中国ADR(BABA、JD、NTES、BIDU) 2020年3Q決算

アリババ、JD、ネットイーズ、バイドゥの決算を見てみる。

なお記事中のPERはすべてYahooFinanceのアナリスト予想EPSを使って計算している。

 

・BABA アリババ

2Qは前年比で売上高+30%、営業利益-33%、調整EBITDA+28%だった。

今期(21年3月)PERは27倍程度。成長率を考えるとそこそこ割安な水準に思える。

ただ、アリババは赤字部門があるうえ、営業外損益で業績が大きくぶれるので実力が分かりにくい。

過去1年のコアコマースの営業利益は148B人民元(≒22Bドル)だった。時価総額は763Bドルなので、コアコマースだけで見ると割安感はあまりない。

クラウドは過去1年の売上高が50B元だった。アマゾンの営業利益率3割に倣うと15B人民元くらいの営業利益となる。売上高の成長率は60%と高く期待が持てるものの、アリババの場合はコアコマースの規模が大きいので影響も限定的かもしれない。

 

・JD 京東

3Qは前年比で売上高+29%、営業利益-12%だった。年間アクティブユーザー数は4.4億人で前年比+32%、前四半期比+6%。

JDリテイルは前年比で売上高+27%、営業利益+49%、営業利益率3.9%と好調が持続している。

今期予想PERは55.8倍と高いが、JDの場合は利益率の改善余地が大きい。会社によるとJDリテイルの営業利益率は中長期的に1ケタ台後半を目指すとのこと。

今期PSRは1.3倍、来期PSRは1倍。一時期の激安感はなくなったが、依然として割安な水準だと思う。

 

・NTES ネットイース

オンラインゲームではテンセントに次ぐ存在。オンライン教育子会社の有道が伸びている。

3Qは前年比で売上高+27%、営業利益-14%。オンラインゲームの売上高は前年比+20%。

ここ数年の業績を見ると、売上高は伸びているが営業利益はやや停滞している。

PERは今期25.9倍、来期22.4倍と妥当な数字だと思う。

ネットイースは競争の激しい中国ネット業界にあって一貫して業績を伸ばしてきたので信頼感がある。

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・BIDU バイドゥ

検索大手。傘下のiQIYIは動画配信サイトで首位を争う大手だが長らく赤字を垂れ流している。現在はAI、音声アシスタント、自動運転、クラウドといった分野に注力している。

3Qは前年比で売上高+1%、営業利益+161%だった。営業利益は過去最高を更新した。

バイドゥコアは前年比で売上高+2%、営業利益+43%。バイドゥアプリのDAUは2億人で前年比+9%。バイドゥコアの消費者向けの非広告収入は1.4B人民元とのこと(バイドゥコアの売上高は21.3B元)。

iQIYIは営業赤字が前年の2.8B人民元から1.2B人民元に半減した。

今期PERは14.6倍と低い。

成長はないものの収益力の高さ、手持ちの現金、iQIYI、自動運転(競合他社の評価は54~300億ドルとのこと)、クラウド(キングソフトクラウドは77億ドル)などを考えると割安感はある。

YYから中国国内のライブプラットフォーム3.6Bドルで購入することを発表した。

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