2022年のリチウム需給

前回の記事で来年のリチウムの供給量を見たので、今回は需要の方を見ていく。

 

2020年

・アルベマールのプレゼン資料によると、2020年のリチウム需要は炭酸リチウム換算で29.2万トン。

・このうちEV向けの需要は11.3万トン。

・EVの販売台数は320万台。

 

2021年

・SQMによると2021年のリチウム需要は前年比で+50%近いとの話。2020年を29.2万トンとすると43.8万トンになる。

・EV倍台数は前年比で2倍近い600万台を超える予想。

・車台当たりのバッテリー容量が不明なので正確なところはわからないが、単純に2020年の数字を2倍すると2021年のEV向けの需要は22.6万トンになる。

 

2022年

・SQMは2021年のリチウム需要を前年比+20~30%の伸びと予想している。2021年の需要を43.8万トンとすると2022年は52.5~56.9万トンとなる。

・増加量は前年比+20%で8.8万トン、+25%で11万トン、+30%で13.1万トン。

・SQMは来年のEV販売台数を前年比+50%の900万台と見込んでいる。

・2021年のEV向けのリチウム需要を22.6万トンとして、単純に+50%増加させると2022年のEV向けの需要は33.9万トンとなる。EV以外の需要をゼロ成長としても全体のリチウム需要は55.1万トンとなり前年比+26%の伸び率となる。

・9月のEV販売台数は前年比2倍近い伸び率だった。仮に2022年にEV向けの需要が2倍に増加した場合、EV向けの需要だけで20万トン以上の増加となる。

・2022年にEVの販売台数が2倍になると1,200万台。自動車販売台数が例年並みに回復した場合は全体に占めるEVのシェアが13~14%となる。

 

2022年のリチウム需給はEVの販売台数次第となりそう。

販売台数が前年比+50%の伸びならば、各社が計画通りに増産できれば供給可能な数字に思える。

一方で販売台数が前年比+100%の伸びであれば供給はまったく追いつかない。材料不足でEV生産不能という事態になりそう。

現在の販売ペースがどれくらい続くかに注目だろう。

 

リチウム銘柄については全体のバリュエーションが高すぎると思う。

ただ、EVの販売が好調であれば来年の特に上半期は依然として供給側の有利な状況が続きそう。価格改定により各社の決算数字も劇的に改善してくるはず。割高感に目をつぶって持ち続けるのもありかと思う。

個別銘柄では個人的にはSQMが良いと思っている。他の銘柄と比べてバリュエーションがまともだし、増産体制も一足早く整っている。肥料などのリチウム以外のセグメントも好調。チリの政治リスクが問題だったが、選挙で右派がリードしたことで事態がやや好転した。12月の決選投票が終わるまでは油断できないが。