9514 エフオン 2019年6月期4Q決算

バイオマス発電所を運営している会社。

現在稼働している発電所は3か所。発電出力は日田12MW、白川12.1MW、豊後大野18MW。

2019年末に発電出力18MWの壬生が稼働する。2021年には新宮(18MW)の計画もある。

 

4Qの決算は前年比で売上高変わらず、経常利益-10%の減益だった。経常利益は期首予想を1割下振れた。

売上高は計画通りだったものの、燃料チップの含水率増に伴う燃料費、発電所建設の人件費、新宮発電所シンジケートローンにおけるアレンジメントフィーなどでコストが増加した。

今期は売上高+16%の増収、経常利益+8%の増益予想。

決算後に株価は大きく下げた。今期予想PERは6.4倍(経常利益×0.7で計算すると7.4倍)になる。

 

決算と同時に中期経営計画を発表しているがかなりがっかりの内容だった。

前期から来期にかけて売上高の増加分は30億円程度で営業利益の増加分は上限6.5億円・下限3.5億円にとどまる。

同出力の豊後大野の稼働後にグリーンエナジーセグメントの売上高は40~50億円(47.6億→84.5億→97.3億)、セグメント利益は15億円(14.2億→27.1億→31.7億)ほど増えたのに比べると厳しい見通し。

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さらに営業利益の見通しがレンジとなっている。これまではFITプレミアムを加算できていたが、2021年以降はどうなるか不透明とのこと。下限で見ると2022年6月期の営業利益は前期実績を下回ってしまうのでかなり厳しい。

 

3416 ピクスタ 2019年12月期2Q決算

ストックフォトの大手。新規事業の出張撮影 Fotowa が好調。

 

中間決算は前年比で売上高+12%の増収、経常利益+66%の増益だった。経常利益の進捗率は53%になる。

2Q単体だと売上高+12%の増収、経常利益+22%の増益。

 

ストックフォトでは定額制への移行を進めている。2Qは単品の売上高が前年比+3%なのに対して定額制は前年比+28%の伸び率だった。PIXTA事業に占める定額制の比率は40%まで増えているが成長率も右下がりに落ちている。

Fotowa を含む新規事業は前年比+70%の高成長率だが売上高に占める割合は6%と低い。

 

今期の予想PERは29.5倍。割安感のない数字だがPSRが1.2倍と低いので利益率が上がればPERは下がってくるはず。

ただ、定額制への移行を進めているとはいえ前年比+12%という売上高の伸びはちょっと低いかなと感じる。

 

BZUN バオズン 2019年2Q決算

中国のShopifyと呼ばれている会社。

主に海外のグローバルブランド向けにEコマースの運営サービス(ITソリューション、店舗運営、デジタルマーケティング、カスタマーサービス、倉庫・物流)を提供している。公式サイトから天猫や京東やウィーチャットミニプログラムなどさまざまなチャネルに対応している。

パートナーブランドはディズニーやナイキなど212社。

バオズンの大株主にはアリババとソフトバンクがいる。

 

2Qの売上高と営業利益は前年比+47%の増収増益だった。営業利益率は5%で前年と変わらず。

バオズンの売上高は、在庫の所有権を持つ商品売上高とサービス売上高の2つに分かれている。またサービス売上高はサービスフィーと貨物委託(倉庫・フルフィルメント)から構成される。

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バオズンは在庫の所有権を持たないモデルへの転換を図っており、ここしばらくはサービス売上高の伸び率が高かった。しかし、2Qは商品売上高とサービス売上高はともに前年比47%の伸びとなっている。

GMV(流通総額)は前年比60%の増加して97億人民元となった。GMVのうちノン・ディストリビューションは87億人民元を占める。

3QのガイダンスはGMVが前年比40~45%の伸び率、売上高が15億~15.5億人民元で前年比35%~40%の伸び率。

決算は好調だったが株価は大きく下げている。YahooFinanceのアナリスト予想EPSを使うと今期PERは33倍となる。

 

日本の投資家のMSCIワールドインデックスへの投資リターンとドローダウン

日本の投資家がMSCIワールドインデックス(先進国指数)への投資をした場合、どれくらいのリターンとドローダウンになるのかを調べてみた。

・MSCIワールドインデックスの月足データ(月末値)はMSCIのHPから取得した。ここでは配当込みのGROSS指数を使う。

・円とドルの為替レート(月末値)はFREDより取得した。

・インフレ調整の実質リターンは消費者物価指数で計算した。消費者物価指数は総務省統計局より取得。

 

為替データのある1971年1月~2019年7月の期間のドルベースのMSCIワールドインデックス、円換算した指数、円換算&インフレ調整した指数の累積リターンのチャートがこちら。

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この期間にMSCIワールドインデックスは約90倍になっている。年率換算すると9.7%のリターンとなる。

しかし為替レートが1ドル358円から109円への円高になっているため円換算の累積リターンは約27倍に落ちる。年率換算のリターンは7%。

さらに消費者物価指数が年率2.4%上がっていることからインフレ調整した円換算の累積リターンは約8倍となる。年率換算のリターンは4.6%。

この4.6%という数字はちょっと低く感じる。実質ベースの株価低迷と円高が始まった70年初めを起点にしていることが影響しているのだと思う。

 

次にドローダウンを見てみる(あくまでも月足のドローダウン。日次ベースでは損失はもっと大きくなる)。

ドルベースのMSCIワールドインデックスのドローダウンチャートはこちら。

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1974年、2002年、2009年に-40~50%のドローダウンが起きている。それぞれオイルショック、ITバブル、サブプライム危機の時期に当たる。

それ以外では1987年のブラックマンデー、1990年のS&L危機に-20%程度の下落があった。

 

続いて円換算のMSCIワールドインデックスのドローダウンチャートはこちら。

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円ベースだとサブプライム危機のドローダウンは-60%に達しており深刻さが増す。一方でITバブルでは円安により最大損失はやや和らいでいる。

期間を通してみると-20%レベルの調整は増えている。ドルベースだとドローダウンが-20%を超えた範囲にあるのが85か月(全期間は583か月)なのに対して、円ベースだと131か月にまで増える。

 

最後にインフレ調整した実質の円換算MSCIワールドインデックスのドローダウンチャート。

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実質で見るとインフレが激しかった1970年代から80年代中頃にかけてほぼすべての期間がドローダウンに入ってしまう。この期間の最大損失は-62%とサブプライム危機に匹敵する。

その期間を過ぎると名目と実質のチャートの形に大きな違いはなくなる(ドローダウンの終わった1985年から2019年にかけてのCPIの上昇率は20%に満たない)。

 

感想。

世界株への投資も名目ドルベースで見るのと実質円ベースで見るのではかなり違ってくる。

名目ドルベースでは年間10%のリターンで-30%前後の下落はかなりまれな出来事(約50年で3回)となる。

一方で実質円ベースでは年間リターンは5%に半減してしまい-30%前後の下落もしばしば起こっている。

いまは危機が起きると円高の流れが定着しているので日本の投資家は海外の投資家に比べると不利な立場にあると思う。為替ヘッジをしないかぎり株価急落時の損失が円高によって増幅されてしまう。

 

SQM ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ 2019年2Q決算

アルベマールと並ぶリチウム大手。チリのアタカマ湖からリチウム化合物を生産している会社。

 

2Qの売上高は前年比-23%の減収、税前利益は前年比-47%の減益、調整EBITDAは前年比-36%の減益だった。

EPSは0.27ドル。

決算後に株価は23.71ドルまで下げている。YahooFinanceのアナリスト予想EPSを使うと今期PERは17倍になる。

 

リチウムセグメントの売上高は前年比-45%の減収だった。このセグメントは粗利益の42%を占める。

2Qの販売数量は12.1Ktで前年比8%の増加。上半期の販売数量は22.8Ktとなった。下半期の販売数量は上半期のレベルを超えるとのアナウンス。また、2020年の販売数量は少なくとも30%増加して65Ktになるそうだ。

現在の生産量は年間70Ktのペースに達しているとのこと。2021年には拡張によってキャパシティは120Ktにまで増加、その後は2年ごとに40Ktの拡張を続けるとの計画。この120Ktへの拡張は価格下落が起きても中止することはないそうだ。アルベマーレが拡張プランを下方修正したのに比べると積極的な姿勢を維持している。

 

2Qのリチウムの平均販売価格は前年比-22%の下落となった。販売価格の低い中国での販売量の増加も理由に挙げられている。

ガイダンスによると平均販売価格は3Qには10,000ドル/トンに下がる。1Qの販売価格が14,600ドル、前年3Qが16,500ドルなのでかなり劇的な下落となる。

この販売価格の下落についてはカンファレンスコールで何度も質問が出ていた。中国にて極めて安い価格で販売しているのでは?という質問に対しては、顧客ごとに異なる種類、異なる品質の製品を売っていく、中国も変わりないというようなあまり参考にならない答えがされている。

 

6425 ユニバーサルエンターテインメント 2020年3月期2Q決算

パチスロ大手。フィリピンのマニラでカジノリゾートを運営。

中間決算は前年比で売上高+12%の増収、経常利益は赤字だった。

セグメント別に見ると、遊技機事業は売上高-16%の減収だが利益は前年比3倍の30億円になっている。

統合リゾート事業は売上高+45%増収の赤字。調整EBITDAは53億円で大きく増加している。

 

オカダマニラの2019年上半期の売上高は18,755百万PHP(約326億円)、調整後EBITDA2,626百万PHP(約53億円)だった。

同業のブルームバームリゾーツの2018年通期の業績は売上高38,220百万PHP(約780億円)、税前利益7,039百万PHP、純利益7,188百万PHP(約146億円)となっている。ブルームバームリゾーツの運営するソレアリゾート&カジノの2018年のEBITDAは15,135百万PHP(約309億円)。

ソレアのゲームテーブル数は295台+66台(スカイタワー)、スロットマシーンは1,653台+230台、Eゲームテーブルは88台。オカダマニラはゲームテーブル数402台(VIP168台、マス234台)、ゲーミングマシン2,681台。

オカダマニラの規模はソレアよりもやや大きいことから業績はまだ伸びそう。売上高1,000億円、純利益200億円(利益率20%)くらいがうまくいったときの目標になるのではと思う。

 

ユニバーサルエンターテインメントの時価総額は2,586億円と大きい。オカダマニラがうまくいったとしてもそれだけでは格安にはならない。遊技機事業の貢献が必要になりそう。

遊技機事業はピークで350億円稼いでいるが赤字にもなっている。オカダマニラが開業する前の2007年~2017年の営業利益の平均は150億円程度。遊技機事業でこれくらいの利益が出せれば割安になってくるかもしれない。ただ、僕はこの分野についてまったく詳しくないので今後の業績がどうなるかは見当がつかない。

 

WB ウェイボー 2019年2Q決算

ウィーチャットと並ぶ中国のSNS大手。ウィーチャットがクローズドなSNSなのに対してウェイボーはオープンなSNS。中国版ツイッターと呼ばれている。ただ、実際はもう少し範囲が広いそうだ。

2Qの時点のユーザー数はMAU4.86億人、DAU2.11億人。SNSのアクティブユーザー数のグローバルランキングで10位に入る規模。ユーザー数は前年比で2桁の増加率をキープしている。時系列でみると増加率は下がってはいるが規模を考えれば堅調な伸びだと思う。

 

2Qの売上高は前年比+1%の増収、人民元ベースでは+7%の増収だった。

営業利益は前年比-2%の減益。non-GAAPの営業利益は前年比でほぼ変わらず。営業利益率は35%、non-GAAPベースでは38%と高水準を維持している。

EPSは前年比-26%の0.46ドル。non-GAAPベースでは0.68ドル。

3Qの売上高は人民元ベースで前年比+6~9%の増収になるとのガイダンス。

決算後に株価は急騰した。良い決算ではないが激しく売られていただけにレスネガティブの反発が入ったのだと思う。

YahooFinanceのアナリスト予想EPSで計算すると今期PERは16倍程度となる。

 

売上高を項目別に見ると広告&マーケティングは前年比でほぼ横ばい。

うちKA(キーアカウント)は前年比+12%、SME(中小企業) は前年比-6%、アリババは前年比-23%だった。人民元ベースではKA+19%、SME横ばい、アリババ-18%となる。

バリューアドサービスは前年比+8%、人民元ベースで+15%の増収。増収は主にライブストリーミングビジネスが貢献した。ウェイボーは昨年末にライブストリーミングプラットフォームの一直播(yizhibo)を買収してウェイボーに統合している。

 

中国経済の減速を受けてオンライン広告市場もスローダウンしている。

下のグラフはウェイボー(広告&マーケティング)、テンセント(オンライン広告)、バイドゥ(オンラインマーケティングサービス)の売上高の前年比の推移。

各社とも2018年から成長率が落ちている。

ウェイボーはドルベースの決算なので最近の成長率鈍化が実力よりも大きくなっている。とはいえもともとの成長率が高かっただけに業績悪化の印象が強い。

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アメリカの大手銀行株

バークシャーハサウェイの株式ポートフォリオのうち銀行株は3~4割を占めるそうだ。

iBillionairで上位10銘柄を見ると、バンク・オブ・アメリカ(2位)、ウェルズ・ファーゴ(4位)、USバンコープ(7位)、JPモルガン・チェース(8位)といった銘柄が入っている。

なぜバフェットはこれほど銀行株に自信を持っているのか。いろいろ記事を見たところ銀行株の魅力としてはこんな点が挙げられていた。

 

・割安なバリュエーション

ヤフーファイナンスのアナリスト予想を使った今期PERは、JPモルガン10.2倍、バンク・オブ・アメリカ9.5倍、ウェルズ・ファーゴ9.2倍、シティグループ8.3倍となっている。

アメリカ株のバリュエーションが全体的に高くなっている中で米銀株のPERはかなり低めになっている。

 

・積極的な株主還元

配当利回りはウェルズ・ファーゴの4.6%が高いが、その他3社は3%前後とそこまで高くない。

しかし大手銀行は積極的な自社株買いを行っており配当と自社株買いを合わせた総合利回りは10%超が見込まれている。

各社が発表している自社株買いのプランは、JPモルガン29.4Bドル(時価総額344Bドル)、バンク・オブ・アメリカ30.9Bドル(時価総額251Bドル)、ウェルズ・ファーゴ23.1Bドル(時価総額195Bドル)、シティグループ21.5Bドル(143Bドル)とのこと。

JP Morgan, Goldman and others boost dividends and buybacks after passing Fed stress test

 

・ワイドモート

銀行業には誰でも簡単に参入できるわけではない。

また、アメリカの銀行は大手への集約化が進んでいるそうだ。こちらのサイトによると、1994年時点には16%に過ぎなかった巨大銀行(小、中、大、巨大と分けている)のシェアは2018年には59%に達している。

バフェットというとウェルズ・ファーゴが有名だが、今回は特定の銀行というよりも米国地盤の銀行をセクター買いをしている。大手銀行をセクター買いすることで全体として見ると堀に守られた企業を買うということになりそう。 

 

・ファンダメンタルズの改善

米銀のファンダメンタルズは改善している。以下はFREDのデータ。

金利マージンは2015年を底に上がっている。

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ROEもリーマンショック前の水準に向けて回復傾向。

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自己資本比率は高水準を維持している。

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・長期金利の上昇?

Why Warren Buffett Keeps Buying Bank Stocks という記事はバークシャーの債券ポートフォリオに注目している。

バークシャーの債券保有額はここ数年減少を続けておりキャッシュや短期債の保有を増やしているそうだ。2018年の長期債や確定利付証券の保有が18Bドルだったのに対して、キャッシュと短期債の保有は104Bドルになっているとのこと。

長期金利にレバレッジがある銀行株の増加と合わせるとバークシャは長期金利の上昇を考えているのではないかと記事は推測している。

 

現在は長期金利の急落によって逆イールドが起きている。銀行には厳しい環境となってしまった。

ただ、アメリカ経済を信頼するならば中長期的に長期金利は正常化していき短長金利のスプレッドも開くと考えていいのかもしれない。

そうなれば収益の改善、割安なバリュエーション、手厚い株主還元と魅力的な投資対象になりそう。

 

9628 燦ホールディングス 2020年3月期1Q決算

葬儀会社。

1Qは売上高+1%増収、経常利益-17%増益だった。

中間予想は+5%増収、経常利益-22%の減益。

葬儀施工件数は+4.8%増加したものの単価下落で葬儀施工収入は+0.4%の増加にとどまったとのこと。

今期PERは6.7倍と低い。

この会社は経常利益を過去10年のうち9回上方修正しており保守的な予想を出す傾向がある。

ただ、成長性には期待できないので万年割安株なのかなと思う。

 

6189 グローバルキッズCOMPANY 2019年9月期3Q決算

首都圏を中心に保育園を運営する会社。認可・認証保育園の比率が高い。

 

3Qまでの売上高は+15%の増収、経常利益は+5%の増益だった。

3Qと同時に通期の業績を下方修正しており、通期予想は売上高+15%の増収、経常利益-9%の減益となっている。

決算資料によると業績予想を修正した理由は以下のとおり。

「東京都認可保育所は概ね堅調に推移しているものの、認証・企業主導型保育所の入所率が下振れているほか、一部自治体の助成金減額により売上高の進捗は想定を若干下回る」

会社は2020年4月に入所率向上を目指すとしている。今年の10月には幼児教育が無償化されるため保育需要が高まりそう。期待できるのでは。

 

3Q末の運営施設数は166施設。新規に開設したのは保育所は22施設、学童クラブ1施設、児童発達支援1施設。

運営施設数の内訳は以下のとおり認可保育所がメインで認証保育所の数は減っている。

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決算後に株価は大きく下げた。今期PERは7.5倍になる。

数字は割安感があるが、この会社は営業外利益に多額の補助金(新規開園に伴う建設補助金)が計上されているので額面通りに受け取ることができない。

保育園は開園してから何年かで入所率が高まり経営が安定するそうだ。安定した後に利益率が何パーセントになるかでバリュエーションが左右される。仮に営業利益率が5%に落ち着くとPERは12倍程度となる。