6890 フェローテックホールディングス 2022年3月期2Q決算

半導体関連の製品・サービスと電子部品の会社。

磁性流体、真空シール、石英製品、セラミックス、半導体洗浄、サーモモジュール、パワー半導体基板などを提供している。

 

2Q累計の業績は、前年比で売上高+44%の増収、経常利益+342%の増益と絶好調だった。

2Q単体も、売上高+53%の増収、経常利益+165%と好調。

四半期の業績推移を見ると、売上高は2021年の3Qから大きく伸びている。経常利益は過去5年ほど10~30億円程度のレンジで推移していたが、2022年の1Qに65億円、2Qに60億円と大きく上抜けした。

f:id:sapa21:20211227092333p:plain


セグメント別では、半導体等装置関連が売上高+25%の増収、営業利益+226%の増益、電子デバイスが売上高+72%の増収、営業利益+63%の増益となっている。

電子デバイスに比べると半導体等装置関連の売上高の伸び率が低いが、ウエーハ加工の子会社が持分法適用会社になったのが原因。ウエーハ加工を除くと前年比で+40%伸びている。

 

半導体等装置関連セグメントの製品別の売上高の推移。

真空シール、半導体マテリアル、EBガンは前年比+40%前後も伸びた。部品洗浄は前年比+30%と他の製品に比べるとやや低い。

過去数年で右肩上がりに伸びているのは半導体マテリアルと部品洗浄。真空シールとEBガンは今期は大きく伸びたが、売上高は2019年を下回っている。

f:id:sapa21:20211227100827p:plain

 

電子デバイスはパワー半導体基板の伸びが前年比+155%と著しい。フェローテックはさまざまな製品・サービスを持っているが、パワー半導体基板は最も期待のかかる製品のひとつ。質疑応答では「売上高で今年は去年の倍、来年も今年の倍ぐらいになると見込んでいる」、「DCB基盤ラインはフル稼働しているが、それでも要求に足りておらず 30%ぐらいの注文は受けられていない状況」といった強気のコメントがされている。

サーモモジュールは過去数年50~60億円で推移していたが、今期の売上高は84億円と上抜けした。5G(用途別では41%が光通信向け)やPCR検査機向けが追い風になっているとのこと。

f:id:sapa21:20211227101545p:plain

 

バランスシートを見ると、現預金が大きく増えたことで現金同等物-有利子負債のネットキャッシュがプラスに転換した。

現金の増加は中国子会社の増資の影響。連結の現預金482億円のうち中国子会社が235億円を占める。

さらに12月に増資により200億円近い資金調達を行ったことで財務はより強くなった。会社はこの資金を使って今後3年で950億円の投資を行うとのこと。

f:id:sapa21:20211227105443p:plain

 

今期の業績は絶好調で2度の上方修正を行なっている。

今期予想PERは7倍。特別利益の影響を除くため経常利益×0.7で計算すると10倍となる。

半導体という市況関連株なのと、同セクターにはより低いPERの銘柄もあることから極端に割安とは言えないと思う。ただ、足元の成長率や来期も20%前後成長できそうとのコメントからすると割安感はある。

良い製品を持っており、成長への意欲も強く、業績も良く、財務も改善しており、PERも手頃ということで良い銘柄だと思う。

ただ、中国比率が高くカントリーリスクが大きいのが問題。会社資料によると、売上高に占める中国子会社比率は44%となっている。

中国は成長市場であるし、政府の半導体優遇政策の恩恵も受けるので必ずしも悪い話というわけではないが、中国関連は予想外の急落が多いので大きく買うのは怖いと感じる。

f:id:sapa21:20211227110709p:plain