BIDU バイドゥ 2021年3Q決算

中国の検索最大手。

現在はAI、音声アシスタント、自動運転、クラウドといった広告以外の分野に注力している。

傘下の iQIYI は動画配信サイトで首位を争う大手だが長らく赤字を垂れ流している。

 

3Qは前年比で売上高+13%の増収、営業利益-63%の減益だった。

過去数年の業績を見ると、営業利益は低迷しており赤字の四半期もある。

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iQIYIを除いたバイドゥコアの業績推移。

前年比で売上高+15%の増収、営業利益-50%の減益だった。

業績は全体と同じ傾向で、2019年~2020年にかけて横ばいになっていた売上高が上抜けする一方、営業利益は低迷している。

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バイドゥコアのうち非広告収入は前年比+76%の52憶RMB。セグメントの21%を占めるまで成長した。AIクラウドの売上高は38億RMBで前年比+73%の成長率。

 

iQIYIは売上高の伸びが止まってしまった一方で、一時ほどの大きさではないが依然として赤字が続く。

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バイドゥの株価は長らく低迷している。一時的な上昇もあるが現在の株価は10年前とあまり変わらない水準。

足元の時価総額は527億ドル。バランスシートや各事業を個別に見ると割安感はある。

・ネットキャッシュ(現預金+長短投資-有利子負債)は295億ドル、有利子負債の代わりに総負債を使っても169億ドル。

・半分程度の株式を持つiQIYIの時価総額は44億ドル。iQIYIのネットキャッシュ(現金投資-有利子負債)はほぼゼロ。

・3Qの売上高が24億RMBのキングソフトクラウドの時価総額は40億ドル。

・自動運転の競合他社の評価額は54~300億ドル(2020年3Qでの話)。

・過去4四半期のバイドゥコアのセグメント利益(税前)は21億ドル。

 

現在のバイドゥの株価は割安感があると思うが、主力の広告収入の成長がほとんどないのが厳しい。クラウドがもっと大きくなるか、自動運転が収益化するなどの大きな変化がないと見直しは難しいかもしれない。インターネット業界に対する中国政府の締め付けが厳しい中であえて投資するほどの魅力はないかなと思う。

なお、YYから中国国内ライブプラットフォーム事業を36億ドルで買収する件だが、当局から承認を得るのは難しそうという報道が出ている。AIに賭けている会社がライブプラットフォームを買う意味が不明なのでこれは良いニュースだと思う。