What Works on Wall Street (第4版)

2011年に出版された「ウォール街で勝つ法則」の第4版です(残念ながら日本語版は出ていません)。

What Works on Wall Street, Fourth Edition: The Classic Guide to the Best-Performing Investment Strategies of All Time

What Works on Wall Street, Fourth Edition: The Classic Guide to the Best-Performing Investment Strategies of All Time

 

 

「ウォール街で勝つ法則」は主にファンダメンタル系の指標の有効性を過去数十年のデータで検証した本です。ファンダメンタル系の定量投資家にとっては必読の一冊と言えます。

この第4版で取り上げている指標は、時価総額、PER、EV/EBITDA、PBR、PCFR、PSR、アクルーアルや負債比率などの財務指標、配当利回り、バイバックイールド、株主利回り、EPS変化率、利益率、ROE、ROA、レラティブ・ストレングスなどです。

各指標ごとに10グループ別のリターン・リスク・ドローダウンなどの成績が書かれています。

とても充実した内容ですが、数字データメインなので読み物としてはあまり面白くないかもしれません。ただ、無駄な話が少なくグラフが多用されているので英語の本としては読みやすいと思います。

 

なお、初版と第4版の違いはこんな感じです。

・一部の指標については1926年からのデータが使われている(基本は前回と同じ1963年から)。

・EV/EBITDA、アクルーアルなどの財務指標、バイバックイールド、株主利回りといった指標の追加。

・複数のバリュー指標を組み合わせた合成バリュー指標の検証。

・セクターごとにどの指標が効果的かを調べている。

・パフォーマンスを見るのに上位・下位50銘柄ポートフォリオに代わって上位・下位10%ポートフォリオを使用している(10グループ別の成績については初版と同様に掲載されている)。

・オリジナル版が年1回(12月31日)リバランスのポートフォリオだったのに対して、今回は毎月作成ポートフォリオ12個の平均リターンを使用している。パフォーマンスのばらつきは月ごとにかなり大きく、例えばPERの成績は12ポートフォリオの平均が15.44%だが、最高が1月リバランスの19.03%で、最低が3月リバランスの13.81%。

 

以上のように条件が変わったことで結論もかなり変わっています。 初版では最も優れた指標とされたPSRの成績が大きく落ちており、代わりに合成バリュー指標の成績が上位に来ています。著者の推奨はこの合成バリュー指標とレラテブストレングスを使ったトレンドバリューという戦略です。

初版からの変化が大きいですし、直感的にも納得しやすい結論に改善されているので(初版のPSRが最も良いという結論はやや違和感を感じます)、いまから読むのであればこちらの第四番を強くお勧めします。