3663 アートスパークホールディングス 2021年2Q決算

イラストマンガ制作ソフトのクリップスタジオと主に車載向けのUI開発ソリューションを提供している会社。

クリップスタジオはアマチュアからプロのクリエイターまで幅広く利用されているそうだ。イラストSNSの pixiv での使用率はNo.1とのこと。

2021年2Q時点の累計出荷本数は1,356万本で、うち70%以上が海外向けとなっている。

 

2Q累計の業績は前年比で売上高+17%の増収、経常利益+131%の増益だった。経常利益は期首の予想を2倍以上上振れている。

2Q単体だと売上高+10%の増収、経常利益+83%の増益となる。

 

セグメント別の業績。

クリエイターサポート事業は好調が続くものの1Q比では微増収・減益となった。前年比でも売上高+20%、経常利益+5%と成長率が低くなっている。

ただし、2年前以上を見ると売上高とセグメント利益は1Qに大きく伸びて2Q以降は横ばいか下がる傾向があった。前年2Qに大きく業績が伸びたのは新型コロナの巣篭もり需要があったのかもしれない。であるなら今期2Qは平常運転に戻ったと見ることができる。

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もうひとつのセグメントのUI/UX事業は赤字が続く。

売上高はエイチエス社の売却によって大きく減った。カンデラ社ののれんを償却したことで赤字額も減っているものの2Q単体で1.5億円を計上している。中期経営計画によるとこの事業の赤字は2023年まで続く見込み。

この事業は情報も少なく内容が分かりにくいうえ業績も伸びているわけではない。とりえあず赤字をなくしてほしいところ。

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全体で見ると業績は好調で通期の予想も上方修正している。今期は前年比で売上高+11%増の70.8億円、営業利益+80%増の13.5億円という予想。うちクリエイターサポート事業は売上高60.5億円、営業利益18.5億円となる。

 

決算後に株価は下げており現在の時価総額は267億円。

今期は特別利益があるため経常利益×0.7で計算した予想PERは28倍となる。

赤字のUI/UX事業を除いてクリエイターサポート事業の営業利益×0.7で計算した予想PERは21倍(この会社は営業外の損益もセグメント間の調整も少ない)。

2Qを平常運転と考えた場合、売上高20%成長のPER20倍というのは妥当な数字かと思う。イラストソフトNo1、海外7割、サブスク銘柄(いまのところ比率は高くないが)というのを強調すればもっとプレミアムがついても良さそうではあるが。

基本的にソフトの競争力はありそうだし、業績も良く期待感もあるので上方余地は大きいのかなと思う。ただ、バリュー株としては割安感が薄れてしまったし、グロース株としては海外の成長余地がどれくらいあるのかいまいちわからないのが不安に思える。