.3%、パキスタン-17.3%、韓国-17.1%、日本-14.9%です。中国、ドイツ、韓国、日本といった輸出が強い国が上位に来ています。
主要な地域のリターンは、アメリカ-4.5%、先進国-8.2%、全世界-8.9%、ヨーロッパ-10.0%、新興国-14.2%、日本-14.9%、中国全株-21.6%という感じです。
円ベースではプラスリターンの国が無くなります。
リターンの下位は、トルコ-42.4%、パキスタン-35.7%、中国A株-34.4%、南アフリカ-26.0%、ドイツ-23.4%、韓国-22.3%です。円ベースだと通貨下落が響くためファンダメンタルの弱い新興国が上位に出てきます。
主要な地域のリターンは、アメリカ-6.7%、先進国-10.3%、全世界-11.0%、日本-14.6%、新興国-16.2%、ヨーロッパ-16.3%、中国全株-24.9%です。