6425 ユニバーサルエンターテインメント

2年以上前に記事を書いてから、ウィンリゾーツとの和解やオカダマニラのオープンなど大きく進展しました。

 

業績

2014年3月期~2017年3月期にかけて経常利益200~300億円で推移していましたが、2017年12月期(9か月決算)は赤字に転落しました。今期も3Qまで営業利益は赤字です(ウィン社との和解があったため経常利益や純利益は黒字)。

業績の悪化は、カジノ事業の立ち上げ費用もありますが、何より主力のパチンコ・パチスロ事業が不調です。今期の下方修正のコメントでは「新規制のもとでの機械適合が遅れたことにより、国内のパチンコ・パチスロ事業の販売が来期にずれ込んだ」とのことです。

  売上高 経常利益 純利益
2011年3月 45,019 6,643 4,468
2012年3月 74,858 33,368 31,380
2013年3月 99,182 44,873 27,449
2014年3月 86,760 23,626 9,409
2015年3月 88,085 22,055 10,173
2016年3月 91,709 22,343 15,661
2017年3月 111,187 27,036 18,629
2017年12月 68,546 -12,829 -13,426
2018年12月(予) 92,700 85,100 176,700

 

四半期のセグメント業績はこんな感じです。

パチスロ・パチンコ事業は不振が続いています。カジノリゾート事業は立ち上げ直後で赤字ですが売上は増加しています。EBITDAは黒字化とのことです。

  17年1Q 2Q 3Q 18年1Q 2Q 3Q
パチスロ・パチンコ事業 6,997 26,104 17,245 10,175 13,753 7,774
 営業利益 -3,492 5,306 7,530 -872 1,890 -2,937
カジノリゾート事業   8,889 7,162 8,898 12,742 12,188
 営業利益   -7,064 -1,960 -1,409 -1,611 -1,738

 

2018年3月にウィンリゾーツと和解

和解にともないウィンから総額26億3200万ドルがユニバーサルに支払われました。

バランスシートを見るとこの資金によって長期有利子負債が一掃されています。短期借入金も現預金以下で、カジノオープン直後としてはとても健全な財務内容です。

f:id:sapa21:20190114091219p:plain

 

 カジノ事業の業績予想

フィリピンでカジノを運営するブルームベリーリゾーツやシティオブドリームズマニラの業績を参考にオカダマニラがどれくらいの業績を出せるか考えてみます(リゾートワールドマニラを経営するトラベラーズインターナショナルは減収減益のため除きます)。

 

・ブルームベリーリゾーツ

マニラのソレアリゾート&カジノと韓国のカジノを運営しています。売上の98%がフィリピンです。

業績は順調に拡大しており、2017年の売上と純利益を日本円に換算すると売上763億円、純益126億円です。税前利益率の最高は2014年の27%で、2017年は17%でした。

売上の内訳を見ると9割はゲーミングでホテルや小売りなどは残りの1割です。

ソレアのゲームテーブル数は295台+66台(スカイタワー)、スロットマシーンは1,653台+230台、Eゲームテーブルは88台です。オカダマニラ(3Q)のゲームテーブル385台(VIP153台、マス232台)、ゲーミングマシン2,743台よりもやや少ないです。

(100万PHP) 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
Gross Revenue 12,343 24,122 25,039 30,430 36,716
Income/(Loss) Before Tax -1,160 6,482 -1,543 3,982 6,295
Net Income/(Loss) -1,315 4,072 -3,363 2,357 6,070

 

 ・シティオブドリームズマニラ

香港上場のメルコ・インターナショナル・デベロップメントが運営するカジノです。ゲーミングテーブル293台、スロットマシーン1,635台、Eゲームテーブル172台とオカダマニラやソレアリゾートより小さいです。

売上と調整EBITDAは下のとおりです。2017年の業績を日本円に換算すると、売上高714億円、調整EBITDA258億円となります。

(100万ドル) 2015年 2016年 2017年
Revenue 300 491 649
Adjusted Property EBITDA 55 160 235

 

なお、3社のVIP・マス・ゲームマシーンのゲーミング売上に占める比率はこんな感じです。3社とも似通っていますが、マカオのカジノに比べるとゲームマシーンの比率が高いです。 

  オカダ ソレア CoDM
VIP 46% 47% 48%
マス 25% 27% 28%
ゲームマシーン 29% 26% 24%

 

オカダマニラの3Qまでの業績は日本円換算で売上高397億円・調整EBITDA16億円です。

規模的には2社よりも大きいのと、今後のテーブル数の増加(HPの施設概要ではテーブル500台、スロットマシーン3,000台となっています)を考えると、売上高1,000億円くらいは見込めるのではないでしょうか。

利益率はソレアやマカオのカジノ株を見ても20%±10%といったところなので、税前利益は200億円くらいが目安になるのかなと思います。

あとは施設の運営・拡張、フィリピンの経済成長、中国経済の動向次第だと思います。

 

感想

ユニバーサルの現在の時価総額は2,766億円あります。

仮にカジノ事業が200億円の税前利益を出したとしても、それだけでは格安とまではいかないと思います。

主力のパチスロ・パチンコ事業は過去数年にわたり200億円300億円稼いでおりカジノに匹敵する事業規模です。株価の大幅上昇にはこちらの復活が必要になると思います。