クレディスイスの Global Investment Returns Yearbook 2015 によると、世界の株式の実質リターンは1900年~2014年の期間で年5.2%、1965年~2014年の期間で年5.3%となっている。
国別に見るとばらつきはあるものの5%前後が多く、長期的には株式投資の利益はそれくらいの利回りに収束するようだ。
では、この5%という運用によって投資家はどれだけの資産を築くことができるのだろうか?
2%運用と5%運用の結果
ごく普通の人の投資可能な期間は長くても50年程度だと思う。そこで50年間を上限として100万円を2%(債券のリターンを想定)と5%で運用した結果を計算してみた。
2%運用 | 5%運用 | |
---|---|---|
初期元本 | 100 | 100 |
10年後 | 122 | 163 |
20年後 | 149 | 265 |
30年後 | 181 | 432 |
40年後 | 221 | 704 |
50年後 | 269 | 1,147 |
5%運用では初期元本の100万円が50年で11倍となった。最初に1,000万円用意できれば50年後に1億円を超えることになる。また、投資期間が40年でも資産は7倍になっており、これくらいの期間があれば満足のいく結果が得られると言えそう。
一方で投資期間が20年の場合だと資産は2.6倍くらいにしか増えない。
債券への投資を想定した2%運用の場合は、40~50年かけても資産は2~3倍程度にとどまる。
5%で積み立て運用
次に初期元本0円、毎月5万円を積み立ててながら5%で運用したときの資産の推移を見てみる。
元本 | 5%運用 | 元本比 | |
---|---|---|---|
初期元本 | 0 | 0 | 0% |
10年後 | 600 | 772 | 129% |
20年後 | 1,200 | 2,029 | 169% |
30年後 | 1,800 | 4,077 | 226% |
40年後 | 2,400 | 7,413 | 309% |
50年後 | 3,000 | 12,846 | 428% |
こちらも40~50年という長期で見るとかなり大きな資産を築けている。40年で7,400万円、50年で1億2,800万円。
しかし20年という期間では、最終的な資産は2,000万円を超えているものの積立元本1,200万円に対する増加分は+69%にとどまる。
感想
今回、5%運用の利益を簡単に計算してみた感想だが、、、
・初期投資にせよ積立投資にせよ大きな資産を築きたいのであれば投資期間が長いことが決定的に重要だと感じる。とはいえ40年や50年という投資期間を持てる人はまれだと思う。
・初期にまとまったお金が用意できることのアドバンテージは大きい。30年という現実的な期間でも、初期元本として1,000万円用意できれば4,300万円まで増やすことができている。
・資産の増え方は時間が経つにつれて大きくなるが、現実の資産額は最終年付近のパフォーマンス左右されるため、投資人生が終わりに近づくにつれ選択が難しくなる気がする。運悪く退職直前に暴落が起きてしまうと引退寸前に資産が半減してしまう。
・積立投資は30年かけても元本比で2倍少々にとどまる。決して馬鹿に出来ない利益ではあるが、リスクの高さを考えるとちょっと物足りない気がする。