流通業および官公庁向けのクラウドサービスとドコモショップの運営。
事業構成はこちら。
セグメントはITクラウド事業とモバイルネットワーク事業の2つ。
直近3Qの売上高はITクラウドが66%でモバイルネットワークが34%、セグメント利益はちょうど半々となっている。
ITクラウド事業は流通向けと官公庁向けに分かれる。今期2Qの売上高は流通向けが37億円、官公庁向けが20億円で流通向けが大きい。
流通向けの内訳を見ると、食品小売業向けの基幹業務システム@rmsが主力で今期2Qの売上高の6割を占めている。@rmsシリーズの顧客数は347社でクラウド⼩売基幹系システム導入者数No1とのこと。フィスコのレポートによると売上高300億円以下の小売業での全国シェアは1/3程度だそうだ。
次に大きいのが流通食品卸売業向けクラウドサービスのクラウドEDIで今期2Qの売上高の22%を占めている。導入社数は239社。加工食品卸売上高の上位10社のうち7社が使用している。
この事業は、小売業の中・大規模企業への展開、卸売業の小規模企業への展開、小売・卸・メーカーの商談プラットフォームという3方向への拡大を計画している。
官公庁向けクラウドの内訳は、行政情報47%、地域防災35%が大きい。主に地元の和歌山県でサービスを展開している。統合住民サービスを構築し、近畿を手掛かりに全国展開を図るとのこと。
モバイルネットワーク事業は和歌山県で7店舗のドコモショップを運営する。県内最大のNTTドコモ代理店。
年間のセグメント売上高の推移をグラフにしてみた。ITクラウドはデータが見つかった2014年から流通と官公庁に分けた。
ITクラウドの流通分野が伸びている一方で、ITクラウドの官公庁やモバイルネットワークは売上高が減少傾向になっている。
会社は安定的に収入が見込める定常収入の比率も公表している。過去の数値は40%前後で推移しているが、2018年12月期は47%まで上がっている。
セグメント利益の推移。
ITクラウド事業は2009年の赤字から2015年にピークをつけてここ3年は減少している。モバイルネットワーク事業は比較的安定して利益を稼いでいる。
ITクラウド事業の利益が減少しているのはソフトウェア償却費が大きくなっているため。2019年12月期に@rms次期バージョンが最終リリースされ、2020年12月期以降は償却費が減少する見込みとなっている。
償却費の減少により2020年12月期は経常利益11億円・経常利益率10.2%を見込んでいる。ただし、開発規模拡大による償却費の増加・後連れの可能性も指摘されている。
3Qの業績は売上高+15%の増収、経常利益+22%の増益と堅調。
今期予想は売上高+7%の増収、経常利益+19%の増益。
なお、2Qの経常利益は期首予想を+30%上振れしている。
現在の時価総額は66億円。
今期予想のPERは18倍、PSRは0.64倍。来期の経常利益が計画の11億円出ればPERは8~9倍程度となる。
予定通り償却費がなくなることで利益率が向上すれば割安だと思う。
(追記)
IRを見逃していた。
今期予定していた基幹システム導入案件の解除・終了による補償費用1億円が販管費に計上されるとのこと。