とびきり良い会社をほどよい価格で買う方法

優良企業の株式を妥当な価格で買おうという内容の本です。

著者はグルフォーカス・ドットコムというサイトの創設者で、このサイトではスクリーニングやDCFができるほか、企業データ、インサイダーの売買、カリスマ投資家のポートフォリオなどの情報を見ることができます。

著者はインターネットバブルで損失を出したのちにバフェットやリンチといった達人投資家を研究する過程でこのサイトを立ち上げたそうです。この本でもリンチ、バフェット、ヤックマン、グレアムの投資手法の解説があります。 

とびきり良い会社をほどよい価格で買う方法 (ウイザードブックシリーズ Vol.260)

とびきり良い会社をほどよい価格で買う方法 (ウイザードブックシリーズ Vol.260)

  • 作者: チャーリー・ティエン,長尾慎太郎,山口雅裕
  • 出版社/メーカー: パンローリング
  • 発売日: 2018/02/18
  • メディア: 単行本
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本書で言う優良株とは下の質問にイエスと答えることができる会社の株です。

1. 好景気のときも不景気のときも、高い利益率を安定して維持しているか

2. ROICが高く、固定資産が少なくて済む事業か

3. 売上高と利益を常に伸ばしているか

4. 過去に好業績を上げた事業にはどういう性質があるのか(その事業は今後もこれまで同様の業績を上げ続けるだろうか)

これらの条件を満たす会社の株は時間の経過とともに価値が上がっていくため、買値が少々高くても問題なく、含み損がいつまでも続くリスクがなく、売り時を心配する必要もなく、安心して長期保有することができるとのことです。

買値については割安であるほど良いのはもちろんですが、優良株は安値で売られることが少ないため妥当な価格であれば(割高でなければ)OKというスタンスです。

 

この本で特徴的だったのは過去10年のデータ(3,577社)を使った検証がいくつか掲載されていることです。黒字の年数、営業利益率、ROIC、EPS成長率といった指標とリターンの関係が調べられています。

対象期間が短いのであくまでも直近の傾向というになりそうですが、体験談や理論しか書かれていないよりも説得力がありました。

その他にも、優良株を買うためのチェックリスト、良いシグナルと悪いシグナル、各種バリュエーション指標の解説、投資にふさわしい企業とふさわしくない企業、 バリュートラップ、相場サイクルと市場バリュエーションなどの話が書かれています。

 

読んだ感想ですが、優良株投資についてよくまとまっている本だと思いました。手法的に定性的な分析は必要になりますが、かなりの部分を定量化して実行しやすくしています。

ただ、この投資法(成長率が10%台前半の優良株を妥当な価格で買う)だと仮に市場平均を上回ったとしてもそこまで大きな差はつかないのではないかという気もしました。実際、HPに掲載されているグルフォーカス推奨の優良株25銘柄のパフォーマンスも2009年~2017年の期間ではS&P500とほぼ同レベルです。

手間と失敗のリスクを考えると本当にインデックス投資よりもおすすめなのかはよくわかりませんでした。