LTHM ライベント 2020年1Q決算

元FMCのリチウム部門。かつてのビッグ3の一角だが、現在はアルベマール、SQM、ティエンチ、ガンフォンの4社と比べると規模が小さい。

アルゼンチンのオンブレ・ムエルト湖からリチウム化合物を生産しており、炭酸リチウムの生産コストは世界最低クラスとなる。戦略的にハイエンドの水酸化リチウムに注力している。

 

1Qは前年比で売上高-30%、調整EBITDA-66%、営業利益-2.1Mドルの赤字、純利益-1.9Mドルの赤字だった。リチウム市場の悪化を受けて2018年上半期をピークに業績の悪化が続いている。

売上高の減少は販売数量の減少と価格下落が原因。価格下落の方がインパクトは大きくなっている。

また、水酸化リチウムの原料としてサードパーティーから炭酸リチウムを購入していることも利益率の低下につながっている。2020年の上半期に最も大きな影響が出るとのこと。

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バランスシートを見ると現金同等物の11.4Mドルに対して、長期借入金は211.1Mドルとなっている。

会社は流動性確保の観点からすべての設備拡張投資のストップを決定をした。これにより2020年の資本支出を当初予定の半分の115Mドルにカットする。なおライベントはリチウム市場の長期的な展望と拡張計画は維持するとしている。

加えて与信枠(2023年までの期間で400Mドル)のレバレッジ上限をトレイリングEBITDA倍率の3.5倍から6倍に増加させることに合意したほか、新しい条件についても交渉しているそうだ。

 

会社は2020年のガイダンスを取り下げている。

生産量の見通しは炭酸リチウムが前年比でフラット、水酸化リチウムは在庫の4,000トンを販売したのち顧客の需要に応じて生産を調整するとのこと。これによりサードパーティーの炭酸リチウムの購入を最小限に抑える。

なお、新型コロナウイルスの影響でアルゼンチンの生産を2週間ストップしたが、現在は通常の生産状態に戻っているそうだ。

 

ライベントの状況は苦しいと思う。ピュアプレイヤーであるためリチウム市況の悪化がダイレクトに業績に反映されてしまう。アルベマールやSQMのように他のセグメントの利益で穴埋めすることができない。

また、ガンフォンと違って株価が低迷していることから株式市場からの資金調達も行いにくくなっている。

短期借入金がなく赤字も小さいことからすぐに危なくなることはないと思うが、現在の状況が続くと厳しくなりそう。一方でリチウム需要と価格が底打ちするのであればアップサイドは大きいと思う。