テスラ4Q決算

4Qの売上高は7,225Mドルでした。3Q比で+6%の増収です。

営業利益は413Mドルで、3Q比で-1%の減益です。営業利益は前四半期の水準をほぼキープしています。

Automotive 部門の粗利益率はやや低下して24.3%ですが依然として高水準を維持しています。なお、4QのZEVクレジットは無視できるレベルです。

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2018年の通期では売上高+83%の増収でした。営業利益は388Mドルの赤字です。

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4Qの営業キャッシュフローは1,234Mドルで、投資キャッシュフローを差し引いたフリーキャッシュフローは869Mドルでした。3Qからやや増加しています。

2018年の通期ではフリーキャッシュフローは依然としてマイナスですが、マイナス幅は-4,478Mドルから-240Mドルに減少しています。

バランスシートを見ると、2018年末のキャッシュ3,685Mドルに対して短期有利子負債2,567Mドルと長期有利子負債9,403Mドルです。今年の3月に転換社債920Mドルが返済期限を迎えるそうです。

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4Qの販売台数(delivered)はモデル3が63,359台、モデルSとXは27,607台でした。3Qと比べるとモデル3はやや増加、モデルSとXはほぼ変わらずです。

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2018年の通期の販売台数は約25万台でした。2019年のガイダンスは36~40万台です。4Qの販売台数が9万台なのでこのペースを維持すれば達成できる目標です。

 

その他メモです。

・1月から補助金が半減(7,500ドル→3,750ドル)するのに合わせてモデルS・X・3を2,000ドル値下げ。

・ギガファクトリー上海は2019年1月に建設開始。今年の終わりには生産開始。週3千台の生産から始める。

・モデル3は上海を含めて週1万台の生産を目指す。2019年4Q~2020年2Qの間に年間50万台の生産を達成するのが目標。

・経済が強ければモデル3の世界需要は70~80万台と推測する(あくまでもイーロンマスクの推測)。

・モデル3のヨーロッパと中国への販売は1Qから始まる。ヨーロッパと中国の中型高級セダンの市場規模はアメリカより大きい。

・中型SUVのモデルYの最初の生産はたぶん来年になりそう。モデルYとモデル3の共通部分は76%ある(モデル3とモデルSは3割)。SUVは最も売れるのでモデル3より50%以上売れるのを期待する。

・セミ(トラック)も来年生産を始めたい。ただし、初期のユニットは自分たちで使う。

・スタンダード(短距離・低価格)のモデル3は今年の中頃に導入の予想。目標とする粗利益率25%はスタンダードモデルを含める。

 

感想

テスラに限らずEVの問題は車体価格が高すぎることだと思います。

HPによるとモデル3の販売価格は35,950ドルからですが、ロングレンジは42,950ドル、また18年2Qと3Qの平均販売価格は6万ドル近くだったそうです。カムリの平均販売価格2万5千ドル前後に比べるとまだまだかなりの高級車という位置づけです。EVの一般への普及を考えるのであれば販売価格は3万ドルを切るくらいでないと爆発的普及というのは難しいのではないでしょうか。

テスラの当面の目標は、補助金なしで標準モデルのモデル3を売って利益を出すというものだと思います。これを達成するためにヨーロッパや中国に高価格モデルを売って時間を稼ぎつつコスト削減を推し進めるのでしょう。依然として綱渡り状態が続きます。

ただ、来年は上海工場の稼働やモデルYの生産開始があるので、もし補助金に頼らずに利益が出せるようになれば面白いことになると思います。