MSCIインデックスを使って9月末の先進国・新興国の株価指数のトレンドとバリュエーションをチェックする。
・株価データはMSCIから配当込みのGROSS指数を、CAPEやPERはStarCapital、為替は日銀より取得した。
・株価チャートは2007年末を100として作成。月足・配当込み・現地通貨ベース。
・円ベースの損益は、各国のMSCI指数のドルベースのリターンを日銀のドル円レート(月末値)で円換算した。データの取得先が違うので多少の誤差が出る。
先進国と新興国
第3四半期の株式リターンは先進国が+0.7%、新興国が-4.1%と新興国がやや大きく下落した。円ベースのリターンは先進国+1.1%、新興国-3.7%。
直近1年間のリターンは先進国+2.4%に対して新興国-1.6%と先進国の優勢が続く。円高に振れていることから、円ベースでは先進国-2.4%、新興国-6.2%とマイナスリターンになっている。
バリュエーションは新興国の方が割安感がある。先進国のCAPEレシオは25倍に対して新興国は15倍と低い。PERも先進国の18倍に対して新興国は14倍程度。
CAPE | PER | 配当 | 3か月損益 | 円ベース | 1年損益 | 円ベース | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
全世界 | 23.3 | 17.6 | 2.5% | 0.1% | 0.6% | 1.9% | -2.8% |
先進国 | 24.7 | 18.4 | 2.4% | 0.7% | 1.1% | 2.4% | -2.4% |
新興国 | 15.0 | 13.8 | 3.2% | -4.1% | -3.7% | -1.6% | -6.2% |
米・日・欧
第3四半期のリターンはアメリカが+1.6%、日本が+3.6%、ヨーロッパが+2.1%と珍しく日本のリターンが高かった。日本は9月に+6.1%と大幅に上昇したおかげでアメリカとヨーロッパを上回った。円ベースのリターンはアメリカ+2.0%、ヨーロッパ-1.3%。
直近1年間のリターンはアメリカ+4.1%、日本-9.0%、ヨーロッパ+5.8%と意外にもヨーロッパが強い。日本はアメリカとヨーロッパに大きく後れを取っている。円ベースだとアメリカ-0.7%、ヨーロッパ-4.8%とマイナスリターンとなる。
CAPEレシオはアメリカが30倍と割高感がある。日本はPERが14.7倍とアメリカやヨーロッパよりも低い。ヨーロッパは配当利回りが3.4%とやや高い。
CAPE | PER | 配当 | 3か月損益 | 円ベース | 1年損益 | 円ベース | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
アメリカ | 29.7 | 21.0 | 1.9% | 1.6% | 2.0% | 4.1% | -0.7% |
日本 | 22.4 | 14.7 | 2.4% | 3.6% | 3.8% | -9.0% | -8.8% |
ヨーロッパ | 18.9 | 17.6 | 3.4% | 2.1% | -1.3% | 5.8% | -4.8% |
BRICs
第3四半期はブラジルの+3.8%が最も高く、中国の-4.2%が最も低くなった。円高のため円ベースでは4か国ともマイナスリターンになっている。
直近1年のリターンはブラジルの+31.2%とロシアの+18.4%が高い。中国は悪く-3.5%というマイナスリターン。円ベースだと各国ともリターンが落ちるが、それでもブラジルとロシアは2桁の高リターンを維持している。
バリュエーションはロシアが安くPER5.6倍で配当利回り6.8%もある。中国はCAPEレシオが標準的だがPERは1桁と安め。ブラジルは大きく値上がりしたことから割安感がなくなった。インドは引き続き割高な数字。
CAPE | PER | 配当 | 3か月損益 | 円ベース | 1年損益 | 円ベース | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
中国 | 14.2 | 9.5 | 3.0% | -4.2% | -4.2% | -3.5% | -8.3% |
インド | 21.0 | 28.1 | 1.4% | -2.6% | -4.7% | 2.4% | -0.2% |
ブラジル | 17.5 | 15.2 | 2.9% | 3.8% | -4.1% | 31.2% | 19.9% |
ロシア | 7.3 | 5.6 | 6.8% | 1.5% | -0.4% | 18.4% | 13.8% |
今年の損益
各国指数の前年末比の損益。
トップは中国A株だがアメリカやヨーロッパといった先進国も高い。ブラジルやロシアといった新興国も入っている。マイナスになっているのは3か国だけでマイナス幅も小さい。日本のリターンはやや悪いレベルだが、先月の大幅上昇により順位を上げている。
主要な地域のリターンは、アメリカ+20.6%、ヨーロッパ+19.2%、先進国+18.1%、、全世界+16.7%、中国全株+15.0%、日本+9.9%、新興国+6.2%。全面的な株高の年となっている。
円ベースでは全体的にリターンが落ちる。
1位と2位はロシアと中国A株。アメリカのリターンはやや下がり、ヨーロッパのリターンは大きく下がる。
マイナスリターンの国は韓国、南アフリカ、バングラディシュ、マレーシア、パキスタンで新興国が多い。
円ベースの主要な地域のリターンは、アメリカ+18.2%、先進国+15.7%、全世界+14.3%、ヨーロッパ+12.1%、中国全株+10.8%、新興国+4.1%。円ベースでは日本もまあまあ健闘している。