鉱石系のリチウム銘柄 その3

前回・前々回は生産中または生産までの見通しの立っているリチウム銘柄を見ましたが、今回はプロジェクト初期~中期段階の投機的な銘柄を見てみます。

 

鉱石系のプロジェクト一覧はこちらです。

各数字は会社のHPやプレゼンテーション資料から拾っています。最低でも資源量が発表されているプロジェクトを選びました。

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Critical Elements

カナダのケベックに位置する Rose プロジェクトを持ちます。資源量は34.7Mt@0.92%(Li2O)とやや小さめです。

昨年9月にDFSの結果が出ており、税後NPV8%は726百万ドルです。

前提条件ですが、販売数量はテクニカルグレード6%が50Kt、ケミカルグレード5%が186Kt、販売価格はテクニカルグレード6%が1,500ドル、ケミカルグレード5%が750ドル、生産コスト344ドル/トン、生産寿命17年、CAPEX341百万ドルとなっています。

このプロジェクトはドイツのヘルムAGがパートナーでしたが、FS後に契約が更新されませんでした。現在は新たなパートナーを探しているようです。

時価総額は122百万CAドルです。

 

European Metals

チェコの Cinovec プロジェクトを持ちます。656Mt@0.43%とグレードは低いものの膨大な資源量を誇ります。

FSの税後NPV8%は540百万ドルです。リチウム価格(LCE)は10,000ドルが前提です。

このプロジェクトを巡ってはチェコ政府がヨーロピアン・メタルズとの取引をキャンセルするというニュースも出ておりちょっと不安なところです。

時価総額は48百万AUドルです。

 

Sayona Mining

カナダの Authier プロジェクトを持つ会社です。資源量は18.1mt@1.02%と小規模です。

PFSは出ており、税前NPV8%は227百万AUドルです。

前提条件は、年間生産量96Kt、販売価格614ドル/トン、生産コスト327ドル/トン、CAPEX67百万AUドル、鉱山寿命17年です。生産開始のターゲットは2019年末~2020年始めとのことです。

規模的にはかなり小さいのですが、初期投資が少なく鉱石を掘り出して中国に輸出するシンプルな事業モデルです。経営陣にはアルトラ・マイニングのCEOがいます。

また、中国の Hunan Changyuan(フォーチュン500に入っている中国バッテリー会社の子会社)と提携しており、プロジェクトが順調に進めばオフテイク契約が期待できそうです。

時価総額は75百万AUドルです。

 

Kidman Resources

オーストラリアの Mt Holland を SQM と共同で開発しています。会社の持ち分は50%です。

Mt Holland の資源量は189Mt@1.5%と最大クラスです。

FSはまだ出ていませんが、プレゼン資料によると年間生産量220~300Kt(≒53Kt LCE)をターゲットにしています。

また、水酸化リチウム44Ktまたは炭酸リチウム37.8Ktの精製所も建設する計画です。

時価総額は665百万AUドルとFSが出ていないにもかかわらず高い評価です。資源量の大きさとSQMとのJVという安心感のためでしょう。

 

Birimian Ltd

マリの Goulamina プロジェクトを持つ会社です。資源量は32.9mt@1.37%と中規模クラスです。

PFSはシナリオが5つ提示されたわかりにくい内容で、NPVの数字も悪かったために失望されました。ただし、PFSに使われている鉱石の販売価格は保守的な数値で、コストも改善の余地ありとの話です。

現在はPFSのアップデートを待っている状況です。

時価総額は101百万AUドルです。

 

Prospect Resources

ジンバブエの Arcadia プロジェクトを持ちます。資源量は66.6mt@1.13%と比較的大きいです。

PFSは発表されており、NPV10%は139百万ドルです。

前提条件ですが、年間生産量がスポジュメン鉱石(Li2O6%)75Ktとタイル石(Li2O4.1%)155Ktで炭酸リチウム換算26Kt、販売価格はスポジュメン鉱石540ドル/トン、タイル石400ドル/トン、生産コスト320ドル/トン、CAPEX52.5百万ドル、生産寿命20年です。

大株主の Sinomine が7年にわたり生産物の100%を買い取るオフテイク契約を結んでいます。

時価総額は55百万AUドルです。ジンバブエということでカントリーリスクが大きな銘柄です。