アメリカの大手銀行株

バークシャーハサウェイの株式ポートフォリオのうち銀行株は3~4割を占めるそうだ。

iBillionairで上位10銘柄を見ると、バンク・オブ・アメリカ(2位)、ウェルズ・ファーゴ(4位)、USバンコープ(7位)、JPモルガン・チェース(8位)といった銘柄が入っている。

なぜバフェットはこれほど銀行株に自信を持っているのか。いろいろ記事を見たところ銀行株の魅力としてはこんな点が挙げられていた。

 

・割安なバリュエーション

ヤフーファイナンスのアナリスト予想を使った今期PERは、JPモルガン10.2倍、バンク・オブ・アメリカ9.5倍、ウェルズ・ファーゴ9.2倍、シティグループ8.3倍となっている。

アメリカ株のバリュエーションが全体的に高くなっている中で米銀株のPERはかなり低めになっている。

 

・積極的な株主還元

配当利回りはウェルズ・ファーゴの4.6%が高いが、その他3社は3%前後とそこまで高くない。

しかし大手銀行は積極的な自社株買いを行っており配当と自社株買いを合わせた総合利回りは10%超が見込まれている。

各社が発表している自社株買いのプランは、JPモルガン29.4Bドル(時価総額344Bドル)、バンク・オブ・アメリカ30.9Bドル(時価総額251Bドル)、ウェルズ・ファーゴ23.1Bドル(時価総額195Bドル)、シティグループ21.5Bドル(143Bドル)とのこと。

JP Morgan, Goldman and others boost dividends and buybacks after passing Fed stress test

 

・ワイドモート

銀行業には誰でも簡単に参入できるわけではない。

また、アメリカの銀行は大手への集約化が進んでいるそうだ。こちらのサイトによると、1994年時点には16%に過ぎなかった巨大銀行(小、中、大、巨大と分けている)のシェアは2018年には59%に達している。

バフェットというとウェルズ・ファーゴが有名だが、今回は特定の銀行というよりも米国地盤の銀行をセクター買いをしている。大手銀行をセクター買いすることで全体として見ると堀に守られた企業を買うということになりそう。 

 

・ファンダメンタルズの改善

米銀のファンダメンタルズは改善している。以下はFREDのデータ。

金利マージンは2015年を底に上がっている。

f:id:sapa21:20190818150735p:plain

 

ROEもリーマンショック前の水準に向けて回復傾向。

f:id:sapa21:20190818150821p:plain

 

自己資本比率は高水準を維持している。

f:id:sapa21:20190818150908p:plain

 

・長期金利の上昇?

Why Warren Buffett Keeps Buying Bank Stocks という記事はバークシャーの債券ポートフォリオに注目している。

バークシャーの債券保有額はここ数年減少を続けておりキャッシュや短期債の保有を増やしているそうだ。2018年の長期債や確定利付証券の保有が18Bドルだったのに対して、キャッシュと短期債の保有は104Bドルになっているとのこと。

長期金利にレバレッジがある銀行株の増加と合わせるとバークシャは長期金利の上昇を考えているのではないかと記事は推測している。

 

現在は長期金利の急落によって逆イールドが起きている。銀行には厳しい環境となってしまった。

ただ、アメリカ経済を信頼するならば中長期的に長期金利は正常化していき短長金利のスプレッドも開くと考えていいのかもしれない。

そうなれば収益の改善、割安なバリュエーション、手厚い株主還元と魅力的な投資対象になりそう。