各国株価のトレンドとバリュエーション 2019年9月末

MSCIインデックスを使って9月末の先進国・新興国の株価指数のトレンドとバリュエーションをチェックする。

・株価データはMSCIから配当込みのGROSS指数を、CAPEやPERはStarCapital、為替は日銀より取得した。

・株価チャートは2007年末を100として作成。月足・配当込み・現地通貨ベース。

・円ベースの損益は、各国のMSCI指数のドルベースのリターンを日銀のドル円レート(月末値)で円換算した。データの取得先が違うので多少の誤差が出る。

 

先進国と新興国

第3四半期の株式リターンは先進国が+0.7%、新興国が-4.1%と新興国がやや大きく下落した。円ベースのリターンは先進国+1.1%、新興国-3.7%。

直近1年間のリターンは先進国+2.4%に対して新興国-1.6%と先進国の優勢が続く。円高に振れていることから、円ベースでは先進国-2.4%、新興国-6.2%とマイナスリターンになっている。

バリュエーションは新興国の方が割安感がある。先進国のCAPEレシオは25倍に対して新興国は15倍と低い。PERも先進国の18倍に対して新興国は14倍程度。

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  CAPE PER 配当 3か月損益 円ベース 1年損益 円ベース
全世界 23.3 17.6 2.5% 0.1% 0.6% 1.9% -2.8%
先進国 24.7 18.4 2.4% 0.7% 1.1% 2.4% -2.4%
新興国 15.0 13.8 3.2% -4.1% -3.7% -1.6% -6.2%

 

米・日・欧

第3四半期のリターンはアメリカが+1.6%、日本が+3.6%、ヨーロッパが+2.1%と珍しく日本のリターンが高かった。日本は9月に+6.1%と大幅に上昇したおかげでアメリカとヨーロッパを上回った。円ベースのリターンはアメリカ+2.0%、ヨーロッパ-1.3%。

直近1年間のリターンはアメリカ+4.1%、日本-9.0%、ヨーロッパ+5.8%と意外にもヨーロッパが強い。日本はアメリカとヨーロッパに大きく後れを取っている。円ベースだとアメリカ-0.7%、ヨーロッパ-4.8%とマイナスリターンとなる。

CAPEレシオはアメリカが30倍と割高感がある。日本はPERが14.7倍とアメリカやヨーロッパよりも低い。ヨーロッパは配当利回りが3.4%とやや高い。

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  CAPE PER 配当 3か月損益 円ベース 1年損益 円ベース
アメリカ 29.7 21.0 1.9% 1.6% 2.0% 4.1% -0.7%
日本 22.4 14.7 2.4% 3.6% 3.8% -9.0% -8.8%
ヨーロッパ 18.9 17.6 3.4% 2.1% -1.3% 5.8% -4.8%

 

BRICs 

第3四半期はブラジルの+3.8%が最も高く、中国の-4.2%が最も低くなった。円高のため円ベースでは4か国ともマイナスリターンになっている。

直近1年のリターンはブラジルの+31.2%とロシアの+18.4%が高い。中国は悪く-3.5%というマイナスリターン。円ベースだと各国ともリターンが落ちるが、それでもブラジルとロシアは2桁の高リターンを維持している。

バリュエーションはロシアが安くPER5.6倍で配当利回り6.8%もある。中国はCAPEレシオが標準的だがPERは1桁と安め。ブラジルは大きく値上がりしたことから割安感がなくなった。インドは引き続き割高な数字。

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  CAPE PER 配当 3か月損益 円ベース 1年損益 円ベース
中国 14.2 9.5 3.0% -4.2% -4.2% -3.5% -8.3%
インド 21.0 28.1 1.4% -2.6% -4.7% 2.4% -0.2%
ブラジル 17.5 15.2 2.9% 3.8% -4.1% 31.2% 19.9%
ロシア 7.3 5.6 6.8% 1.5% -0.4% 18.4% 13.8%

 

今年の損益

各国指数の前年末比の損益。

トップは中国A株だがアメリカやヨーロッパといった先進国も高い。ブラジルやロシアといった新興国も入っている。マイナスになっているのは3か国だけでマイナス幅も小さい。日本のリターンはやや悪いレベルだが、先月の大幅上昇により順位を上げている。

主要な地域のリターンは、アメリカ+20.6%、ヨーロッパ+19.2%、先進国+18.1%、、全世界+16.7%、中国全株+15.0%、日本+9.9%、新興国+6.2%。全面的な株高の年となっている。

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円ベースでは全体的にリターンが落ちる。

1位と2位はロシアと中国A株。アメリカのリターンはやや下がり、ヨーロッパのリターンは大きく下がる。

マイナスリターンの国は韓国、南アフリカ、バングラディシュ、マレーシア、パキスタンで新興国が多い。

円ベースの主要な地域のリターンは、アメリカ+18.2%、先進国+15.7%、全世界+14.3%、ヨーロッパ+12.1%、中国全株+10.8%、新興国+4.1%。円ベースでは日本もまあまあ健闘している。

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