景気後退時の株価のドローダウン

景気後退時にどれくらいの損失が発生するのか、日足の株価を使ってドローダウンを調べてみた。

株価はYahooFinanceより取得した。S&P500は1950年から日経平均株価は1965年からのデータ。配当なしの名目株価。

 

・アメリカ

景気後退期の前後1年間を対象に最大ドローダウンを探した。

下表の期間損益は景気後退期間中の損益、一番右の日足DDが日足ベースのドローダウン。

景気の山 景気の谷 期間損益 株価の山 株価の谷 日足DD
1953年7月 1954年5月 20% 1953年1月5日 1953年9月14日 -15%
1957年8月 1958年4月 -13% 1956年8月3日 1957年10月22日 -21%
1960年4月 1961年2月 13% 1959年8月3日 1960年10月25日 -14%
1969年12月 1970年11月 -12% 1968年12月2日 1970年5月26日 -36%
1973年11月 1975年3月 -24% 1973年1月11日 1974年10月3日 -48%
1980年1月 1980年7月 11% 1980年2月13日 1980年3月27日 -17%
1981年7月 1982年11月 4% 1980年11月28日 1982年8月12日 -27%
1990年7月 1991年3月 3% 1990年7月16日 1990年10月11日 -20%
2001年3月 2001年11月 -13% 2000年3月24日 2002年10月9日 -49%
2007年12月 2009年6月 -37% 2007年10月5日 2009年3月9日 -57%

ITバブルを除いて株価のボトムは景気後退の期間に重なっている。

全体的に見ると株価の下落は景気後退の前に始まり、株価の底打ちは景気の谷に先行する傾向がある。平均的な先行期間は6.6か月と3.8か月。ただし1980年や1990年は景気後退が始まってから株価の下落が起きているし、2001年は景気回復が始まってから株価が上昇を開始するまで1年近くかかっている。

株価の下落率は直近10回の景気後退のうち5回が-14%~-21%という調整レベルの下げで済んでいる。-50%前後の大幅下落はオイルショック、ITバブル、リーマンショックの3回。アメリカの場合は景気後退が大きな株価下落につながるのは半々くらいの確率と言えそう。

 

・日本

バブル崩壊以降の日本市場は景気後退前の株価を回復しないままドローダウンが連続しているため、どこからどこまでをドローダウンにすればいいのか迷う。ここでは景気後退の期間に近い株価の山と谷をドローダウンとした。

景気の山 景気の谷 期間損益 株価の山 株価の谷 日足DD
1970年7月 1971年12月 26% 1970年4月6日 1970年5月27日 -24%
1973年11月 1975年3月 1% 1973年1月24日 1974年10月9日 -37%
1977年1月 1977年10月 2% 1977年9月6日 1977年11月25日 -13%
1980年2月 1983年2月 20% 1981年8月17日 1982年10月1日 -15%
1985年6月 1986年11月 42% 1986年8月20日 1986年10月22日 -17%
1991年2月 1993年10月 -25% 1989年12月29日 1992年8月18日 -63%
1997年5月 1999年1月 -28% 1996年6月26日 1998年10月9日 -43%
2000年11月 2002年1月 -32% 2000年4月12日 2003年4月28日 -63%
2008年2月 2009年3月 -40% 2007年7月9日 2009年3月10日 -61%
2012年3月 2012年11月 -6% 2011年2月21日 2011年11月25日 -25%

株価の下落率はバブル崩壊以前は-20%程度の小幅な下げが多かったが、バブル崩壊以後は4回連続で景気後退のたびに大幅下落が起きている。2012年の景気後退は久々に-24%という調整レベルの下げで終えた。

直近10回のうち半分が-13%~-25%という調整レベルの下げで済んでいるのはアメリカと同じ。ただバブル崩壊以降に大きな株価下落が連続しているのが気になる。金融市場が不安定かつバリュエーションが高かったのが原因かもしれないし、経済の地力が落ちて景気後退が大幅下落につながるようになったのかもしれない。