9435 光通信 2022年3月期3Q決算

インターネット回線、宅配水、電力などのビジネスを法人や個人相手に行っている会社。営業力に強みがあり、中小企業・小規模事業者向けに圧倒的な販売網を持つ。

かつては携帯電話ショップ、医療保険、OA機器といった商品・サービスの比率も高かったが、時代に合わせて主力製品が入れ替わっている。

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3Qの業績は、前年比で売上高+3%の増収、営業利益+3%の増益、税前利益+17%の増益、純利益+34%の増益だった。

3Q単体だと、売上高+3%、営業利益+7%となる。

 

セグメント売上高の四半期の推移が下のグラフになる。

数年単位で見ると売上高は右肩上がりになっている。

売上高の内訳を見ると、取次販売が減る一方で、法人・個人サービスが伸びている。販売代理店から自社商材への移行という方針に沿った動き。

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セグメント営業利益の四半期の推移が下のグラフになる。

取次販売の減少と法人・個人サービスの増加は売上高と同じ。

法人と個人では、法人サービスの方が伸び率がやや高いものの、四半期のブレ幅も大きい。21年4Qに赤字なのは、電力価格の高騰の影響で電力小売に損失が出たため。電力小売はリスクヘッジのために相対取引を増やしたことで、今年もマイナス要因になっている。

個人サービスも法人サービスほどではないが、前年比の増益率にややばらつきがある。

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株価は2019年末のピークから半値に下がっている。今年に入ってからの下落も大きい。今期の予想PERは10倍程度。大型株としては割安感のある水準だと思う。

ただ、足元で電力価格の高値が続いている(20円前後/kWh)のは不安要素に思える。

会社資料によると、スポット単価が20円/kWhの場合、単価10円/kWhに比べて、月次で17~27億円程度のマイナスになるそうだ。法人サービスの営業利益が四半期ごとに100億円程度なので影響は大きい。

 

次に光通信のもうひとつの主力事業である有価証券投資の状況を見てみる。

3Q末の純現金資産は3,553億円で、2Qから200億円ほど減っている。株価が下げているので4Qも厳しくなりそう。

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一方で、子会社以外の投資先の直近12か月の持分営業利益は642億円(うち持分法適用会社が121億円)と2Qより増加している。光通信の今期の営業利益が830億円なのでかなりの大きさになる。

とはいえ、持分営業利益は単に数字上の集計だし、日本企業は株主還元が少ないし、光通信がアクティビスト行為をしているわけではないので、絵に描いた餅という感じではある。