アルゼンチンのオラロス湖から炭酸リチウムを生産している会社。オーストラリア上場。同じくオーストラリア上場のギャラクシー・リソーシズとの合併が決定している。
2021年6月期は大きな赤字で終わった。営業キャッシュフローも赤字。
厳しい業績が続いているが、赤字の原因となった販売価格は四半期ごとに上昇している。4Qは8,476ドルまで回復した。FY22年の上半期のガイダンスは9,000ドル。販売数量の1/3はスポット価格に連動するため上振れも見込める。
FY21年の炭酸リチウムの生産量は前年比+6%の12.6Kt。販売量は13.3Kt。
オラロスのネームプレートキャパシティは17.5Ktだが、過去5年は11~13Ktの生産量にとどまる。
生産量のうちバッテリーグレードの占める比率は48%で4Qには66%まで上がっている。これまでの2~3割より大きく改善した。来年も50%以上を目標にするそうだ。ステージ2の炭酸リチウムが供給可能になればステージ1はバッテリーグレードに最適化するとのこと。
キャッシュコストはトンあたり3,860ドルと低い。
ステージ2の拡張は22年上半期に完成する予定。下半期に生産開始し、2年でプライマリーグレード25Ktのフル生産に達する。
楢葉の水酸化リチウムプラントは22年1Qに生産を開始し、22年中に10Ktのフルキャパシティに達する予定。炭酸リチウム→水酸化リチウムの変換コストは約1,500ドル。
バランスシートは以下のとおり。増資も行ったため手元キャッシュは十分に確保されている。
ギャラクシーリソーシズとの合併により新会社の持つ資産は以下のようになる。
・アルゼンチンのオラロス。かん水資産。持ち分66.5%。炭酸リチウムの生産キャパシティは年間17.5Kt。進行中のステージ2が完了すると年間42.5Ktになる。
・アルゼンチンのカウチャリ。買収したアドバンテージ・リチウムが持っていたかん水資産。持ち分100%。精測・概則資源量は4.8MtLCE(476mg/L)。グレードは高くないものの資源量は大きい。
・楢葉の水酸化リチウムプラント。持ち分75%。オラロス・ステージ2の炭酸リチウムを原料に水酸化リチウム10Ktを生産する計画。
・オーストラリアのマウント・キャトリン。持ち分100%。スポジュメン精鉱を生産中。ネームプレートキャパシティは年間210Kt。直近4四半期の合計生産量は173Ktだが2Qは63Ktを生産した。資源量は11Mt@1.3%と少なく数年程度の寿命と思われる。
・アルゼンチンのサル・デ・ビダ。かん水資産。持ち分100%。精測・概則・予測資源量6.2MtLCE(754mg/L)と大きい。DFSが完了している。
・カナダのジェームズ・ベイ。鉱石資産。持ち分100%。資源量40Mt@1.4%と中規模。PEAが完了している。
ギャラクシーリソーシズのバランスシートは強固。キャッシュ200Mドルに対して有利子負債はゼロ。
オロコブレの現在の現在の株価は8.31オーストラリアドル。米ドル換算した時価総額は3.86Bドルになる(合併済みの時価総額)。ライベントの4Bドルをやや下回る規模。
ギャラクシーとの合併だがオロコブレホルダーとしては微妙に感じた。
オロコブレだけならステージ2と楢葉の成否を見ていれば良かった。両プロジェクトが成功してバッテリーグレードの炭酸リチウムと水酸化リチウムをそれぞれ10Kt生産できるようになれば株価も十分に値上がりしたと思う。
これがギャラクシーと合併したことで複雑になってしまった。
ギャラクシーは3つのプロジェクトを持っているものの、実際に稼働しているのはマウントキャトリンだけとなる。時価総額が倍増したにもかかわらず業績に追加されるのが鉱山寿命の短いマウントキャトリンのみというのは物足りなく思える。
さらにギャラクシーの旗艦プロジェクトであるサル・デ・ビダはオラロスやカウチャリと同じアルゼンチンにありカントリーリスクが分散されない。同じ国に3つのかん水資産を持つメリットがあるのかと疑問に思う。
ジェームズベイはカナダ/鉱石資産ということで期待できそう。ただ、開発はまだ初期段階となっている。