6月末の先進国・新興国の株価指数のトレンドとバリュエーションのチェックです。
・株価データはMSCIから配当込みのGROSS指数を、CAPEやPERはStarCapital、為替は日銀より取得しています。
・株価チャートは2007年末を100として作成しています。月足・配当込み・現地通貨ベースです。
・円ベースの損益は、各国のMSCI指数のドルベースのリターンを日銀のドル円レート(月末値)で円換算しています。データの取得先が違うので多少の誤差が出ます。
先進国と新興国
第2四半期の株式リターンは先進国が+4.2%、新興国が+0.7%でした。円高が進んだため円ベースでは先進国+1.5%、新興国-1.9%になります。
直近1年間のリターンは先進国+6.9%に対して新興国+1.6%と先進国の優勢が続いています。円ベースでは先進国+4.3%、新興国-0.9%です。新興国は2018年初めにつけたピークを依然として大きく下回っています。
バリュエーションは新興国が割安です。先進国のCAPEレシオは25倍を超えますが、新興国は16倍程度です。PERも先進国の18倍に対して新興国は14倍程度と低いです。
CAPE | PER | 配当 | 3か月損益 | 円ベース | 1年損益 | 円ベース | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
全世界 | 24.1 | 17.4 | 2.5% | 3.8% | 1.1% | 6.3% | 3.7% |
先進国 | 25.5 | 18.0 | 2.5% | 4.2% | 1.5% | 6.9% | 4.3% |
新興国 | 15.9 | 13.9 | 3.1% | 0.7% | -1.9% | 1.6% | -0.9% |
米・日・欧
第2四半期のリターンはアメリカが+4.3%、日本が-1.6%、ヨーロッパが+4.5%でした。円ベースではアメリカ+1.6%、ヨーロッパ+2.2%です。アメリカとヨーロッパは比較的大きく上げましたが、円ベースだと小幅高という感じです。マイナスリターンの日本の弱さが目立ちます。
直近1年間のリターンはアメリカ+10.2%、日本-6.5%、ヨーロッパ+4.9%となっています。円ベースだとアメリカ+7.5%、ヨーロッパ0%です。現地通貨ベースのアメリカと日本の差がひどいことになっています。
CAPEレシオはアメリカが30倍を超えており割高感があります。PERだと20倍ですが。日本のPERは13.3倍とかなり低くなっています。ヨーロッパはCAPEレシオとPERが標準的ですが配当利回りの3.4%はやや高いです。
CAPE | PER | 配当 | 3か月損益 | 円ベース | 1年損益 | 円ベース | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
アメリカ | 30.7 | 20.4 | 1.8% | 4.3% | 1.6% | 10.2% | 7.5% |
日本 | 22.8 | 13.3 | 2.5% | -1.6% | -1.6% | -6.5% | -6.2% |
ヨーロッパ | 19.2 | 17.1 | 3.4% | 4.5% | 2.2% | 4.9% | 0.0% |
BRICs
第2四半期はロシアが+13.2%の大幅高となっています。一方で1Qに大きく上げた中国は-4.2%と反落しました。ブラジルは+5.6%と高リターン、インドは+0.1%でした。
円ベースだと、中国-6.4%、インド-2.1%、ブラジル+4.4%、ロシア+14.3%です。
直近1年リターンはブラジルの+39.4%とロシアの+29.1%が高いです。インドは+8.7%とほどほどのリターン、中国は-6.8%のマイナスリターンです。
円ベースでは中国-8.9%、インド+5.3%、ブラジル+36.4%、ロシア+25.2%となっています。
バリュエーションはロシアが安いのですが数字は切りあがっています。中国はPERが10倍を切っています。ブラジルは大きく値上がりしたことから割安感がなくなりました。インドは引き続き割高な数字です。
CAPE | PER | 配当 | 3か月損益 | 円ベース | 1年損益 | 円ベース | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
中国 | 15.4 | 9.7 | 3.2% | -4.2% | -6.4% | -6.8% | -8.9% |
インド | 22.5 | 27.9 | 1.3% | 0.1% | -2.1% | 8.7% | 5.3% |
ブラジル | 16.8 | 16.8 | 3.0% | 5.6% | 4.4% | 39.4% | 36.4% |
ロシア | 7.7 | 6.1 | 5.8% | 13.2% | 14.3% | 29.1% | 25.2% |
今年の損益
各国指数の前年末比の損益です。
中国A株とロシアが1位と2位ですが、上位は全体的に先進国が多いです。アメリカは常連ですが、フランス、イタリア、ドイツ、イギリスといったヨーロッパの国々のリターンも良いのが今年の特徴でしょうか。
リターン下位はパキスタン、マレーシア、メキシコ、バングラデシュといった新興国ですが、それに混じって日本もランクインしています。今年は日本株を買っている投資家には厳しい年になっています。
主要な地域のリターンは、アメリカ+18.8%、中国全株+17.6%、先進国+17.4%、ヨーロッパ+16.7%、全世界+16.6%、新興国+10.8%、日本+6.0%です。景気後退や貿易戦争が騒がれていますが全面的な株高の年になっています。
円ベースのランキングです。円高に振れているので全体的にリターンは落ちます。
円ベースでプラスに動いているのはロシア、タイ、カナダです。一方で大幅なマイナスに動いているのはパキスタンとトルコです。
パキスタンは1か国だけ大幅なマイナスリターンですが経済危機が原因のようです。株価の下落は2017年の半ばから始まっており現在はピークから1/3ほどの水準です。なお、グローバルXのパキスタンETFのデータによるとPERは6.14倍、PBRは0.9倍となっています。
円ベースの主要な地域のリターンは、アメリカ+16.1%、中国全株+15.0%、先進国+14.7%、ヨーロッパ+13.8%、全世界+14.0%、新興国+8.3%です。