9267 Genky DragStores 2021年6月期4Q決算

福井県発祥のドラッグストアチェーン。福井県、石川県、岐阜県、愛知県にドミナント展開している。

ゲンキーの特徴は低価格販売と食品比率の高さで、食品は生鮮食品も取り扱っている。全体の売上高に占める食品の比率は6割を超える。

 

2021年の売上高は+15%の増収だった。今期は新型コロナ特需の反動もあるかと思ったが、+12%と2桁の増収を予想している。

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経常利益は+45%の増益と大きく伸びた。今期予想も+3%と増益を見込んでいる。

経常利益率は前期実績4.6%、今期予想4.3%。2006年からの平均は3.8%。長期で見ると2006年~2014年は2~4%のレンジで推移していたが、2015年以降は3%後半~4%台に底上げされている。

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店舗数、業績、売上高構成比をドラッグストア他社と比較してみる。

※店舗数は国内店舗数。

※業績は実績値。

※売上高の構成比は各社基準がバラバラなので参考値。サンドラッグ、マツモトキヨシ、カワチは調剤を医薬品に含めていると思われる。

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ゲンキーの規模はまだ小さいが、店舗数や売上高はクスリのアオキやクリエイトSDの半分程度まで迫っている。

利益率を見ると粗利益率が21%と低い。低価格を志向しているのと食品比率が高いためだろう。コスモス薬品と同じ戦略。粗利益率は低いもののローコスト経営により営業利益率は業界の平均的数字となっている。

 

次に売上高の成長率を他社と比較してみる。今期予想の売上高を基準に過去1年、2年、10年の年率換算値を比べた。

なお、マツモトキヨシとココカラファインは合併により今期の予想数字がないためグラフに入れていない。

また、ウェルシアは決算期の変更が入っているので完全な10年ではない。

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過去10年でみるとクスリのアオキ、ウエルシア、ツルハ、ゲンキー、コスモス薬品の成長率が年率+10%を超えている。ただし、ここ2年でみるとゲンキーを除いてどの会社も1桁の増収率に落ちてしまう。

ゲンキーのみは1年、2年、10年のどれで見ても2桁の増収率を維持しており、かつ成長率が落ちていない。

 

BSは有利子負債が285億円に対して現金+投資有価証券80億円。

有利子負債は今期の予想経常利益68億円、実績の営業キャッシュフロー120億円と比べると多くはないが少なくもないという水準だと思う。

 

決算は悪くなかったと思うが、翌日に株価は大きく下げた。

今期の予想PERは12.7倍となり、クスリのアオキの20.6倍、コスモス薬品の29.7倍に比べてかなり低い。評価が低いのは他社と比べて規模が小さいためかなと思う。

ただ、生鮮食品を取り扱っていることで店舗の競争力はあると思うし、規模の小ささから他社よりも高い成長率も期待できる。現在の成長率と収益力を維持できるのであれば低評価はいずれ解消されていくのではないかと思う。