かん水系のリチウム銘柄

リチウムはかん水と鉱石から生産されていますが、今回はかん水系のリチウム銘柄を紹介します。大手3社以外で少なくとも資源量が発表されている銘柄を拾いました。リチウムアメリカズのほかはオーストラリアかカナダ上場になります。

 

かん水系の特徴

一般的にはかん水からのリチウム生産は初期投資が大きく生産までに時間がかかる一方で生産コストは低くなるとされます。

例えばオロコブレの場合、開発開始が2008年、資源量の発表とPEA(Preliminary Economic Assessment )が2009年、DFS(Definitive Feasibility Study)が2011年、2012年に豊田通商とのジョイントベンチャー締結、2015年に初の売上を計上しますが2018年現在もフル生産には至っていません。長い道のりです。

コストカーブは以下のように鉱石系よりも下になっています。

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プロジェクト一覧

以下は各社のHPから拾ったプロジェクトの資源量や年間生産量の数字です。

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プロジェクトをざっくり見ると、オロコブレの Olaroz、リチウムアメリカズの Cauchari-Olaroz、ギャラクシーリソースズの Sal de Vida の3つは資源量・グレード共に申し分ないです。

それ以外のプロジェクトの資源量はどれも上の3プロジェクトの半分以下です。ただし、ネオリチウムの3Qとリチウムパワーインターナショナルの Maricunga のグレードは非常に高いです。

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各国株価のトレンドとバリュエーション 2018年3月末

3月末の先進国・新興国の株価指数のトレンドとバリュエーションのチェックです。

 

・株価データはMSCI、CAPEやPERはStarCapital、為替はIMFみずほ銀行より取得しています。

・株価チャートは2007年末を100として作成しています。月足・配当込み・現地通貨ベースです。

・取得したCAPE・PER・配当利回りは2月末の数字なので、MSCIの2-3月の騰落率で調整しています。

 

先進国と新興国

第1四半期の株価は先進国がやや下げ、新興国がやや上げています。ただ、大きく円高に振れたため、円ベースでは先進国-7.2%、新興国-4.8%というマイナスリターンです。

直近1年間のリターンは先進国+14%に対して、新興国+25%と新興国優位が続いています。円ベースだと先進国+7%、新興国+18%です。

バリュエーションを見ると、新興国のCAPEレシオやPERは先進国に比べて割安です。ただ、先進国もPERは18.5倍と20倍以下に下がっています。

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  CAPE PER 配当 3か月損益 円ベース 1年損益 円ベース
全世界 23.7 17.9 2.4% -0.8% -6.9% 15.4% 8.3%
先進国 24.8 18.5 2.5% -1.2% -7.2% 14.2% 7.2%
新興国 17.3 15.1 3.0% 1.5% -4.8% 25.4% 17.6%
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リーマンショック後の割安株のバリュエーション

リーマンショック後(2008年10月12日付)のウォッチ銘柄の画像が以前のブログに残っていたので記録として表にしてみました。

いまとなっては昔の話ですが超低PERの割安株がゴロゴロしています。ゲンキーやセリアがPER2.5倍(経常利益ベースの今期予想)といった数字です。両者ともこの後に下方修正しているので表面の数字どおりに受け取れませんが。

表に掲載した会社からドラッグストアを抜き出すとゲンキー、サッポロドラッグ、薬王堂がこの後に下方修正を出しており、一方でクスリのアオキ、コスモス薬品、クリエイトSDは上振れて着地しました。クスリのアオキはPER6倍、コスモス薬品とクリエイトSDはPER7~8倍です。

PER20倍超えが普通になっている現在の内需株の基準からすると格安ですが、当時はセンチメントが最悪だったので売上成長率が10~15%でPER6~8倍の小型株ではフェアバリューという感じだったかもしれません。

こうして振り返るとPERの数字というのは当てにならないなと思います。内需株のPERが切り上がっていく段階で僕は早々と売ってしまったのですが、時代に合わせて基準を変えた方がいいのかなと思います。

コード 会社 時価総額 経常
PER
純益
PER
配当
利回り
売上
増収率
経常
増益率
6670 MCJ 3,072 1.8 1.9 5.3% 2% 2%
2751 テンポスバスターズ 869 2.0 2.5 3.8% 10% 18%
3094 スーパーバリュー 1,155 2.1 2.0 2.7% 4% 8%
3331 雑貨屋ブルドッグ 2,144 2.4 4.1 6.0% -9% -7%
2772 ゲンキー 1,829 2.4 3.0 3.3% 13% 13%
2782 セリア 3,299 2.5 2.9 5.7% 7% 2%
2128 ノバレーゼ 2,189 2.8 2.9 1.9% 22% 14%
2786 サッポロドラッグ 1,441 2.9 3.1 4.6% 14% 2%
2690 ソフマップ 2,462 3.2 1.8 0.0% 7% 101%
2366 レオックジャパン 1,608 3.2 10.9 7.0% 7% 8%
2735 ワッツ 1,655 3.3 4.1 3.8% 29% 23%
7605 フジ・コーポ 1,050 3.3 3.6 5.5% 5% 4%
2154 トラストワークス 2,036 3.4 2.1 0.0% 32% 47%
3344 ワンダーコーポ 4,053 3.5 5.6 3.3% 1% 2%
2796 ファーマライズ 809 3.6 5.2 5.3% 8% 19%
9791 ビケンテクノ 2,470 3.7 4.9 6.3% 6% -16%
2408 KG情報 1,960 3.7 3.8 3.8% 16% 13%
2418 ベストブライダル 11,424 4.0 4.4 2.1% 13% 15%
3079 ディーブイエックス 1,064 4.3 4.3 4.1% 14% 7%
3607 クラウディア 4,118 4.4 4.1 6.2% 7% 6%
7627 なか卯 3,510 4.4 5.4 4.0% 20% 12%
4350 メディカルシステムネット 2,810 4.7 6.9 1.5% 5% 6%
2762 三光マーケティングフーズ 7,035 4.7 5.9 3.3% 4% 3%
4290 プレステージ・インター 6,061 4.8 4.2 2.5% 13% 26%
7646 PLANT 1,363 4.9 3.3 5.0% 2% 6%
3091 ブロンコビリー 3,809 4.9 4.7 3.5% 1% 6%
2792 ハニーズ 19,502 4.9 5.0 5.0% 11% -5%
3354 チェルト 10,791 5.1 4.8 6.3% 7% 6%
3362 チムニー 9,610 5.1 5.7 1.7% 16% 13%
3376 オンリー 2,401 5.1 5.2 4.4% 4% 2%
2668 タビオ 5,724 5.3 5.5 3.6% 5% 8%
4724 シチエ 5,042 5.3 5.5 5.5% -2% -17%
2120 ネクスト 2,778 5.6 7.1 0.0% 27% -28%
3385 薬王堂 1,909 5.7 5.6 5.2% 11% -44%
3398 クスリのアオキ 5,432 5.8 5.9 2.3% 13% 3%
2400 メッセージ 13,815 5.9 5.9 4.4% 10% 15%
2167 ウェブマネー 2,206 6.0 4.9 2.7% 26% 16%
3060 マガシーク 1,441 6.1 5.8 5.2% 29% -6%
2144 やまねメディカル 2,606 6.1 6.1 4.3% 25% 25%
2769 ヴィレッジヴァンガード 10,771 6.1 6.1 0.5% 17% 6%
2674 ハードオフ 4,577 6.2 6.1 6.1% 9% 11%
2398 ツクイ 4,678 6.3 7.6 2.1% 24% 13%
4298 プロトコーポ 18,008 6.5 6.0 2.9% 17% 59%
2485 ティア 1,572 6.8 6.8 2.9% 10% 27%
3349 コスモス薬品 18,100 7.0 8.9 1.1% 15% 13%
2794 クリエイトSD 32,448 7.1 7.4 2.7% 11% 6%

※PER、増収率、経常増益率は今期予想ベースです。

※個人的に作っていたものなので数字の正確性は保証できません。

 

リチウムの過剰供給懸念について

こちらに新しい記事を書きました

 

SQMとCorfoのライセンス契約延長のニュースが出て以降にリチウム株が激しく売られています。

2月の後半にやや反発したものの、その後にモルガンスタンレーがリチウム価格は2025年までに45%と下がるとのレポートを出したことからリチウム株は再び大きく売られました。

このリチウムの供給過剰問題についてはたびたび指摘されているのですが、実際のところ需給はどうなっているのかが知りたかったので上場各社(中国系を除く)の生産計画を表にしてみました。

なお、最初に断っておくと数字はかなり不完全な部分が多いです。詳細は長くなるので一番下に書いておきます。

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リセッションはいつ起きるのか?

株式市場は落ち着きを取り戻していますね。

株価を下支えしているのは実体経済の強さだと思います。足元の景気はリーマンショック後で最も良い状態で、企業収益も好調なことからS&P500の予想PERは20倍を切っています。このように先行きが良い状況だと一時的に株価が調整してもそこから一方的に下げ続けるのはなかなか難しいのだと思います。

もちろん景気と株価の関係は完全ではなく、ブラックマンデーのようにリセッションを伴わない暴落もありますし、一方でリセッションが起きても株価はそれほど下がらないこともあります。しかし、株価が40%も50%も暴落するときは実体経済も悪化していることが多いです。よって次の下落相場を予想するにはリセッションがいつ起きるのかを考える必要があると思います。

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アルベマールとSQMの決算

リチウム大手2社の決算が出ました。

 

アルベマール

売上+15%の増収、調整EBITDA+17%の増益でした。米国の税制改正の影響で純利益は大幅減益となっています。

2018年のガイダンスは売上3.2~3.4十億ドル、調整EBITDA955~1,005百万ドル、希薄化EPS5~5.3ドルです。

単純計算の予想PERは18~19倍になりますが、EPSにはポリオレフィン関連ビジネスの売却が入るとのことです。

 (百万ドル) 2016 2017
売上 2,677 3,071
営業利益 574 587
調整EBITDA 758 885
税前利益 515 446
純利益 643 54
希薄化EPS 3.90 0.49
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持ち株&気になる銘柄の決算チェック その2

1782 常磐建設

福島県が地盤の建設業社。

3Qまで+40%増収、+61%経常増益。3Q単体も+94%経常増益と好調です。4Qは-12%減収、-75%経常減益で予想を達成できます。

決算は好調ですが、繰越残高の前年比が2Qの+16%から-3%に減っているところがやや不安要素でしょうか。

予想PER6.3倍。経常利益ベース(税率30%)5.8倍。

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持ち株&気になる銘柄の決算チェック その1

久しぶりに株価が大きく下がっています。ポートフォリオを見直す良い機会なので、持ち株や注目している会社の決算数字をチェックしてみます。

 

 1413 桧家ホールディングス

注文住宅の会社。不動産販売や断熱材も手掛けています。

前期実績は+13%増収、+2%経常増益で予想を少し下振れました。今期は+12%増収、+8%経常増益の予想。期末在庫は+19%の増加。

決算はやや微妙で予想PERも8.6倍とそこまで低くはありませんが、配当利回りは3.7%あります。

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リチウム銘柄ニュース

ここ最近に発表されたリチウム銘柄関連のニュースです。

 

SQM

1月18日にCorfo(チリの産業振興公社)との新たなライセンス契約に合意しました。

衝撃的だったのが現在の年間生産量50~60ktLCEを2025年までに216ktLCEまで拡大できるという点です。2016年の世界のリチウム供給量が170ktLCEくらいなのですごいインパクトです。これを受けて供給過剰懸念からリチウム関連株が激しく売られています。

このニュースについての解説記事をいくつか読んだかぎりでは、まずは短期的(2~3年くらい?)には影響はないという意見が多いです。増産するには新たにプラントを作る必要がありますし、塩湖からリチウムを作るのには1年以上の時間がかかるためです。

一方で中長期的にどうなるかというと意見が分かれそうです。将来的なリチウム需要は非常に大きいのでこれくらいの供給増加は吸収できるという人もいますが、今後のリチウム生産は既存の企業の増産によって賄われ新興企業には厳しくなるという人もいます。

どの意見が正しいのかはわかりませんが、今後のリチウム株についてはリチウム価格次第だと思います。供給過剰懸念でリチウム株が売られるのは去年もありましたが、リチウム価格がじりじりと上げたため株も秋からラリーしました。

今年は新たに Tawana Resource、Altura Mining、Pilbara Minerals が生産を開始する予定です。これによってリチウム価格がどうなるかが注目されると思います。

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