LTHM ライベント 2021年2Q決算

アルゼンチンのオンブレ・ムエルト湖からリチウム化合物を生産している会社。

会社によると炭酸リチウムの生産コストは下位1/4、水酸化リチウムの生産コストは下位1/2に入るそうだ。

戦略的にハイエンドの水酸化リチウムに注力しており、2020年の販売の55%が水酸化リチウムになっている(炭酸リチウム&塩化リチウムは4%)。

アルゼンチンの生産能力の拡張により今後は炭酸リチウムの販売も増やしていくとのこと。

 

2Qは前年比で売上高+57%の増収、営業利益-1.9Mドル→5.4Mドルの黒字転換、調整EBITDA+150%の増益だった。四半期比で見ても業績の改善が続いている。

売上高の増加には販売数量と価格の両方が貢献した。

販売数量は顧客の需要増による水酸化リチウムの増加。

価格に関しては今年の下半期から2022年にかけて上昇の勢いが増すと予想している。なお、足元でリチウムの市場価格が大幅に値上がりしているが、ライベントは昨年のうちに販売数量の大半を年間ベースで契約しているため影響は限定的になっている。2021年の平均販売価格は前年比で横ばいからやや下落になるそうだ。価格上昇が本格的に業績に寄与するのは来期以降になる。

業績が堅調なことから通期のガイダンスも引き上げた。売上高は335-365Mドル→370-390Mドル、調整EBITDAは40-60Mドル→55-70Mドル。

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ベッセマーシティ(5Ktの水酸化リチウム)とアルゼンチンの拡張も再開した。

ベッセマーシティは2022年3Qまでに、アルゼンチンのフェーズ1(10Ktの炭酸リチウム)は2023年の1Qまでに、フェーズ2(10Ktの炭酸リチウム)は2023年末までに商業生産開始という目標。

会社は今年の6月に262Mドルの増資を完了している。

増資、今後のキャッシュフロー、信用枠により拡張計画に必要な資金を十分に調達したとのこと。

 

決算後に株価は大きく上げて22.12ドルになった。

業績が低迷中なので今期の予想PERは参考にならないが、2018年ピークのEPSを使うと22倍と妥当な数字になる。ただし、発行済み株式数は2018年の127.7M株から148.7M株(希薄化株式数は192.7M株)に増加している。

ちなみに2018年の生産能力は水酸化リチウム18.5Ktと炭酸リチウム18Ktで、生産量は水酸化リチウム16Kt(炭酸リチウムが原料)と炭酸リチウム17Ktだった。

これが生産能力の拡張によって2023年末には水酸化リチウム30Ktと炭酸リチウム40Ktとなる予定。アルゼンチンでの炭酸リチウムの生産能力は倍増する。

単純に2018年の業績の2倍&希薄化を考えるとPERは15倍程度の計算になる。アルベマールよりはバリュエーションが低いのかなと思う。