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旧ガリバーインターナショナル。中古車買い取り首位。

もともとは買い取った中古車をオークションで売るビジネスモデルだったが、2014年頃から小売販売に積極的に取り組んでいる。

2015年にはオーストラリアの新車販売を買収して海外進出に進出した。

2021年3月期の店舗数は直営460店、FC67店。

 

売上高の推移。

小売販売を強化したあたりから右肩上がりに伸びている。

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一方で経常利益は売上高の伸びに比例していない。

ただ、ここ2~3年は経営課題の改善に取り組んでおり、その成果が出たのか利益も増加している。

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経営課題には、出店エリア、ネット集客、在庫管理の3点を挙げていた。

出店エリア・・・多チャンネル展開による一部エリアでの自社競合が発生していた。出店と閉店基準の引き上げ。今後は信用力を活かしたガリバーブランドの展開に絞り込む。

ネット集客・・・価格を重視して店を選ぶインターネット経由の顧客の集客に苦戦。集客コストの増加。価格設定の最適化により2017年比で広告宣伝費が27%減少。

在庫管理・・・小売モデルに適した在庫管理が不十分だった。在庫回転日数を管理指標に取り入れたことで正常な在庫量に戻る。

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直営小売台数と直営店舗数の推移。

直営小売台数は2013年の4.5万台から2021年には13.7万台まで大きく伸びた。

店舗数は294店から2019年のピークの519店まで大きく増加した後、出店・退店戦略の見直しによりここ2年は減少している。

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今後の成長戦略には大型店の出店と整備事業への参入を挙げている。ネクステージやグッドスピードといった競合他社と同様の戦略。

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2022年3月期の2Q決算は、前年比で売上高+28%増収、経常利益+186%増益だった。

期首の会社予想を+68%上振れている。通期も+22%上方修正した。

売上高 2,277億円(前年比+28%)

経常利益 90億円(前年比+186%)

純利益 53億円(前年比+286%)

EPS 52.9円

 

四半期の経常利益の推移は下のグラフの通り。

中間の業績が良いのは前年1Qの赤字が大きい。2Q単体だと前年比で+17%の増収、+11%の経常増益となる

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日本事業とオーストラリア事業のセグメント利益。オーストラリアが好調で無視できない金額になっている。

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増益要因のチャート。国内事業の売上総利益の増加もあるが、オーストラリア子会社の貢献もかなり大きい。

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バランスシートを見ると、現金475億円に対して有利子負債784億円。

有形固定資産と棚卸資産への投資が大きいことも考えると財務は健全な方だと思う。

 

株価は2019年の夏を底に上昇トレンドにある。

今期1Q決算後には700円から1,000円超に急騰したが、その後は元の水準まで戻っている。

今期予想PERは9.2倍。特別損失があるので経常利益×0.7で計算すると8倍くらいになる。

2Qの特損は本社移転費用が計上されている。前年・前前年は減損や感染症対策費があったが、2017年と2018年はそれほど大きくなかった。

PERは競合と比べて低い。ここ2~3年の経営改善の効果が一時的ではないなら割安感があると思う。

不安点としては、現在オートオークションが好調なのでその特需の可能性(仕入台数と小売台数の差を見ると卸売もまだ多そう)、オーストラリアの好調な業績がどれくらい続くかといったところ。

ただ、オーストラリアについては営業利益率がまだ低いので、さらなる改善余地があるかもしれない。