景気の変わり目である山と谷の前後1年の株価の動きを見てみる。
山と谷の月は内閣府の景気基準日付とNBERのUS Business Cycle Expansions and Contractionsを参照にした。
・日本
過去15回の景気の山の前後1年間(景気後退の始まり)の動きを平均化したのが下のグラフ。横軸の0が景気の山に当たる。-1は山の一か月前、1は山の一か月後となる。棒グラフは単月のリターン、線グラフは前後1年の累積リターン。
景気の山の周辺では若干右下がりのリターンになっているがそこまで明確な傾向があるようには見えない。
同期間の四半期ごとのリターンもグラフにしてみる。青グラフは過去15回の平均リターン、赤グラフはバブル崩壊後の5回の平均リターン。
過去15回の平均では山周辺のリターンは全体的に小幅安といったところだが、バブル崩壊後に限れば前後1年のリターンは非常に悪くなっている。
次に景気の谷周辺の動き。
こちらは景気の山よりはっきりしていて、景気の底打ち4か月前からのリターンが非常に良い。この期間の株価上昇率は平均で40%近くにもなる。
四半期ごとに見ると、景気の谷を過ぎてから最初の四半期のリターンがずば抜けている。
過去15回の平均で見ると景気の谷の一四半期前からリターンがプラスになっているが、バブル崩壊後の過去5回の平均ではプラスに転換するのは谷を過ぎてからとなっている。
・アメリカ
景気の山周辺では山の月から3か月後までのマイナスリターンが大きい。下落率は平均で-8%程度。
続いて四半期ごとのリターン。日本と違い景気の山が景気拡張の終わりであり景気後退の始まりであることから山の月は他と分けた。
景気が山をつけた後の最初の四半期のリターンが極端に悪い。山の月とそれまでの半年もリターンは冴えない。
景気の谷周辺。
景気が回復を始める2~3か月前からのリターンが高い。底からの上昇率は30%程度となる。
四半期ごとの推移。
景気が底を打つ一四半期前のリターンが最も高い。谷の月もプラスでその後も半年は高いリターンが続いている。
日米両国の結果を見ると景気の山周辺は株価がさえず、景気の谷周辺のリターンは非常に高いという傾向がある。
特に谷周辺のリターンの高さは特徴的。この期間に株を持っていないことは大きなリスクになる。日米ともに株価の底打ちは景気の谷に3か月ほど先行する傾向がある。
山周辺で株価が冴えないのはアメリカの方がはっきりしている。