BRK-B バークシャー・ハサウェイ 2022年1Q決算

バークシャー・ハサウェイの2021年通期の決算と2022年1Qの決算を確認する。

 

この会社の業績はセグメント純利益を見るのが分かりやすい。

セグメントは、保険引受、保険投資利益(配当金など)、鉄道、公共・エネルギー、製造・サービス・小売り、投資・デリバティブ損益、その他に分かれている。

変動の大きい投資・デリバティブ損益を除いて計算すると、最大のセグメントが製造・サービス・小売で全体の41%を占めている。次いで鉄道の22%、保険投資利益の18%、公益・エネルギーの13%、保険引受の3%という順になっている。


投資・デリバティブ損益と2017年の特別利益(Tax Cuts and Jobs Act of 2017)を除く純利益の推移が下のグラフになる。

2015年から2021年の6年間で投資・デリバティブ損益を除く純利益は+58%増加している。年率換算で+8%の成長率となる。

なお、2020年が凹んでいるのは減損損失のため。減損の含まれるその他セグメントを除くと、2019年比では-6%の減益だった。

 

主要5セグメントの純利益の推移は下のグラフの通り。

2015年~2021年の期間で最も伸びているのは製造・サービス・小売りで+83%、次いで公共・エネルギーの+64%、鉄道+41%、保険投資利益+29%となっている。

ディフェンシブセクターの鉄道と公共・エネルギーが(投資・デリバティブ収益を除く)純利益の35%を占めていること、保険投資利益が安定していること、製造・サービス・小売りは2020年のコロナ禍でも-11%の減益にとどまったことから、事業の安定性は高いと思う。

 

2021年の投資・デリバティブ収益を除いた純利益は275億ドル。現在の時価総額は6,133億ドル。事業からの利益だけで考えると実績PERは22.3倍となる。

なお、2022年1Qの業績は、投資・デリバティブ損益を除く税前利益が前年比-2%の減益となっている。

 

続いてバークシャーのもうひとつの柱である投資事業だが、こちらは評価がやや難しい。

バフェット自身はルックスルー利益(バークシャーの持株比率に応じた投資先の内部留保を自社の利益と見なす方法)を推奨しているようだが、この数字は決算書に書かれていないし、個別に計算するのはかなり面倒だと思う。

 

株式・債券・現預金から負債を差し引いてネットの現金同等物を計算する方法もあるが、鉄道や公共・エネルギー事業の有形固定資産と有利子負債が大きいので金額が少なくなる。現金+有価証券-総負債で600億ドル程度にしかならない。

鉄道と公共・エネルギー事業を除くとネットの現金同等物(現金+有価証券-総負債)は約1,800億ドルで、それを時価総額から差し引いて投資・デリバティブ損益と保険事業を除く純利益と比べるとPERは20倍程度まで下がる。

ただ、鉄道や公共・エネルギーを除いて考えるというのもちょっと恣意的な感じがするし、そもそもバークシャーの保有株式については現金以上の価値を期待するのが当然なので、この方法もあまり適当とは思えない。

 

個人的にはバークシャーの投資事業は、保有株式の時価総額×配当を除く市場平均リターン+αくらいで考えている。

仮にアメリカ市場のキャピタルゲインを年6%とすると、2022年1Qのバークシャーの株式保有額3,905億ドルに対する期待リターンは234億ドル、税金(21%)を引いて185億ドルとなる。

3月末から現在までS&P500は-16%程度下げているので、現在の株式保有金額を3,272億ドルにすると、投資事業から期待する純利益は155億ドルとなる。事業からの純利益275億ドルと合計して430億ドル。PERは14倍弱になる。

ただ、この方法もその時点に持っている株式の金額に左右されるので、株式市場の値上がり値下がりや、バークシャーの株式比率によって期待利益が左右されてしまう。短期間で大きく変わることもあるので、あまり当てにならない方法かもしれない。

 

もうひとつバークシャーのキャッシュ比率についても見ておく。

バランスシートの保険&その他(鉄道・公益・エネルギーは含めない)の株式資産と株式以外の投資資産(現金・短期債・債券・その他の投資資産)の推移が下のグラフになる。

近年は株価の値上がりもあり株式資産が急拡大しているのが分かる。株式以外の資産も右肩上がりに増えていたが、2022年1Qは大きく減少した。

 

キャッシュポジションの大きさを見るために、株式以外の投資資産と総資産(保険&その他)、株主資本、フロートに対する比率もグラフにした。

総資産や株主資本に対する比率は減っているが、株価の値上がりで株式資産が膨らんだことも影響しているのかなと思う。

長期で見るとより安定しているのがフロートに対する比率で、2009年と2010年を除いて100~120%程度で推移していた。しかし、2022年1Qは84%まで急落している。

バークシャーは2022年1Qに大きく株式投資を増やしたことが報道されている。キャッシュ比率から考えるとここ十数年で最も株式に積極的になっているようだ。

 

株価は3月ピークの359ドルから直近の271ドルまで約25%下落している。バリュー株の復活で上げた分を完全に戻してしまった。

現在の株価は昨年4~10月と同じ水準にある。この時期にバークシャーは積極的に自社株買いをしていたので、この水準であればバフェットは割高とは考えていないようだ。

また、新型コロナ前と比べると株価は30~40%ほど切り上がっているが、投資・デリバティブ損益を除く純利益が2019年比で+15%伸びているのと、自社株買いによって株式数が7~8%減少しているため、バリュエーションはそれほど上がっていない。

そんなわけで、現在のバークシャーの株価は適正かそれ以下の水準だと考えていいのではないだろうか。